グーグルアルファベットという会社名に社名変更します。そのスペルはAlphabetですが、意味としてはAlpha-bet、つまり通常以上のリターンを出す(=Alpha)賭け(=bet)というわけです。

アルファベットは持ち株会社の体裁を取り、ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン、そして最近モルガンスタンレーからグーグルのCFOに移籍したルース・ポラートが引き続き経営します。

そしてグーグルは、この持ち株会社の子会社になります。そしてグーグルのCEOにはスンダー・パチャイが就任します。彼はもともとグーグル・クロームの責任者でしたが、その後、アンドロイド部門の責任者、グーグルの全てのネット事業の責任者などを歴任してきました。YouTubeも、グーグルの一部門としてスンダー・パチャイの責任領域となります。

さて、これまでグーグルの中に含まれてきたビジネスの中で、本業とは余り関係の無かったビジネス、具体的にはグーグル・ベンチャーズ、グーグル・キャピタル、キャリコ(バイオ)、グーグル・エックス(ドローン、糖尿病センサー付きコンタクトレンズ)などは別会社としてアルファベットの傘下に入ります

今回のリストラクチャリングは、ある意味でこのところメキメキと頭角を現してきたスンダー・パチャイの実力をラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが認め、彼にグーグル・インクのCEOとして存分に腕を振るわせるための「舞台」を用意したものと言えます。ただ、それはラリーとセルゲイがグーグルの経営権をスンダーに渡すということを意味しません。持ち株会社という立場から、引き続き「親分風を吹かす」ことが出来るわけです。

ラリー・ペイジは色々な新しいベンチャーにもっと時間を使えることになります。またラリーは声帯の問題を抱えているので、決算カンファレンスコールなどの場を仕切るのは好きではありません。

今日、このニュースを受けてグーグル株は+6%程度上昇しています。投資家は(これでグーグルに秘められた様々なベンチャーの隠れた価値が顕在化するのではないか?)と期待しているわけです。

ただグーグル・エックス、キャリコ、その他のこれらの事業は、まだ収益を出せる独立起業としての体を成していません。なのですぐにこれらの企業がIPOされるという風には考えない方が良いと思います。