安保法案:首相「野党は対案を」 参院実質審議始まる

毎日新聞 2015年07月28日 11時33分(最終更新 07月28日 11時44分)

参院平和安全法制特別委員会で答弁する安倍晋三首相=国会内で2015年7月28日午前9時38分、竹内幹撮影
参院平和安全法制特別委員会で答弁する安倍晋三首相=国会内で2015年7月28日午前9時38分、竹内幹撮影

 安全保障関連法案を審議する参院平和安全法制特別委員会は28日午前、安倍晋三首相らが出席する総括的質疑を行い、実質審議入りした。首相は「衆院では維新の党に対案を提出してもらい、議論がかみあったところもあった」とし、「野党にも対案、独自案を出してもらい、できる限り一致点を見いだす努力を重ねていくことが与野党を問わず政治家の責務だ」と述べた。

 首相は「わが国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増している。政府、政治家は国民を守るための『必要な自衛の措置』は何かを考えなければいけない」と関連法案の必要性を強調。自衛隊が訓練を行うには法律の整備が必要だとし、「日米間でも十分な連携は一朝一夕ではできない。あらゆる事態に対処できるよう、一日も早い法整備が不可欠だ」と主張した。

 首相はまた、中国が南シナ海で行っている大規模な埋め立てや東シナ海でのガス田開発などに触れ、「状況は大きく変化しており、わが国のみで(主権を)守り切ることはできない」と指摘。中国の海洋進出を例示し、法案の必要性を強調した。

 また、北朝鮮のミサイルが発射された場合、米国の衛星や艦船と自衛隊の艦船が連携して軌道を計算するなど日米による共同対処が必要になると説明したうえで、米艦船への攻撃を防ぐことを「日本を守るための集団的自衛権行使」に位置付けた。

 衆院では約116時間の審議を行ったものの、関連法案に対する国民の理解は広がらず、報道各社の内閣支持率は軒並み低下している。質問に立った佐藤正久氏(自民)は、中国の海洋進出や北朝鮮のミサイル・核開発などに積極的に言及し、政府側に法整備の必要性を繰り返し尋ねた。午後には民主党の福山哲郎氏、小川敏夫氏らが質問を行う予定。【青木純、飼手勇介】

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