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「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第18回『Period Of Plastic 2 Mercy』
POPこそがBiSの直系にして本流だーーカミヤサキ活動休止発表のUNITワンマンを観た
カミヤサキ
POPのワンマンライブで、カミヤサキが「私からお知らせがあります」と言ったとき、アイドルのライブでの「お約束」である「やめないでー!」という声が会場から起こった。しかし、彼女が以下の発言をすると、代官山UNITの場内は凍てついたかのように完全に静まり返ることになった。
「私は、この代官山UNITをもって無期限活動休止と、事務所からの判断でなります。イベントの禁止事項を遵守できなかったこと、マネージメントからの指示に従えなかったことが理由です。」
カミヤサキが「楽しい雰囲気を壊してすみません」と明るく振る舞っても、突然の発表に場内は静まり返っていた。POPのリーダーのカミヤサキが突然無期限活動休止に入る衝撃は、それほど大きなものだったのだ。
2015年8月9日に開催されたPOPのファーストワンマンライブ。それは、前身であるカミヤサキ(元BiS)とミズタマリ(いずこねこ)によるプラニメが1月10日に開催した代官山UNITでのワンマンライブに、POPとして再チャレンジする意味もあったのかもしれない。5月31日にミズタマリが脱退し、6月1日に加入が発表された新メンバー、イヌカイマアヤ、ヤママチミキ、シグサワアオ、ユメノユアとともにカミヤサキが再び臨んだ代官山UNITだった。
POP
その新メンバーが発表された6月1日には、プラニメが“Period of Plastic 2 Mercy” 、正式名称「POP」に改称されることも発表された。ふだんは「ピオピ」とも呼ばれる。
POPは、6月28日に開催された「ギュウ農フェスvol.3 羽田空港アイドルフライトだっぺ!」で初ライブを行った。私は7月2日に初めてPOPのライブを見たが、BiSの派生グループとしては解散後約1年を経て遂に生まれた最高のグループだと直感した。それは私だけの感覚ではなかったはずだ。POPのライブは回を重ねるたびに称賛を浴び、BiS解散後にアイドル現場から遠ざかっていた元研究員(元BiSファンの総称)すら再結集させていった。耳の早い他の界隈のヲタも続々と集まり、ほんの短期間に、目に見えてファンの層は厚くなっていった。それは驚くべき勢いだった。
忘れがたいのは、7月18日に新宿RUIDO K4で開催されたライブだ。プラニメからPOPになった後、POPはいわゆる地下アイドルイベントに頻繁に出演していた。その中でもこの日は、会場内が異様な熱気に包まれ、EDMなのにウォール・オブ・デスが自然発生するほどの狂気と馬鹿馬鹿しさが渦巻いていた。終演後に地上に出ると、その日のあまりの盛りあがりに「POPのファンの総称は『研究員』でいいのではないか」という話題すら出たものだ。
そう、5人編成に生まれ変わったPOPは、最初期から5人時代までのBiSを髣髴とさせるものがあった。カミヤサキのもとに集まった、彼女よりも若いメンバーたち。しかも、まったくキャラクターに統一性がなく凸凹しているのだが、それが不思議とひとつのグループとしてのバラエティを生み出していた。なかなか計算しても作り出せない掛け算のマジックだ。
ふだんはあまり感情を表に出さないようでいて生誕祭ではボロ泣きするイヌカイマアヤ、アイドル志望ではなかったのにカミヤサキを慕うあまりメンバーになったヤママチミキ、最年少の高校生ながらヴォーカルに強い魅力を感じさせるシグサワアオ、そして「病みキャラ」ゆえに一部の病んでいる(というか狂っている)ファンを獲得しているユメノユア。彼女たちとカミヤサキによるPOPは、ライブを開始した直後の試行錯誤を経て、やがて隙だらけながらもタフで、常にユーモアも感じさせるグループへと一気に成長した。
POP
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