政務活動費:神戸市議選直前に1120万円「陣中見舞い」

毎日新聞 2015年08月10日 23時08分

 神戸市議会の会派「自民党神戸」が政務活動費(政活費)を使って架空のアンケート調査を委託していた問題で、不正に受け取った政活費約1400万円のうち1120万円が、今年4月の市議選前に会派が支援する15人に「陣中見舞い」として配られていたことが10日、分かった。架空委託を認めた後、6日に病死した大野一市議(当時62歳)の代理人弁護士らが明らかにした。【久野洋、井上元宏】

 代理人の阪本豊起弁護士は市議会各会派の代表者会議で報告した後、当時会派団長だった浜崎為司市議(現在は別の自民系会派)らと記者会見した。

 説明によると、1120万円は大野氏が窓口になり、2010〜14年度、米国に本店を置く業者に対する11件の委託費の名目で会派として受け取っていた。3月下旬、市議12人に計1020万円、出馬予定の新人5人に計100万円が配分された。うち女性市議1人が直後に返還、新人1人には届けられなかった。

 浜崎市議は、会派総会の場で封筒に入った金を自身が配ったことを認めたが、「大野氏から原資についての説明はなく、尋ねる筋合いのものでもない。親分肌なので、自分で資金を捻出したと思った」と釈明。政活費が原資だったことは「知らなかった」と述べ、会派ぐるみでの流用は否定した。

 一方、阪本弁護士は「大野氏が1人で(不正を)やったのはあり得ない。陣中見舞いが大野氏の私財から出たと思って受け取った方はいない」と会派ぐるみの可能性に言及。さらに、別の業者に委託したとされる4件273万円について、この業者との仲介役とされ、市議選で落選した30代の男性に「カンパ」名目で渡っていた可能性を指摘した。

 大野氏は7月6日、計15件約1400万円に利息を加え、会派として市に返還していた。その際、陣中見舞いを受け取って当選した議員が「資金協力」として相当額を負担したという。

 一方、別の自民系会派「自民党」は10日、大野氏と、米国業者の関係者に対する虚偽公文書作成・同行使容疑の告発状を兵庫県警に提出した。浜崎市議ら「自民党神戸」にいた市議の多くが現在、この会派に移っており、大野氏も先月29日まで所属していた。

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