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元安ショック、アジア市場揺るがす 東証では「爆買い」銘柄が下落 人民元切り下げ
連日の人民元切り下げで、金融市場には動揺が広がった。12日の東京株式市場は中国経済の減速懸念から、売り注文が優勢となり日経平均株価は続落し、下げ幅は一時400円を超えた。中国・上海のほか、シンガポールやインドネシアの株式市場も全面安の展開となり、中国の通貨政策変更によるショックがアジア全体に波及した。
日経平均の終値は前日比327円98銭安の2万0392円77銭で、2週間ぶりの安値水準となった。中国国家統計局が同日発表した工業生産などの指標も低調で投資家心理を冷やした。
元安の影響で日本企業の輸出競争力の低下が懸念され、鉄鋼株などが下落。中国で原油や銅といった資源需要が減るとの思惑から鉱業や非鉄金属、石油の関連銘柄も売られた。中国人観光客の「爆買い」の恩恵を受けてきた小売りや化粧品も下落が目立った。
メリルリンチ日本証券の試算によると、人民元の下落幅が10%を超え、円相場が対ドルで約5%上昇した場合、国内総生産(GDP)の成長率を0.5%程度押し下げる方向に働く。
同社の山下節子エコノミストは「日本経済に無視できない影響が出てくる」と分析。ただ「中国政府の政策対応によって、中国経済は軟着陸する可能性もある」とみている。