ニュース
2015年08月12日 09時06分 UPDATE

「お前死ね、殺すぞ」深夜の連続コールにヘルパーブチ切れ “修羅場”の認知症介護 慢性的な人手不足の実態 (1/5)

「もっかい殴られたいんか、お前」――夜間の老人ホームで、ヘルパーと認知症の入所者との修羅場の一部始終を録音データがとらえていた。度重なるナースコールにいらだつヘルパーのこんな叫びも。「鳴らさんといて。頼むから」。

[産経新聞]
産経新聞

 「もっかい殴られたいんか、お前」「なんぼでも来い」。人手不足が常態化する夜間の特別養護老人ホームで、ヘルパーと認知症の入所者との修羅場の一部始終を録音データがとらえていた。大阪市内の特養で男性ヘルパーから「殺すぞ」と言われたり殴られたりしたとして、元入所者の男性(77)が損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は7月、特養側に慰謝料60万円の支払いを命じる判決を言い渡した。地裁は原告側が提出したICレコーダーの音源をもとに暴行・暴言を認定したが、介護施設の過酷な実態を理由に高額賠償は避けた。超高齢化社会の日本で今、介護現場はどうなっているのか。録音には度重なるナースコールにいらだつヘルパーのこんな叫びも残っていた。「鳴らさんといて。頼むから」

画像 慢性的な人手不足に陥っている過酷な高齢者介護現場。認知症の入所者が鳴らし続ける意図不明のナースコールにヘルパーのいらだちが頂点に達し、トラブルに発展するケースも少なくない

ICレコーダーでひそかに録音

 男性「もう8時過ぎとるやん」

 ヘルパー「忙しいねん。○○さん(男性)だけじゃないねん、薬いるのん」

 男性「偉そうな…」

 ヘルパー「お前が偉そうに言うな、黙っとけ。(中略)早よせい。早よ開けろ、口」

 男性「うわー、うわー。何でこんなんなんねん」

 大阪市内の特養で平成21年8月31日夜、ヘルパーの男と入所者の認知症男性の間で繰り広げられたやりとりだ。男性の次男(41)が個室のベッドの近くにICレコーダーを置き、ひそかに録音していた。

       1|2|3|4|5 次のページへ

copyright (c) 2015 Sankei Digital All rights reserved.

ピックアップコンテンツ

- PR -
日本はIT先進国になれるのか? 目の前の問題を解決しつつ、2020年に向けたITの進化を考える