(cache) サーチナ|なぜ人民元を切り下げた?・・・「輸出促進でも経済疲弊でもない」と政府系専門家見解  



なぜ人民元を切り下げた?・・・「輸出促進でも経済疲弊でもない」と政府系専門家見解


 中国人民銀行が11日、12日と2日連続で人民元を事実上、切り下げたことに対し、中国メディアの百度百家は12日、中国社会科学院金融研究所の易憲容研究員による手記を掲載し、中国が人民元を切り下げたのは「輸出の促進が目的ではなく、ましてや中国経済が疲弊しているためでもない」と論じた。  記事は、中国人民銀行が11日に人民元の対ドル基準値(中間値)を引き下げると発表したことで、人民元が過去最大の下げ幅を記録したことを紹介し、「突然の急落は世界を驚かせ、世界の為替は大きく変動し、特に原油価格は一気に5%近くも急落した」と紹介した。  続けて、人民元はいまだ自由化されておらず、中国の金融市場も完全に開放されてはいないとしながらも、人民元の切り下げが世界に大きな影響を与えたことについて、「中国経済の世界市場における地位が上昇したことが見て取れる」と主張。中国の一挙手一投足が世界に大きな影響を与えるようになったと喜びを示した。  さらに、人民元の切り下げについては「市場は準備をしておくべきだった」と主張、中国国務院が以前に人民元の為替改革について言及し、「人民元レートの変動幅を拡大することで、市場化改革を加速させることを明確に示していた」と主張した。  また、中国が人民元を切り下げたのは「多くの人が理解しているような輸出の促進が目的ではなく、ましてや中国経済が疲弊しているためでもない」とし、人民元を下落させることで為替の変動幅に弾力性をもたせ、人民元の価格形成のメカニズムを改善するためであると主張した。  続けて記事は、人民元が国際通貨基金(IMF)の国際準備資産SDR(特別引出権)の通貨バスケットに採用されるか否かのタイミングで、中国が切り下げを行ったのは「国内外の経済環境の変化を考慮してのこと」と主張。中国株式市場における大規模な実験は「失敗に終わった」と伝え、中国は金融市場の改革の道筋を変えようとしているとし、「改革の新たな突破口こそ為替制度なのだ」と主張した。  さらに、中国の金融市場の改革における新たな突破口が「良い成果を収められるようであれば改革を深化させるであろうし、危険を伴うようであれば為替を通じた改革も限定的にとどまるであろう」と論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)