2015-08-10
■暑過ぎて、夏 〜2015年夏に見た映画〜
フィルマークスという映画のレビューアプリが発行しているウェブ・マガジン「FILMAGA」さんに「映画について文章を書いたらお金をあげよう」と言われ、ついついロハの自分のブログを放置してました。いかがおすごしですか?
こちらをチェック!→ https://filmaga.filmarks.com/writers/17
問題作『進撃の巨人』についてはココに書いてます! → https://filmaga.filmarks.com/articles/142/
今年の夏休み映画は近年稀に見る超大作乱れ打ちでヒャーヒャー言ってたけど、フタを明けてみれば、完全に『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』の独走状態。もちろん他にも良い作品はあったけどフューリー・ロードに比べると……
という煮え切らないリストが出来たよ。
『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』
暗い色合いのストレッチ素材や実戦使用も可能なアーマーに身を包んだDCのヒーローに比べ、極彩色でポップなマーベル軍団。新加入ヴィジョンのスイカみたいなカラーリングが楽しい。
しかし、一般人おいてけぼり感をどうリカバーするかが今後問われるところだろう。今回もアイアン社長が作ったAIが暴走して地球破壊の危機に合うし、きたる『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』は超人同士のケンカだし、ちょいちょい登場するサノス(アベンジャーズ3の敵)とは、原作(「インフィニティ・ガントレット」だとすれば)通りなら月の上での大ケンカなので、「勝手にやってろ!」って話が続いちゃう。
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
クリスチャン・ベールとサム・ワーシントンの未来世界での奮闘は無かったことにされ、パート1から3までをターンエー・ガンダム的に「すべて含んだ」最新作。
「肉体部分は老いる」というミラクルな設定で現在のシュワルツェネッガーが「老いた」ターミネーターとして登場。パート1完コピで登場する「若い」ターミネーターと戦う場面は燃える! んだけど、総じてなんとも小粒な味わい。
『ジュラシック・ワールド』
これは素晴らしいですよ! 「ジュラシック」シリーズの魅力はティラノサウルスにあり! という判断で作られた完璧な怪獣映画。ハリウッド『ゴジラ』もそうだったけど、怪獣映画の場合、主役(ティラノサウルス)は別に出ずっぱりじゃなくて良くて、少ない見せ場でイイとこ持ってくのが様式。
なので、序盤で敵役怪獣(遺伝子操作で生まれたチャンポン恐竜インドミナス・レックス)が極悪の限りを尽くし、ラストで主役がイイとこもってく構成なのは非常に優れた怪獣映画である証拠。
味方の子分恐竜の活躍も子分感めちゃ出ててイイ。終盤で走ってくるラプトルに心の中で「アッ、兄きぃぃぃぃいいいいい!!!」とアフレコすると楽しい。
『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』
これも良かった! 近年の007って「本当の敵は倒されず苦い終わりを迎える」みたいな、マジメ路線でいけすかないけど、「ミッション:インポッシブル」シリーズはロジャー・ムーア/ピアース・ブロスナン時代のボンドのようにオーバーテクノロジーな秘密兵器とド派手なアクション、敵がやられてすっきりエンディングが毎回素晴らしい。最新作も完全無欠の大フィクション娯楽で子供のころになりたかったスパイそのものだった。
そうそう、小さい頃「スパイ」って仮面ライダーとかウルトラマンに並ぶ、なりたい職業だったのを思い出させてくれた。
パート4以降サブタイトル付けるようになったけど、「ゴースト・プロトコル」(幽霊議定書)とか「ローグ・ネイション」(悪者同盟)とか、マトモな大人が考えたとは思えないカッコよさがサイコウ過ぎる。
自慢だけどトム・クルーズとはツイッターで相互フォローしている。たぶん名前だけで選ばれてる気がするけど。フォロー1万人くらいしてるけど。
『野火』
いわゆる夏の大作じゃないし『アベンジャーズ』の1/100くらいの予算(それじゃきかない?)で作られた映画だけど、ズバリこの夏「フューリー・ロード」の次はコレ。『鉄男』塚本晋也監督の新作で、大岡昇平の同名小説の映画化。
ブラック企業のキチガイ社長見て、「あぁ、こういう精神論で空も飛べるはず〜とか言い出すスピッツみたいな人、うちの会社にもいるな……」と、誰でも思い当たっただろうけど、もちろん戦争中はウジャウジャいたのでボロッカスに負けた。その手の精神論がいかに人間を追い詰めて狂わせるかを描いている。
と、同時に、あの蛆虫プロダクションもお墨付きの真剣死体映画でもある。フィリピンを舞台に、親指くらいの弾丸を連射するマシンガンで撃たれた後に、南陽の突き刺す日差しに照らされて、膨れて紫色になってる死体とか出てくる。
しかし、つくづく日本って能率主義に合わないよね。雇い主が無理難題ふっかけて精神論で出来なかった側のせいにするから。竹中平蔵とか小泉純一郎とか肥溜に落ちて死なねえかなぁポワワワ〜ン
『映画 ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』
「ウォレスとグルミット」シリーズのアードマン・アニメーションが手掛ける連続テレビシリーズの映画版。ダイアログやモノローグの台詞は存在せず、広告や挿入歌の歌詞で心象を表すサイレント映画。
これ、すごいのは地球上に住んでる1歳児から100歳越えのじーさんばーさんまで、同様の感情をわかせて楽しませるっていう、ほとんど不可能なことを成し遂げてるとこ。色、動き、音、目線、表情だけで物語を作れてしまってる。
見たら単純に面白いし、↑こういう面倒くさいこと考えながら見ても面白い。
『共犯』
同じ学校の学年1つ上の女生徒の飛び降り死体を偶然見つけた「いじめられっ子」「優等生」「不良」の3人の物語。
「スタンド・バイ・ミー」のアレンジ。しかし人間(に限らず犬とか猫とかもそうだけど)の死体から広がる、中高生を引きつけるファンタジーは強い。どこへ向かうのか解らない物語に翻弄され、奇妙な心象が浮かび上がって、パッと終わる。ひと夏の儚さも素敵。
『バトル・ヒート』
ドルフ・ラングレンが製作を務め、トニー・ジャーを召喚し、『ブラック・ダイナマイト』のマイケル・ジェイ・ホワイトとバトルするという、下町のエクスペンダブルズみたいな映画。そもそもエクスペンダブルズだって、アップタウンの映画じゃないけど。下町のさらに下町、泪橋の下みたいな感じと言えばイイだろうか。
筋肉とバネが戦ってるので、大変素晴らしいですよ。小難しいこと考えるのを止めさせるパワーがある。それ以外のものは何も無い。