エルニーニョ:影響に周期性? 海洋研など指摘
毎日新聞 2015年07月30日 03時00分(最終更新 07月30日 06時33分)
ペルー沖で海水温が高くなる「エルニーニョ現象」と日本の冷夏の関係について、強く関連し合う時期と、あまり関連がない時期が数十年周期で繰り返しているとの研究成果を、海洋研究開発機構や東京大などの研究チームが英国気象学会の学術誌に発表した。関連が強い時期はエルニーニョの状況から、国内の夏の気候を予測しやすく、弱い時期は難しくなると考えられる。
過去117年分の日本と台湾の気圧や、日本のコメの収穫量、中国・長江の流量などのデータを解析した。2000年代以降は両者の関係が弱まってきており、チームは「現在は、夏の予報が困難な時期になっている可能性がある」と話す。
チームは、日本の天候に大きな影響を与えるとされる東アジアから太平洋の夏の気圧分布に着目。エルニーニョ現象に応じて気圧分布が変化する時期は、前年冬にエルニーニョ現象が観測されると、日本は冷夏になってコメが不作になり、長江で洪水が起きた。
一方、エルニーニョ現象の有無と気圧分布の関連が弱い時期は、エルニーニョ現象が観測されても日本の夏が暑かったり、コメが不作でなかったりすることがあった。関連が強い時期と弱い時期は数十年ごとに入れ替わっており、1900年代〜10年代、30年代、80年代は関連が強く、2000年代以降は関連が不明瞭になっていた。
海洋研究開発機構の久保田尚之研究員(気象学)は「エルニーニョの翌年は日本は冷夏、という予測が使えない時期があるようだ」と話す。【伊藤奈々恵】