国家公務員:ゆう活1カ月、評判はいま一つ

毎日新聞 2015年08月01日 10時42分(最終更新 08月01日 11時19分)

日没後も多くの部屋で照明が輝く霞が関の官庁街=東京都千代田区で2015年7月31日、喜屋武真之介撮影
日没後も多くの部屋で照明が輝く霞が関の官庁街=東京都千代田区で2015年7月31日、喜屋武真之介撮影

 国家公務員22万人を対象にした朝型勤務「ゆう活」の開始から1カ月が過ぎた。安倍内閣が掲げる「働き方改革」の目玉だが、国会が9月27日まで大幅延長された影響などで仕事量は減らず、職員の評判はいま一つ。このままでは「かけ声倒れ」に終わりかねない。

 7月のある日の厚生労働省。午後5時半を過ぎてもパソコンに向き合う職員は多い。30代男性は始業時間を繰り上げ、午後5時15分に退庁する計画を立てたが、勤務記録には初日の7月1日から残業を示す「×」が並ぶ。

 ゆう活は7月と8月の勤務時間を1〜2時間早める取り組み。内閣人事局によると、7月1日には中央省庁職員の6割に当たる約2万3000人が参加したが、定時退庁は65%にとどまった。

 職場の意識は徐々に変わりつつある。内閣人事局の30代女性は「みんなが早めに帰ろうとするので、気兼ねなく子どもを保育園に迎えに行ける」と話す。厚労省の30代男性はゆう活で家族の夕食を作るのが楽しみだ。

 一方で懐疑的な見方も少なくない。「旗振り役」の内閣官房や内閣府にはゆう活への参加を拒みにくい雰囲気があるといい、内閣官房の20代男性は「実施率を上げるために、実際には働いたのに『帰宅した』と回答する職員もいる」と明かす。早期退庁できなければ、始業時間を早めた分だけ長く働くことになるが、「残業時間が増えることを想定した予算措置はしていない」とサービス残業の増加にも不満を漏らす。

 長時間労働がしみついた管理職からは「早く仕事を終わるのはいいが、夜の飲み会まで何をして過ごせばいいのか」というぼやきも漏れる。【細川貴代、樋口淳也】

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