この映像は終戦直後の新橋や渋谷(道玄坂)、横浜などをGHQが35mmフィルムで撮影した素材なんですが、これまでイメージするあの時代の記録フィルムの解像度をはるかに超えているのでまるで最近みたいに見えます!

以前facebookで紹介したところ、その解像感に驚きのコメントが寄せられ、撮影場所の特定をする人も多く現れました。

最初のカットは新橋駅前から虎ノ門方向にカメラが歩道を後退していきます。次のカットは逆方向です。3カット目はそれを対岸から撮影しています。4カット目の着物の女性が歩いてるのは渋谷の道玄坂です。

ステディカムのようなカメラの防振装置もない時代に大きな35mmカメラを凸凹の歩道でどのように後退させたのか映像技術的にも気になります。機材車と思われるGHQのトラックが1カット目の後半に写っています。

撮影場所よりさらにすごいのが撮影時期を特定した人がいたことです。

最初のカットで新橋方面から有楽町方面に通過する省線(今の山手線もしくは京浜東北線)に注目した人がいました。よく見ると最後の車両に白いラインが入っています。これはGHQ専用の車両だそうです。1951年公開の大映映画「西城家の饗宴」にも登場しています。

GHQは1945年から1952年まで7年間日本を占領していましたのでその時期に撮影されたものであることがわかりました。さらに時期を絞り込むためにスゴいところに着目した人がいました。

動画の17秒あたりに右に日比谷病院の看板が貼ってある電柱が出てくるんですが下に「今井ハツ」という貼り紙があることに気づいたのです。これはもうパソコンの全画面で再生して見ないと気づかないようなディテールなんですが、35mmフィルムということもあって見えるんです。

この今井ハツという人物を調べてみると1946年に行われた戦後初の衆議院選挙で日本自由党から出馬して当選し、日本初の女性代議士になった人ということがわかります。

その選挙ポスターが貼られている(もしくは選挙後に残っている状態)ということから

この動画は1946年から1947年に撮影されたのではないだろうか?という推測に至ったというのです。

つまり、終戦の翌年の映像である可能性が高いわけです。

この事実を前にもう一度この映像を見て下さい。

終戦の翌年にもかかわらず人々はイキイキとした表情をしています。女性は着物を着ていたりします。

1946年という時期を考えればほとんどの人が戦争で肉親や親族を亡くしているでしょう。一億総遺族という状態にも関わらず、戦争が終わり平和が訪れた!ということの安堵感と希望のようなものをこの映像から感じるのは私だけではないはずです。

もしこのコラムを読んでこの映像が見たくなったらぜひスマホやパソコンで一度再生して下さい。

そしていいね!やツイートで広めていただけたらと思います。

終戦70周年の8月10日に平和への想いを込めて記します。