ギリシャ:銀行再開 限度額が1週間分最大420ユーロに
毎日新聞 2015年07月20日 20時29分
【ローマ福島良典】財政危機のギリシャで20日、預金流出による資金不足のために休業していた銀行が営業を再開した。窓口業務の再開は6月29日にチプラス政権が資本規制を導入して以来3週間ぶり。国内各地の銀行に顧客の行列ができた。
欧州連合(EU)とギリシャの金融支援交渉開始の合意を受け、欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行に対する資金供給を増額したことに伴う措置。これにより、閉鎖されていた銀行の業務が一部正常化する。
預金引き出し額は1日60ユーロ(約8000円)に制限されていたが、1週間分として最大420ユーロ(約5万6000円)を一度に引き出せるようになった。顧客はこれまでのように連日、現金自動受払機(ATM)の前に並ばなくてすむ。
キャッシュカードを持っていない年金受給者を除き、銀行業務はATMでの預金引き出しに限定されていたが、貸金庫からの現金引き出しや公共料金支払いなどの窓口手続きが可能になった。だが、海外送金は引き続き認められない。
また、レストランやタクシー料金などの付加価値税(日本の消費税に相当)の税率が20日、13%から23%に引き上げられた。付加価値税の増税はEUから金融支援を受ける条件の一つとなっていた。
チプラス首相は17日、EUとの金融支援交渉開始の前提である財政改革法案に反対した造反閣僚を更迭する内閣改造を行った。22日には、銀行の再建・破綻処理や民事訴訟効率化のための法案を議会で可決させなければならない。
与党・急進左派連合系の新聞によると、首相は関連法案の議会採決で反対票を投じる造反議員が多くなれば、自ら辞任する考えを示唆しているという。