今では世界共通語となった日本語がいくつかあります。
ANIME、MANGA、KARAOKE、TSUNAMIそして…KAMIKAZE。
イタリア在11年の筆者。数年前のある日、イタリアのテレビニュースから聞こえてきた日本語“KAMIKAZE”。何のニュースかと思って見てみると…それは自爆テロ事件を報じるニュースでした。“KAMIKAZE”という日本語が“自爆テロ”という意味で使われていたのです。
“神風特攻隊=自爆テロ”という海外の考えを日本人としてどう思うか
みなさんは“KAMIKAZE”という日本語が“自爆テロ”という意味で海外で使われていることをご存知でしょうか。
イタリアのテレビニュースで自爆テロを指して“KAMIKAZE”という日本語が使われているのを聞いて、私は大変大きなショックを受けました。戦争を体験したのは私の祖父母の世代になります。しかし、本で読んだり、テレビでドキュメンタリーを見たり、学校で習ったり、祖父母から聞いたりして知った戦時中の日本のことがあります。私の中で神風特攻隊が自爆テロという認識は全くありませんでした。
若くして散った神風特攻隊員たちの遺書
出典 YouTube
将来への希望に満ちているべき年頃に、国のために、家族のためにと出撃していった若い特攻隊員たち。
3人の特攻隊員の遺書が、写真や動画と一緒に紹介されている動画をご紹介したいと思います。この動画、私は涙無しに見ることができませんでした。
茂木少尉 19歳 「母への遺言」(動画0:33あたり)、海軍中尉 小川 清 24歳 「両親への遺言」(動画1:16あたり)、穴沢陸軍少尉 23歳 「婚約者への遺言」(動画2:24あたり)
“KAMIKAZE”という言葉を“自爆テロ”の意味で使ってほしくない
外国人が“KAMIKAZE”という言葉を“自爆テロ”の意味で使うのを聞いて、悲しく思うのは私だけでしょうか。
確かに日本の神風特別攻撃隊の作戦は、敵側の米国からすれば狂気の沙汰でしかなかったでしょう。しかし、時は戦時中。もし、平和な世の中であれば、もし、戦時中に生まれた青年たちでなければ、誰が神風特攻隊として戦地へ向かったでしょうか。どこの親が自分の息子を死ぬと分かっていて戦地へ送ったでしょうか。
テロの第一の目的が「無差別に恐怖を与えること」だとしたら、戦争という特殊な状況の中で、一般市民を標的にしたのではなく、敵軍を攻撃した日本の神風特攻隊を“自爆テロ”と呼ぶのは間違っていると思うのです。
戦後70年の今、本当に日本人が考えなければならないこと
今年も夏が来ました。夏といえば、夏祭り、花火、夏休み…しかし、日本人にとっては8月6日広島への原爆投下、8月9日長崎への原爆投下、そして8月15日の終戦も忘れられない夏の記憶ではないでしょうか。
8月6日に広島に原爆が投下されたことは、戦後70年経った今もここイタリアでも報道されます。今年の8月6日も筆者はイタリアのテレビニュースで広島平和記念公園での式典の様子を見ました。また、日本へ行ったら広島を訪れたいというイタリア人は多いです。それだけ、海外でも多くの人が関心を持っていることなのだと思います。
戦後70年。本当に戦争を体験した人たちはだんだん少なくなってきています。戦争の無い豊かな日本に生まれた世代にとって、日本がアジアを占領し、アメリカと戦争をしていたことは、教科書の中の出来事になりつつあります。しかし、私たち日本人は本当にそれを「教科書にある歴史上の出来事」としてしまっていいのでしょうか。
憲法改正へと向かっている今の日本。日本人として、外から日本を見ていると「日本は本当に大丈夫だろうか?」「間違った方向へ進んでいるのではないだろうか?」と不安になることが最近あります。
神風特攻隊は自爆テロリストではない。私は大きな声で世界中の人たちに言いたいです。そして、そう大きな声で胸を張って言えるよう、これからも日本は戦争をしない国、核を保有しない国、武器や軍隊を保有しない国であってほしいと、強く、強く、願わずにはいられません。
戦後70年という節目の今、本当に憲法改正は必要か、本当に日本は戦争をする国へと変貌しようとしてはいないか、私たち日本国民一人一人がまじめに考えなければならない場面に直面しているのだと思います。
私たちが平和で豊かな日本で育ったように、私たちの子供たちや、孫たちにも、平和で豊かな日本を見せてあげたいと思いませんか?