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 第2次世界大戦中の空襲などによる戦災死者のうち、氏名がわかっていても遺族に引き取られなかった遺骨が全国8都市に7400柱以上あることが朝日新聞の調べでわかった。一家全滅や戦中戦後の混乱で遺族が引き取れないケースが多かったとみられる。旧日本兵ら戦没者の遺骨収集・返還を国が続ける一方で、民間人中心の戦災死者は対象にしておらず、実態がわかっていなかった。

 朝日新聞は沖縄県のほか、全国戦災都市連盟に加盟していた自治体のうち戦災死者100人以上の記録がある71都市を対象に、自治体や民間団体、遺骨が安置されていると確認できた寺などに状況を尋ねた。

 その結果、着衣の名札などで氏名が分かる遺骨は8都市で7400柱以上あった。

 東京都では3701柱、広島市では815柱、長崎市では122柱が個別に安置されていた。各都市では年に数件の問い合わせがあり、引き取られるケースもある。一方で、「一家全滅で引き取り手がない遺骨も多い」(長崎原爆資料館)という。

 釜石(岩手)、横浜、浜松、大阪、堺の5市でも、氏名が判明している遺骨が計2700柱以上あった。まとめて火葬や埋葬をされており、現在は引き取りできない状態になっている。

 また、氏名がわからない遺骨は13都県市で30万柱以上あり、慰霊堂や寺で合葬されていた。国内の戦災死者は50万人以上といわれる。