今大会最大の大番狂わせを起こした要因は、三塁コーチャーの目だった――。
第97回全国高校野球選手権は9日、春夏を通じて初出場の津商(三重)が優勝候補の智弁和歌山(和歌山)を9-4の逆転で破る大金星を挙げた。
2-2で迎えた6回2死二塁。7番・栗谷太智が中前タイムリー。これが決勝点となった。
このV打を陰でアシストした選手がいた。背番号16の2年生・上嶋悠斗。仕事は、三塁コーチャーである。
栗谷が打つ直前、智弁和歌山の外野は前進気味に守備を敷いていた。しかもセンターに抜けた打球は痛烈。ところが、上嶋は迷うことなく「仕事場」で165センチの全身を使って腕を回し、二塁走者をホームに導いた。
2死であることを差し引いてもスタンドの観客には無謀に映っただろう。ただ、上嶋だけは違った。
「いけると思いました」