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 ▽宇治・山本さん手作り冊子

 9歳の少女の目にうつった戦争とは――宇治市の山本明子さん(79)が手作りの冊子「アコの戦争―70年前に 戦争がありました」を出した。いま自分の経験を若い人たちに伝えなければという強い思いに駆られて一気に書き上げた。

 山本さんは福井県敦賀市の生まれだが、中学教師だった父の転勤で兵庫県姫路市に転居。そこで空襲を体験。戦後は京都大学で薬学を学び、府内の学校薬剤師として長年勤めてきている。

 戦後70年を迎えた今年。何だか政情が、あの戦争の時代に逆行していくような不安に駆られ、「ごく普通の少女の日常にさえ、戦争の影が情け容赦なく忍び寄ってきた」あのころを記録しておかねばと思った。敗戦の日までの9年6カ月に経験した10の出来事を、等身大の「アコ(明子さん)」の目で描く。

 開戦の日(1941年12月8日)の幼稚園からの帰り道、表通りを歩いているとお店のおじさんおばさんが話してくれた。「今夜はお祝いのちょうちん行列があるんだヨ。戦争が始まったからね」▽私たちは「少国民」と呼ばれました。戦争に勝つために、子どもたちも国民としての自覚を持てという意味だったのでしょう▽兵器をつくる金属が不足し、学校の鉄棒やブランコの鎖までが撤収されました。子どもたちは古釘1本でも見つけると「供出(きょうしゅつ)、供出」と勇んで、隣組の組長さんに届けに行きました

 ――冊子には軍国少女として育っていく様子が記され、戦争が激しくなるにつれ必ずと言っていいくらいどの家にも戦死者の出ていた事実が明かされている。

 山本さんは「いま振り返ると、教育の恐ろしさがよくわかる。戦争を知らない若い人にはイメージがわかないかも知れませんが、あんな時代に戻ってはならないということをぜひ訴えたい」と話す。

 冊子は私家版。いつか本にしたい思いがある。問い合わせは山本さん(0774・22・1623)へ。