渡辺松雄
2015年8月10日03時00分
県内では9日、苓北町志岐の町コミュニティセンターで「天草郡市原爆死没者慰霊式典」があった。天草郡市原爆被害者の会の主催。被爆70年の節目に、小中学生の代表による「平和の誓い」の朗読が初めて盛り込まれ、中学生はこの中で安全保障関連法案の審議に触れた。
式典には、1町2市の首長ら約150人が参加。冒頭、亡くなった会員519人の名前が奉読された。このうち15人が今年6月までの1年に加わったという。いまの会員数は198人。樫山武久会長(76)は「原爆の辛苦の体験から、戦禍が繰り返されないよう、核兵器の廃絶と世界平和の確立を叫び続ける」と追悼の言葉を述べた。
志岐小6年の坂口陽色(ひいろ)さん(11)と苓北中3年の平井裕君(14)が、それぞれの平和の誓いを朗読。平井君は「自衛隊の活動をめぐり、いま、日本が大きく揺れている」と指摘。集団的自衛権の名のもとで活動の内容が拡大されようとしているとして、「私にはまだ詳しいことは分かりませんが、平和な暮らしを末永く続けられる方向で決断してほしい」と話した。
天草地域は、天草灘の対岸にある長崎市との結び付きが昔から強い。仕事や学校のため長崎で被爆した人が多く、毎年この日に式典を開いている。県によると、県内で被爆者手帳を持つ1234人(3月末現在)のうち、2割強の266人が天草に住むという。(渡辺松雄)
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