東京オリンピック・エンブレムはもう無理筋

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2015.08.10

経営・マネジメント

東京オリンピック・エンブレムはもう無理筋

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 芸術学部 芸術計画学科 哲学教授

/サントリーのトートバッグのデザインの元ネタが割れてしまった以上、著作の独立性を主張するのはもはや無理。これ以上、無理を重ねると、損害額が拡大し、偽ブランド品のように廃棄処分しなければならなくなるゴミが増えるばかり。そして、最後には、だれかが責任を取って、クビを吊らなければならなくなってしまう。/


 (そのほか、ニーチェの独文の警句を英文で引用して、名前の綴りがコピー元のままに間違っていたり、革装幀の横書の洋本が右開きなうえに、ペーパーバックのように背が内側にそっくり返っていたり、よくまあ、こんな粗雑なデザインでカネを取っているものだ、と感心した。世界から洋酒の輸入をしているサントリーなら、外国文化に親しんでいる者もいるだろうに、だれか事前に指摘してやる者は、ひとりもいなかったのか? ついでながら、スイカの種は皮の周辺には無いし、ロングのままクロールで泳ぐ女性もいない。芸術系なら大学以前に、現実の物事を自分自身の目で直接に見る、ということを徹底的に教え込まれてきているはずなのだが。)


 いくらいま商標権がこっちにあったって、それに自分たちの著作権が無ければ、商標権は取り消しになる。これ以上は、もう無理だ。日々刻々、国家予算を使って、損害額が果てしなく拡大していく。そうなったら、取り返しがつかない。著作権違反のものなど、偽ブランド品と同様、すべて破棄処分しないといけなくなる。すべてがゴミになる。こうなると、だれかが責任をとって首を吊るしかなくなる。新国立競技場と同様、早く政治的決断をしないと、いよいよ収拾がつかなくなる。(たとえ原告を黙らせても、たとえ裁判で勝っても、これだけ他にネタが出てしまっている以上、よけい日本政府の政治的圧力の悪いウワサが国内外に広まるだけ。まして負けたら救いようがない。もはや両詰まりのチェックメイトだ。だから、へたに白黒をつけようとせず、みずから「潔く」手をひいてしまって、あいまいなまま手うちにしたほうが、今後のためにも賢明というもの。)

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 芸術学部 芸術計画学科 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、グーテンベルク大学客員教授などを経て現職。

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