国保:子ども多い世帯の負担軽減 2018年度から

毎日新聞 2015年07月25日 09時40分

 厚生労働省は、自営業者らが加入する市町村の国民健康保険(国保)について、子どもの数が多い世帯の保険料を軽減する方針を固めた。現在は世帯の人数が多いほど保険料が高くなる仕組みで、子どもの多い世帯の負担が重くなっている。このため、子育て支援の一環として2018年度から負担軽減を実施する。5月に成立した医療保険制度改革関連法に伴い、市町村への財政支援の拡充が決まっており、そのための財源約700億〜800億円の一部を充てる。

 国保の保険料の算定方法は、所得に応じて決まる「所得割り」▽世帯の人数が多いほど高くなる「被保険者均等割り」▽各世帯が等しく負担する「世帯別平等割り」▽資産を基準に金額を決める「資産割り」−−があり、各自治体は2〜4種を組み合わせて保険料を決めている。ただし、被保険者均等割りは必ず含めなければならず、子どもの多い世帯の保険料が上がる仕組みになっている。

 医療改革法では、市町村が一括運営している国保に関し、18年度以降、財政運営を都道府県に移すこととしている。法制化に当たり、政府は都道府県側の意向を踏まえ国保の財政支援の拡充を決めている。子どもの保険料軽減は都道府県側が求めていた経緯があり、支援の一部で子どもの多い世帯の負担軽減策を導入する。

 一方、保険料の決定・徴収は18年度以降も引き続き市町村が行うこととなっている。政府は、市町村に対し、財政支援の一部を子どもの多い世帯の保険料引き下げに充てるよう促す。具体的な軽減措置は、最終的に市町村が決めるが、保険料算定の際に所得割りや資産割りの比重を高めることなどが想定されている。今後、国保に関する国と地方自治体との協議の場でも議論する。

 子どもの医療をめぐっては、医療機関の窓口での自己負担(小学生以上3割、未就学児は2割)を市町村が独自に軽減した場合、国保への国庫負担を減額する措置があり、地方側が見直しを要請している。厚労省は近く検討会を設けて、軽減による安易な受診につながらない取り組みとセットで、見直す方針だ。【堀井恵里子】

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