安全保障関連法案の採決強行に抗議する市民の動きは全国に広がった。
被爆地の広島で、米軍基地問題を抱える沖縄で-。
与党の強引な姿勢に反発する市民からは「国民の意見を無視している」「民主主義を守れ」と怒りと不安の声が上がった。
那覇市の繁華街・国際通りでは300人以上が「アベ政治を許さない」などと書いたプラカードを手にデモ行進。琉球大法科大学院の高良鉄美教授は「日本の平和主義、民主主義は危機に陥っている」と訴えた。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先の稲嶺進・名護市長は市役所で記者団に「強権で進められるのは異常。辺野古への基地移設と根は一つと思わざるを得ない」と批判した。
広島市の原爆ドーム前では、市民や被爆者ら約130人が座り込みで「民主主義を壊すような進め方だ」とマイクを持って声を上げた。金沢市でも市民団体などが「戦後70年の年に憲法違反の法律が乱暴につくられようとしている」と訴え、中心部の公園で護憲団体など8団体が座り込みをした。
新潟市での座り込みに参加した教員岩田康晴さんは「教え子を戦場に送る国にしてはいけない」と強い口調で話した。
岐阜市の名鉄岐阜駅前では、市民約70人が集まり「世論で法案成立にストップをかけよう」と署名を求めた。「憲法9条を守る岐阜県共同センター」の竹中美喜夫事務局長は「国民の理解が広がっていない中での採決は許されない」。
静岡市でも市民約200人がデモ行進。主催した市民団体の林克代表は集団的自衛権の行使で日本がテロの被害に遭う可能性に触れ「浜岡原発へのテロを考えると恐ろしい」と訴えた。
札幌市では1000人以上が「今すぐ撤回」と声を上げ、太鼓を鳴らしながら大通公園周辺を練り歩いた。アルバイト西穂波さんは「強行採決は腹が立つ。これからも反対活動を続ける」と言い放った。
祇園祭の宵々山でにぎわう京都・三条大橋では夕方から女性グループが集会を開催。JR大阪駅前には学生ら約2000人が集まり、百貨店や飲食店が立ち並ぶ神戸・元町でも市民が「戦争法案絶対反対」とシュプレヒコールを上げた。(共同)