ギリシャ議会:金融改革法案を可決 EUと支援交渉開始へ

毎日新聞 2015年07月23日 11時18分(最終更新 07月23日 12時55分)

 【ローマ福島良典】ギリシャ議会(1院制、定数300)は23日早朝(日本時間同日午前)、欧州連合(EU)との支援交渉を開始するための前提条件となっている金融・司法改革法案を賛成多数で可決した。これを受け、EUとギリシャ政府は24日にも、3年間で最大約860億ユーロ(約11兆6500億円)の金融支援について交渉を開始する。チプラス首相率いる与党・急進左派連合から法案反対の造反議員が出たが、16日の財政改革法案可決時よりも減り、首相は求心力を維持した。

 法案は銀行破綻時に保護される預金の上限を10万ユーロ(約1350万円)に設定する預金保険制度の導入が柱。債務危機を受けてEUが加盟各国への指令として定め、ギリシャ政府にも適用を求めていた。また、煩雑だった民事訴訟の法的手続きを効率化し、費用を削減するための司法制度改革も盛り込まれた。

 チプラス首相は採決前、EUから支援条件として要求されている改革法制化について「新たな状況に順応しなければならない」と述べ、法案への賛成を呼びかけた。ギリシャメディアによると、採決では急進左派連合(149議席)から31人が反対、5人が棄権したが、最大野党の中道右派・新民主主義党など親EU派野党が賛成に回った。採決結果は賛成230、反対63、棄権5、欠席2だった。財政改革法案に反対票を投じたバルファキス前財務相は今回、賛成した。

 法案可決を受けて、EUなど債権者側の交渉団がギリシャ入りし、24日から支援交渉を開始する見通し。ギリシャ政府は欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債約32億ユーロ(約4300億円)の償還(借金返済)期限である8月20日までに交渉を終えたい考えだ。

 財政改革法案の採決ではラファザニス・エネルギー相を含む急進左派連合議員39人が造反したため、チプラス首相は内閣改造で造反閣僚を更迭した。首相は今後、EUとの支援交渉妥結を最優先する方針とみられるが、野党の支持に頼った政権運営を続けるのは困難で、今秋にも総選挙が実施されるとの観測が強まっている。

 議事堂前では22日夜(日本時間23日未明)、改革法案に反対する公共部門労組などの呼びかけで約1万人がデモを繰り広げたが、大きな混乱はなかった。

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