タリバン最高指導者:オマル師の死亡確認…アフガン政府

毎日新聞 2015年07月30日 11時14分(最終更新 07月30日 11時18分)

アフガン南部カンダハルの旧タリバン政権最高指導者オマル師の邸宅跡。大部分は米軍の空爆で破壊されていた
アフガン南部カンダハルの旧タリバン政権最高指導者オマル師の邸宅跡。大部分は米軍の空爆で破壊されていた

 【ニューデリー金子淳】アフガニスタンの大統領府は29日夜(日本時間30日未明)、アフガンの旧支配勢力タリバンの最高指導者、ムハンマド・オマル師が2013年4月にパキスタンで死亡したと確認したと発表した。アフガン政府が公式にオマル師の死亡を発表したのは初めて。タリバン側の公式発表は出ていない。AP通信によると、米ホワイトハウスのシュルツ副報道官は同日、オマル師の死亡を伝えた報道について「信用できる」と述べた。

 オマル師は01年のアフガン戦争でタリバン政権が崩壊してから消息が分かっておらず、これまでもたびたび死亡説が流れていた。タリバンはそのたびに否定し、7月半ばにもオマル師名義の声明を発表するなど「健在ぶり」をアピールしていた。

 アフガンの大統領府や情報機関・国家保安局の報道官によると、オマル師は約2年4カ月前、病気のためパキスタン南部の最大都市カラチの病院に入院し、後に死亡したという。死因については「不明」としており、情報源についても明らかにしていない。

 一方、パキスタンのメディアは発表に先立ち、タリバン政権の元閣僚の話として、オマル師が結核で死亡し、アフガン領内に埋葬されたことや、オマル師の息子が遺体を確認したなどと報じていた。

 アフガン政府は7月上旬にタリバンと和平に向けた公式協議を行い、今月末にも2回目の会合を持つ見通しだった。オマル師の死亡が発表されたことで、和平協議の進展にも影響が出るとみられる。

 タリバンの公開資料などによると、オマル師は1960年、南部カンダハル州で生まれたとされる。94年に内戦下でタリバンを結成。約2年後に首都カブールを制圧し、テレビや音楽を禁じるなどイスラム教を厳格に解釈した統治を行った。01年3月にはイスラム教が禁じる「偶像崇拝」だとして、中部バーミヤンの石仏を爆破し、世界の非難を浴びた。

 01年9月に国内にかくまっていた国際テロ組織アルカイダの最高指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者(11年に米軍が殺害)が米同時多発テロを起こしたが、オマル師は米国の引き渡し要求を拒否。米国などがアフガンを空爆、政権が崩壊した。

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