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 新たな安全保障法制の関連法案をめぐる衆院での審議が大詰めを迎えるなか、戦争を知る世代だけではなく、若者たちも危機感を募らせ始めた。一過性の動きにはしたくない――。SNSでつながり、シンポジウムや集会を通じて声を上げ続けようとしている。

 東京の国会前で10日夜にあった抗議行動の中心になった「SEALDs(シールズ)」。都内の大学生らでつくる団体で、6月から国会前や繁華街でデモや街宣活動を続ける。メンバーは200人以上。参加者は回を重ねるごとに膨らむ。

 和光大4年の福田和香子さん(21)は渋谷で先月下旬にあった活動でこう言った。「この国では意見を持つ行為そのものが、空気が読めないってことになってしまうらしいんです」。子どもの頃、式典で君が代を歌わない教諭を笑う友達、見ぬふりの学校側、彼氏の目を気にして通り過ぎた自分……。そんな苦い思い出もあり、安保法案に声を上げる。「民主主義の国で何も言おうとしないのは嫌」

 神奈川県に住む紅子さん(24)は音大を卒業し、デパートの洋服店に勤める。政治の話はタブー。そんな毎日を変えたのが集団的自衛権行使容認の閣議決定だった。聞き慣れない言葉に怖くなり、必死で調べ、考えた。初めてデモに行ったのが1年前だ。「関心がない子たちの気持ちは、私が一番わかると思うから」。そう言う紅子さんは10日の夜も国会前にいた。

 「SEALDs」と連携するのが、関西圏の学生らでつくる「SEALDs KANSAI」だ。先月21日に続き、10日夜も京都市の繁華街で思いを訴えた。