アリス
ストリエで連載している作品の冒頭部分のみ転載となります。
その日私は一人おうちでお留守番をしていました。
お父さんはお仕事。お母さんはお買い物に行っています。
本当は私もお母さんのお買い物に付き合いたかったのだけれど、お母さんを困らせる訳にもいかないので自嘲しました。
お母さんが体温計で熱を測ったところ、三十九度もありました。
病院に連れて行って貰った結果ただの夏風邪との事で。インフルエンザとかじゃなくて良かったとお父さんが言っていました。
昨日はそれでお薬を貰っておうちに帰って、翌日である今日は一日安静に、との事で幼稚園を休んでいます。
お友達と遊びたくても我慢我慢。
お父さん、本当は有給を使って仕事を休みたかったみたいなのですが、監査? というものがあるらしく、部署責任者であるお父さんはその説明役に抜擢されているとの事で休むに休めなかったみたいです。
お父さんのお仕事の迷惑になる訳には行きません。
ですので私は笑顔でお父さんを送り出しました。
お母さんが何か食べたい物は無いか、と訊ねてきます。
ですので私は今一番食べたかったプリンを注文しました。
水枕に眠りながらエアコンの風に当たってベッドで横になっています。
お店は私の家から少し離れた所にあるのですが、自転車さんを使って行くので混んでない限りはすぐに帰って来てくれると思います。
それにしても、一人、というのは寂しいものです。
熱は昨日より下がりました。
お薬を飲んで何日かすれば回復するとの事です。
「早く元気になって幼稚園行きたいな……」
そんな事を考えていた時の事です。
「あれ? お母さんかな?」
部屋の外から物音がしました。
インターホンが鳴らなかったのは私が寝ていたら悪いと思ったからでしょうか。
少し待ちますが中々部屋に入って来ません。
気になったので部屋を出てから物音のする場所へ向かいます。
体が少し重いけれど、歩けない程ではないです。
私が寝ていたのは一階で、お母さんはどうやら二階に移動したみたいです。
二階の方から物音がします。
階段を上り物音のする部屋を覗いてみます。
「……え」
そこで見た光景に自分の目を疑いました。
箪笥の引き出しを次々と開けて血眼になって何かを探す一人の男性。
そう、男性です。
お父さんではありません。
金色に染まった髪の見知らぬおじさん。
「だ……だれ……?」
思わず、言葉が出てしまいました。
しまったと思った時には既に遅く、そのおじさんと目が合ってしまいました。
「おやあ? ここの家の子かな?」
「そ……そうです」
「お名前は?」
「有栖……」
「アリスちゃん、ね。それじゃ悪いけどアリスちゃん……死んでくれるかな?」
「えっ?」
突然、おじさんが懐から何かを取り出すと、私の方に走って来ました。
怖くなって逃げようとするけれど、大人の人の足には勝てず追いつかれてしまいます。
背中に強い衝撃。
階段から転げ落ちます。
痛い、痛い痛い痛い!!
あまりの痛さに悶え苦しみ、意識が段々薄くなっていきました。
「ありゃりゃ。勝手に死んでくれたや」
おじさんの笑い声が聞こえてきます。
鳴り響くインターホン。
お母さんが帰って来たのでしょう。
「おや、信一郎は仕事のはずだし、となると妙子さんかな?」
信一郎はお父さんで、妙子と言うのはお母さんの名前です。
このおじさんはお父さんとお母さんの知り合い、なのでしょうか?
玄関の扉が開き、その前で倒れる私とお母さんとで目が合います。
「有……栖……?」
信じられないものをみた、とでも言いたげな声。
それもそのはずで、目の前で留守番をしていたはずの私が倒れているのです。
階段から落ちた衝撃からか、傷が幾つも出来ており、頭も打った事により血だまりが出来ていました。
「えっ!? あんた……何であんたがここに!!」
「久しぶり妙子さん。殺しに来たよ」
「あんたが……あんたが有栖をっ!!」
ごめんなさいお母さん。私が倒れているのは私のミスです。
そう伝える事が出来るはずも無く、おじさんもお母さんを殺す、と宣言している事から私の事も本当に殺すつもりだったのでしょう。
せめてお母さんだけでも逃げて。
そんな願いも虚しく、私の目の前で繰り広げられる乱闘。
おじさんの持つナイフがお母さんの喉元を貫き、溢れ出る鮮血。
その光景が私の見る最後の光景となりました。
「あはは……アハハハハハッ!!」
掠れ行く意識の中、狂ったようなおじさんの笑い声が響いてきました。
続きはウェブで。
http://storie.jp/user/works/view/9290
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