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従軍作家・火野葦平が軍に批判的な証言
8月10日 21時43分

従軍作家・火野葦平が軍に批判的な証言
日中戦争に従軍した体験を基にした小説「麦と兵隊」などで知られる作家の火野葦平が、終戦から3か月後にアメリカの調査団から聞き取りを受け、軍に批判的な証言をしていたことが分かりました。
専門家は、軍の立場に近かったとされる火野の当時の心情をうかがう貴重な資料だとしています。
日本への空襲の影響などを調べるアメリカの調査団は、戦後まもなく全国各地の市民など4000人以上を対象に聞き取り調査を行い、当時の記録の写しが東京の国立国会図書館に残されています。
火野葦平に対する調査の記録は、山口県下関市の高校教諭が6年前に見つけ、昭和20年11月に福岡市で行われた聞き取りの結果が、日本語で6枚、英訳で5枚にまとめられています。
この中で火野は、太平洋戦争中の昭和19年以降、当時の日本軍の兵士が日本の本土で民間人の財産を強奪したり女性に乱暴したりするなど規律が乱れていたと証言しています。
そのうえで、「軍人の腐敗を見て戦争には勝てないと思った。もし勝つにしてもこのままでは勝ってもらいたくなかった」と軍を批判することばを述べています。
火野は、日中戦争に従軍した体験を基にした小説「麦と兵隊」など「兵隊三部作」と呼ばれる作品を発表し、太平洋戦争でも旧陸軍の報道部の一員として海外での作戦に従軍しました。
記録は、当時、軍の立場に近かったとされる火野が軍に批判的な考えをもっていたことをうかがわせる資料として注目されています。
火野の文学と戦争との関わりを研究している関西大学の増田周子教授は、「戦後すぐの火野の気持ちを赤裸々につづった非常に貴重な資料だ」と話しています。

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