【北京=島田学】中国政府が5日発表した2014年の国防予算(中央政府分)は、前年実績比12.2%増と4年連続で2けた増となった。中央政府分だけで8082億元(約13兆4400億円)と、初めて8000億元の大台を超えた。沖縄県の尖閣諸島を巡る問題や南シナ海問題などを念頭に、海空両軍で最新鋭装備の導入を急ぐ。米国が国防費の削減を迫られるなか、中国の軍事的台頭は日米や周辺国の懸念をさらに強めそうだ。
国防予算の公表額は引き続き米国に次ぐ世界2位で、米国の15会計年度(14年10月~15年9月)の国防予算案(戦費除く)の4分の1強。日本の14年度予算案の防衛費(約4兆8800億円)の約2.7倍にあたる。
今回は地方分などを含めた全国分の国防予算を公表しなかったが、計上額は前年から900億元(約1兆4900億円)ほど積み増した8280億元(約13兆7600億円)規模とみられる。
国防予算の内訳は依然不透明だ。中国軍が中心的な役割を果たす宇宙関連の開発費などは含まれていない。近年では、軍の人件費を国防予算と別の費目で計上し、国防予算の公表額を抑制しているとの指摘も多い。実際には公表額の2倍を超える額が投入されているというのが通説だ。
李克強首相は5日開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)での政府活動報告で「平時における戦闘への備えと、国境・領海・領空防衛の管理やコントロールを強化する」と強調。なかでも「国家の海洋権益を断固守り、海洋強国づくりに大いに力を入れる」と述べ、尖閣問題などを念頭に、主権・領土問題では他国と妥協の余地はないとの姿勢を示した。
中国が経済成長率の鈍化にもかかわらず国防予算の増額に歯止めをかけないのは、米軍が掲げるアジア太平洋への回帰に対抗するためだ。現在、旧ソ連製空母を改修した中国初の空母「遼寧」に続く、国産空母の建造を始めている。空軍もステルス戦闘機の開発を急ピッチで進めている。
海軍が活動範囲を急速に広げていることも一因だ。中国が経済発展を続ける上で、原油などエネルギー資源の安定供給は不可欠だ。原油の供給源である中東からインド洋、南シナ海へと抜けるシーレーン(海上交通路)の確保は、海軍の新たな役割となりつつある。これまで中国近海や西太平洋が中心だった海軍の軍事演習も、近年ではインド洋でも実施するようになった。
中国の国防予算の増額を受け、中国との摩擦を抱える日本やフィリピンなど周辺国での懸念は高まるばかりだ。ただ、中国海軍の尹卓少将は「中国の国防予算は常に国内総生産(GDP)の1.4~1.6%の範囲内に抑えている」と主張。「米国の軍事費がGDPの4.2~4.8%に当たるのに比べ、中国の方が抑制的だ」と反発している。
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