東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

長崎原爆70年 平和宣言で安保法案の慎重審議を訴え

 長崎市に原爆が投下されてから七十年を迎えた九日、原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が市内の平和公園で営まれた。田上富久(たうえとみひさ)市長は平和宣言で安全保障関連法案に触れ、「日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっている」と指摘。政府と国会に慎重な審議を求めた。「戦争の記憶が急速に失われつつある」とも述べ、日本各地の惨禍、アジアでの加害の記憶を語り継ぐよう呼び掛けた。

 安倍晋三首相は「非核三原則を堅持する」とあいさつし、六日の広島の平和記念式典で非核三原則に触れなかったのと差が出た。

 式典には過去最多の七十五カ国・地域の代表が出席。原爆投下時刻の午前十一時二分、六千八百人の参列者が黙とうした。

 田上市長は平和宣言で「日本国憲法における平和の理念は、辛(つら)く厳しい経験と戦争の反省のなかから生まれた。戦争をしないという平和の理念は永久に変えてはならない原点」と、記憶を語り継ぐ大切さを訴えた。また「最後の戦争被爆地」として、オバマ米大統領ら各国首脳に長崎や広島を訪れるよう呼び掛けた。

 十六歳で被爆した被爆者代表の谷口稜曄(すみてる)さん(86)は「平和への誓い」を読み上げ、「集団的自衛権の行使容認を押しつけ、憲法改正を推し進め、戦時中の時代に逆戻りしようとしている」と安保政策を批判した。

 安倍首相は「世界で唯一の戦争被爆国として非核三原則を堅持しつつ、『核兵器のない世界』の実現に向けて、核軍縮の取り組みを主導していく」と表明。式典では安保法案に触れなかったが、終了後の会見で「今回の法制は戦争を未然に防ぐためのもので、国民の命、平和な暮らしを守るために不可欠だ」と主張した。

 

この記事を印刷する

PR情報