在外被爆者医療費:「全額支給」確定へ9月8日最高裁判決

毎日新聞 2015年08月10日 21時13分(最終更新 08月10日 23時09分)

在外被爆者訴訟の主な争点と判決
在外被爆者訴訟の主な争点と判決

 被爆者援護法の医療費支給規定が海外に住む被爆者に適用されるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は判決期日を9月8日に指定した。高裁の判断を見直す際に必要な弁論を開いておらず、在外被爆者の医療費の全額支給を認めた大阪高裁判決が確定する見通しとなった。

 原告は、広島で被爆し韓国に帰国した被爆者や死亡した被爆者の遺族ら。被爆者健康手帳の交付を受けたが、韓国での医療費の支給申請を大阪府に却下され、処分の取り消しなどを求めていた。

 2014年6月の大阪高裁判決は、援護法について「国の責任で被爆者の救済を図る国家補償の性格がある。国外での医療費を支給対象から除外することは合理的ではない」などと認定。医療費の全額支給を認めた1審・大阪地裁判決(13年10月)を支持し、府側の控訴を棄却していた。

 国は援護法に基づいて、国内の被爆者に医療費を全額支給している。しかし在外被爆者については援護法とは別枠で上限を設けて医療費を助成し、在外被爆者らは「不十分だ」と訴えていた。

 厚生労働省によると被爆者健康手帳を持つ在外被爆者は3月末現在で約4300人。広島、長崎両地裁でも同種の訴訟が起こされていたが、在外被爆者側の請求を棄却(いずれも控訴)しており、司法判断が分かれていた。【山本将克】

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