【函館】1875年(明治8年)に日ロ間で締結された千島樺太交換条約に伴い、強制移住させられた樺太・千島アイヌの関連資料を集めた特別展「千島樺太交換条約とアイヌ」が11日、市立函館博物館(青柳町17)で始まった。

 同条約は樺太(サハリン)をロシア領土、千島列島を日本領土とし、樺太アイヌは樺太から宗谷を経由し現在の江別市へ、千島アイヌは千島列島最北のシュムシュ島から最南部の色丹島にそれぞれ強制移住させられた。

 特別展は、強制移住を記録した写真や文書資料、当時の樺太・千島アイヌが使っていた衣服、楽器、生活道具など計約120点を展示。樺太アイヌの一部は函館に移り住み、製革所で働いていたことなども紹介している。

 初日は学芸員大矢京右さんによる展示品の解説セミナーがあり、セミナーに参加したロシア極東大函館校1年の玉城花菜さん(19)は「強制移住させられた民族の悲しみを実感した。(国などによる)アイヌ文化の振興策の必要性をあらためて考えることができた」などと話していた。

 入館料は一般400円など。8月30日まで。(村田泉)