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人の習慣を利用して「ちゃんと薬を飲む」ようにしてくれるアプリ

 
 
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PHOTOGRAPHS COUTESY OF PILLPACK
TEXT BY MARGARET RHODES

WIRED NEWS(US)

PillPack社のビジネスは、患者の薬をひとつのボックスに集約させているため手間はかからないが、患者がさまざまな薬局で処方された薬を出されるため、本社のスタッフがすべてのボックスを正しく管理するのが難しいことが問題だ。

そこでパーカーは、薬局や保険給付のデータを集め始めた。彼はケアワーカーとして、そうした情報にアクセスすることができる。そして誰にどのような処方箋が出ているかが瞬時にわかる「データベース」をつくった。ログインして、基本情報(年齢・誕生日・郵便番号など)を入力するだけで、基本的な指示とともに、患者の処方箋を自動で設定してくれる。

彼は「データの他の使い道に気づいた」のだと言う。

パーカーはもともとアドヒアランスをある程度理解していた。薬剤師である父親が、処方箋を患者にわたすのを少年時代に見ていたからである。薬を飲み忘れる理由は単なる物忘れだけでなく、習慣も関係する。

パーカーはコンテクスト・アウェアネスをアプリでより実現し、より直感的なものにしている。いまでは、ユーザーは位置情報にもとづくアラートも設定できる。例えば、オフィスに到着するとすぐ通知が出るような仕組みだ。この機能だけで、激戦区の市場でPillpackは他社と差別化できる。

ヘルデンブランドと彼の同僚は、スマートフォンによる服薬アドヒアランスアプリについて、2つめの論文を執筆中だ。最初の論文を共同で執筆したときは、類似アプリはおよそ150点程度だったが、いまではその数は460にものぼるという。彼のチームは100のアプリを試したが、いずれも位置情報サービスは使っていなかったという。

「テクノロジーでアドヒアランスを改善できる、その潜在的な力は必ずあると信じている」とヘルデンブランドは言う。

将来的に、パーカーは普段の活動をベースにした“トリガー”を追加することでアプリを拡大しようと計画している。例えば「朝、目覚まし時計を消すと通知が届く」といったものだ。そして、ゆくゆくはそれを、生体認証機能へと展開したいという。

「患者が服薬しないその他の理由など、まだ解決していない課題がたくさんあるが、時間をかけて解決していき、このアプリをよりよいものにしたいと考えている」

 
 
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