ADHDの子どもに多かった負傷のリスク、薬剤治療で軽減
デンマーク70万人の観察研究

from The Lancet. Psychiatry


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注意欠如・多動性障害ADHD)の症状に、道路に飛び出してしまうなどの衝動的な行動があります。デンマークの子どもを対象にした研究で、ADHDの子どもでは負傷が多かったが、薬物治療を受けていれば比較的少なかったという結果が示されました。


◆70万人のデータを解析

研究班は、デンマークの710,120人の追跡データのうちで、ADHDと診断された子どもとそうでない子どもについて、負傷の頻度を比較し、統計解析を行いました。

 

ADHDがあると負傷が多いが、治療で軽減

解析から次の結果が得られました。

ADHDの子どもは、ADHDでない子どもに比べて、10歳時点(調整オッズ比1.29、95%信頼区間1.22-1.37)と12歳時点(調整オッズ比1.30、1.23-1.37)で負傷しやすかった。5歳から10歳の間で負傷の割合は、ADHDがあり治療を受けなかった子どもでおよそ17%だったことに対して、ADHDがありADHD薬で治療された子どもについて、19%から14%に減少した。

薬物治療はまた、救急診療部受診の割合を10歳時点(28.2%、6.3-50.1)と12歳時点(45.7%、25.8-65.7)で減少させた。

ADHDの子どもでは、10歳と12歳の時点で負傷が多くなっていました。5歳から10歳の間に薬剤による治療を受けた子どもでは、負傷が5歳から比べて10歳で少なくなっていました。薬剤による治療を受けた子どもは、受けなかった子どもに比べて、10歳と12歳の時点で救急受診が少なくなっていました

 

ADHDにはさまざまな治療法が研究され、薬剤の治療で一定の効果が期待できるとされています。大きなけがを防ぐためにも適切な治療が重要なのかもしれません。


◆参照文献

Effect of drugs on the risk of injuries in children with attention deficit hyperactivity disorder: a prospective cohort study.

Lancet Psychiatry. 2015 Aug

[PMID: 26249301  ]


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*この記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。




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