日航機事故「気密性優先で強度低下」調査官が初証言(2015/08/10 11:50)
30年前の日航機墜落事故で、原因とされる圧力隔壁の修理ミスについて、当時の事故調査官が「ボーイング社の作業員が気密性などを優先させたことで強度が落ち、隔壁破壊に至った可能性がある」と初めてカメラの前で証言しました。
1985年8月、日本航空のジャンボ機が墜落し、520人が死亡しました。事故調査報告書で原因とされている圧力隔壁の破壊は、事故の7年前にボーイング社が行った修理ミスが引き金でした。修理は圧力隔壁の下半分を取り換えるもので、上下をつなげる際に一部分を当初、計画していた2列ではなく1列のボルトでつないだため、強度が本来の7割ほどに低下したとされています。その理由について、当時の事故調査官が取材に応じ、「作業員が強度よりも気密性などを優先させた可能性がある」と自分の考えをカメラの前で初めて話しました。
元事故調査官・斉藤孝一さん(70):「空間があると隙間ができて空気漏れがしやすくなると。埋めたいという気持ちがまず出た」
2列でつなぐと接合部に隙間ができてしまうため、隙間を小さくするために意図的に1列にしたのではないかと指摘しています。30年経って証言した理由を斉藤さんは「事故報告書には、はっきりしていない事実は書けなかった。しかし、今、明かさないと真相が埋もれてしまう」としています。ボーイング社は「航空機メーカーとして安全を第一に考え、今後も一層の努力を続けて参る所存です」としています。