対北心理戦突入の韓国軍「米ステルス機出動要請の可能性も」

北朝鮮向け拡声器放送は「北のアキレスけん」突く心理戦

対北心理戦突入の韓国軍「米ステルス機出動要請の可能性も」

 韓国軍当局が10日午後、非武装地帯(DMZ)の一部で北朝鮮向け拡声器放送を再開したのは、北朝鮮が最も敏感に反応する「アキレスけん」が拡声器放送だからだ。合同参謀本部は同日、北朝鮮に対する警告声明で「北朝鮮の挑発に相応する厳しい代価を払わせる」と述べたが、その措置の第1段階を開始したものだ。

 北朝鮮向け拡声器放送はビラと共に代表的な対北朝鮮心理戦の武器だ。北朝鮮向け拡声器放送は2004年6月の南北合意により中止され、放送設備が撤去されたが、10年3月の北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」爆破・沈没事件を受け、対北朝鮮制裁措置の一つとして再開することになった。だが、実際には拡声器がDMZ近くに設置されたものの、歌謡曲などを流すFM放送だけを流し、直接心理戦につながる内容の放送はしていなかった。

 しかし、韓国軍当局は今回、中部・西部戦線の2カ所で北朝鮮向け拡声器放送を再開した。また、夜にも不規則かつ継続的に放送を無期限実施する方針だ。拡声器放送の内容については「北朝鮮をひぼう中傷するものではなく、韓国の体制の優位性を伝え、北朝鮮による挑発の不当性を知らせることに焦点を当てるもの」と軍消息筋は話している。

 北朝鮮はこれまで、拡声器放送を含む心理戦に非常に敏感な反応を示してきた。南北対話の条件として金正恩(キム・ジョンウン)第1書記に対する「冒涜(ぼうとく)」報道や韓米軍事訓練中止と並び、心理戦の中止を3大条件に掲げるほどだった。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権は外部情報の流入、特に3世代にわたる世襲や金一族の不正など、独裁による権力内部の非道徳性を告発する情報を何よりも恐れてきた。拡声器放送やビラ散布などの心理戦は、物資不足で戦力事情が芳しくない北朝鮮が韓国より劣っている戦力の一つだ。北朝鮮が拡声器などの心理戦に対し「照準射撃をする」と脅すのも、そうした理由のためだ。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者 , 黄大振(ファン・デジン)記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 対北心理戦突入の韓国軍「米ステルス機出動要請の可能性も」

right

関連ニュース