広島、長崎への原爆投下から70年。被爆者でつくる「兵庫県原爆被害者団体協議会(県被団協)」で、市町や地域ごとにある団体の解散が相次いでいる。かつては24の団体があり県全域を網羅していたが、今年2月に姫路が解散して17団体まで減少し、担い手の不足も深刻だ。県被団協は本年度から個人会員制を取り入れる方針で、解散後も被爆者同士がつながれるよう、呼び掛けを始めた。
県内で被爆者健康手帳(被爆者手帳)を持つ人は今年3月時点で3698人。1996年3月の6033人から約4割減った。
県被団協の会員も2014年3月末で1612人と減少が続く。02年には24団体あったが、宍粟佐用(07年、解散時44人)▽北播(09年、同108人)▽川西猪名川(10年、同115人)-など解散が続き、今年2月には姫路(同140人)も解散を決めた。
県被団協の鹿島孝治副理事長(78)によると、会員の高齢化で役員を担える人が減少。団体が解散した地域では会員のフォローができず、被爆者同士の交流がなくなり、情報を得る機会も失われてしまうおそれがある。
解散した地域の被爆者から「よりどころが欲しい」との声も寄せられたことなどから、個人会員として登録ができるようにすることにした。被爆者らに順次、通知する。
日本被団協の近畿ブロック2府4県では、奈良、滋賀が県単位で解散。和歌山も今年、解散を決めた。鹿島副理事長は「地方には兵隊や学徒動員など15歳以上で被爆した人が多く、80~90代がほとんど。被爆1世が元気なうちに仕組みを整えておきたい」と話す。
岡邊好子理事長(86)も「高齢者が多く、いったん解散すると、再びつながり合うのは難しい。踏ん張っている団体への支援を充実させることも課題だ」と話している。(阿部江利)