2015-08-11

これから日本アニメ映画絶対ピクサーに勝てない

NHKプロフェッショナル細田守氏の特集みた。

いい話だけど、

この方式で出てくる作品

量と質は、もう限界に来ている。

 

宮崎駿氏が引退した中で、

次の日本アニメ旗手は細田氏だっていう世間的な期待とプレッシャー

あるんだろうけど、

仮に細田氏の手法日本ベストなら

いくら続けても絶対ピクサーを超えられない。

 

バケモノの子映画館で見た。

びっくりするほど興ざめだった。

 

あの、映画って、表現を通じてお客さんの感性を刺激して、

心の中にどういう化学反応を起こすのかというところが

エンターテインメントとして一番の肝でしょ。

 

それをさ、全部わざわざセリフでご丁寧に説明したら、なんの余韻も想像余地もないじゃない。

どんなお客さん想定して作ってんのよ。

 

あと、ビジュアルにこだわっているのにほとんど演出意味のないシーンが多かったのも

正直まったく共感できなかった。

なんだこれっていう。

 

これね、たぶん細田氏が悪いんじゃないよ。

NHK番組見てて思ったけど、誰も細田氏に対して何も言えてない感じっていうか、

完全に細田氏の「おれのかんがえるさいきょうのシナリオ」になってて

それが全肯定されてると見えるんだが。

 

どんな能力あるクリエイターでも、映画みたいに巨大なプロジェクトになったら、

ひとりの考えだけで進んだら歪んでいって、お客さんを置き去りにした

自分勝手作品に進んじゃうんだよ。

そういう映画にならないように、ストーリー表現作品全体を

仕上げていくのが「チームの仕事」の本質でしょう。

 

それを組織文化として、徹底的にこの20年間やり続けてきたのが、ピクサー

ピクサーは、ひとりの天才依存した映画づくりをしていない。

チームで人を育て、チームで面白い映画を作り続けることをミッションに、

試行錯誤しながら前進し続けている。

 

一方でスタジオジブリ宮崎氏も、細田氏の手法も、完全に1人の監督依存スタイル

これだと、その監督が変な方向に走って行く危険だとか、

あるいは監督に親しい有力者が介入して作品スポイルしていく危険だとかが野放しになっているし

実際最後のほうの宮崎作品とか、今回の細田作品とかも、その危険が実際の作品の質の

低下につながっていると思える。

 

あと、この方法だとまったく人が育たないよね。

宮崎氏の引退で、日本アニメの終わりみたいな現象が起きてる時点で、詰んでる。

 

俺、一時期、アカデミー賞アニメーション映画ピクサーばっかりが受賞してたとき

日本アニメは正しく評価されてないんじゃないかと思ってたんだけど、

今ならそれは間違った思い込みだったとよく分かる。

 

どう考えても、ピクサー経営と、映画の作り方こそが、

持続的に、クオリティの高いエンターテインメントを出し続ける方法

オスカー受賞し続けるのは当たり前。

2001年千と千尋の神隠しが受賞したのは、天才宮崎の属人手法日本アニメ選手たまたま傑作を生んだだけ。

 

細田氏的な、日本アニメの作り方を日本人が絶賛し続けて、

かつバケモノの子くらいの映画が本当に面白いと思ってしまう人が沢山いる時点で、

これから日本アニメーション映画の質が持続的に高くなる可能性は極めて低いと言わざるをえない。

 

残念だ。

残念なガラパゴス

 

俺はピクサーを見るよ。

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