東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 私説・論説室から > 記事

ここから本文

【私説・論説室から】

夏休みに痩せる子ども

 猛暑が続く七月末にそのメールは届いた。

 「子どもが夏休みで、ご飯や消耗品がなく。本当に申し訳ないのですが、お米など援助していただけないでしょうか。子どもが毎日、『おなかすいた』と言うので切ないです」

 受け取った非営利団体「フードバンクかわさき」の高橋実生(みお)代表はすぐさま、米十キロとレトルトカレー、菓子を段ボール箱に詰め、宅配便で送った。

 フードバンクかわさきは、個人や企業から寄付された食品やお金を、経済的に苦しい子どものいる家庭などに送っている。

 メールの送り主は首都圏に住む母親。小学校低学年の子どもが二人いる。母親、父親ともに心の病を患っているが、父親は病は言わず非正規で工場で働く。しかし、夏は勤務が少なく、収入も激減する。

 夏休みはこうした“SOS”のメールが増えると、高橋さんは言う。

 養護教諭を対象に数年前、実施された貧困に関するアンケートで「夏休み中に痩せる子どもが増加している」との報告があった。休み中は給食がないためだ。

 財団法人「子どもの貧困対策センター・あすのば」は低所得のひとり親家庭に支給される児童扶養手当の拡充などとともに、長期休暇中も給食を提供することを求める。

 政府が年内にまとめる貧困対策に盛り込んでほしい施策の一つだ。 (上坂修子)

 

この記事を印刷する

PR情報