挨拶

渡邉隆之(Vatanabe Takájuki)
漢字を使えない状況での日本語の同形異義語の数を最小限にすべく、日本語やラテン文字の歴史を活用したローマ字方式を提案します。
視覚障害者や広い意味での日本語学習者の役に立ち得ると考えています。
歴史的仮名遣いが古語にも現代語にも使えるのと同様に、このローマ字も古語にも現代語にも使えます。

[自然言語性:高]
[伝達効率:高]
[入出力/点字化:易~やや難]
[知識負担:アクセント/歴史的仮名遣い/上代特殊仮名遣い/韻尾/語源]

記事はぜひ「構想」から読んで下さい。
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Segsyóxafuとは「正書法」のことですが、他の書法に対する「正」と云うよりは、このローマ字自体に於ける「正」と云う程度に感じて頂きたく思います。響きや字面の恰好良さ や、このローマ字の特色を示すのにとても都合が良いことから、この単語を使っています。他の表記法を間違いとするものではありません。

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((((;゚Д゚)))))))

注意:
体言としての用法が一般的な語の頭はとりあえず大文字で書いておくが、文中での大文字の用法は「分かち書きと大文字」に従う。

このローマ字規則に於ける「形態素」という表現は活用語尾を含まない。
音便によって語中/語末に発生したア行は、不都合が無い限り非形態素頭として扱う。
仮名の一字一字を表すものは形態素である。

文章は現代仮名遣いで書くが、文中のカタカナは歴史的仮名遣いである。
例として示した語も、「漢字表記[歴史的仮名遣い・読み仮名]」または「歴史的仮名遣い・読み仮名」という形式で書き、現代仮名遣いは使わない。
ただし、歴史的仮名遣いと読み仮名が一致する場合には歴史的仮名遣いのみを書く。
「ゑ/ゐ」の小書き仮名は使えないので、拗音に於いても通常の大きさで書く。
「む」をマ行ウ段としてではなくm撥音として使う場合がある。
読み仮名に於いて、引き音にも非引き音にもなるウ/イは「ゥ/ィ」と書く。

「/」は「または」を意味する。
「>」は矢印として、左側の語形から右側の語形へ変化したことを示す。
「*」は記号を省略したことを示す。
「{}」はその中の綴りが担う読みを表す。

構想

・これは漢字を排除しようとするものではなく、漢字の使用が困難な状況にあっても日本語の伝達効率を下げないため、あるいはさらに上げるためのものである。

・出来るだけ入出力の際に掛かる負担を少なくし、出来るだけ同綴異義語を減らすように努める。
ただし、同綴異義語を完全に無くすことを目的としているのではない。

・できるだけ自然言語らしく書くために、ラテン文字の各文字の歴史から逸脱しない文字用法を目指す。

・文字の数と拍数・音節数の関係は乱さず一定にする。
例えばチをchiと書くのは日本語の音韻体系に不適である上、拍数と文字の数の関係を不必要に乱し、不要な文字を増やす。
多くの言語が存在するなか、敢えて英語での発音に綴りを合わせる理由も無い。
chiはイタリア語でキ、フランス語でシ、ドイツ語でヒに近く発音され、tiはフランス語やロシア語(ти)でチに近く発音される。
//改善の余地有り:他のローマ字方式を悪く言わない

・日本語の範囲を超えないように、日本語史に於いて存在したことが明らかでない区別は扱わない。
ワ行のウやヤ行のイはその存在を証明する最小対が存在しないと思われる。これらを採用する為には、前後の音と関係なくア行のウ/イと区別できることが望ましく、ü/ïはu/iの派生であってvu/jiではない。
例: ある時期に於いて区別をされていた音素を仮にA、Bとする。その時期より後にAとBとの区別が失われた場合、「AとBとの合流後の音素」をAまたはBと区別するための綴りは作らない。
(これは日本語学などの研究では必要な区別たり得るが、音韻上そのような区別がされることは無いか、必要が無い)

・字音仮名遣いを含む歴史的仮名遣いに上代特殊仮名遣いや韻尾というかつての音韻を加えたものからの翻字を元に、さらに綴りから現代共通語での読み方がわかるようにする。
「同音異義語を書き分ける」という性質上、読みからは綴りを特定できない場合が多いが、綴りからは読みを特定できる。
字音か和語かが綴りに影響を与える場合は、確かな根拠が無い限り、どちらとして扱っても良い。

・語形変化に対しては、その変化の仕方に従いつつ、最小限の綴り変化で対応するように努める。
ただし、語の変化経路を示すという目的の為だけに文字や文字の音価を増やしはしない。
その為、意味の差が生じない範囲では綴りに対応する読みが二通り以上になることはあるが、何らかの二通り以上の読みを統合する為だけに新たに文字を採用することは無い。
また、音価の変化経路が同じなら、その変化の発生時期に隔たりがあっても、同じ綴りになる(この一文の正当性を検討中)。

・共通語や方言のそれぞれに於いて音の変化が綴りに対して規則的に起きている限り、綴りを元のままに維持する。
先ず各方言での綴りを決めた上でその綴りを維持したまま方言語彙の輸出入を行う。
よって、ある方言が他方言の語を取り入れた場合、他方言での綴りと発音との両方を取り入れるか、綴りだけを取り入れ、その綴りを自方言(共通語など)の規則に従って読むことになる。
他方言での発音に自方言の綴り規則を適用することは避けるため、他方言の綴りが決まるまでは音声転写をする。
ただし、他方言の語であるか自方言の語であるかを明確には定められない場合もある為、迷ったら自方言の規則に従って綴りと発音を定めても良い。特に俗語に於いてこの判定が難しい。

・古文を扱う場合は、現代共通語としての読みで書くか、当時の読みに合わせて書くかを選んでからにする。

・仮名の音価が現代共通語と異なるということを示す必要がある場合には、国際音声記号を使う。これは日本語史を利用した綴りとも、このローマ字に於ける音声転写とも異なる。

・維持されるべき綴りが不明または存在しない場合は、このローマ字によって定められる日本語の綴りとして頻出する形に倣う。
その上で、ある音価を示す綴りが複数想定される場合、その内の最も文字数の少ないものを採用する。
ちなみに、複数の音価を経験した仮名が、全ての語に於いてその音価全てを担った訳ではない。
例: 可能動詞はハ行転呼の発生後のものであるため、「買える(買へる)」などは不転呼のハ行を経験していない。また、「しちまう(しちまふ)」という語の「ち」は上代に於ける「ち」の音価を経験していない。

・綴りの維持の結果としてでなくとも、失われた音素の音価が条件異音として発生する傾向にあるなら、その条件下ではその音素を基にする文字を使える。
ただし、維持された綴りを変える理由にはならず、綴りの維持が常に優先される。例えば、条件異音とその条件とが形態素境界を挟んでいれば、条件異音は綴りに影響しない。

・元になった活用型(=活用の種類)が同じである限り、活用型ごとに活用語尾の綴りを統一する。
ただし、日本語史上での存在が確定していない区別を利用してはならない。

・「擬音語/外来語(カタカナから翻字する場合)/読み仮名/非標準的な語形」に於いては音声転写(表音表記)をするため、その音声の発せられた時代に存在する音素を以って、完全な表音仮名遣い(長音には長音符を使う)からの翻字をする。
失われた音素を利用しなければ表現できない音声を転写する場合には、その音素をかつて担った文字を使って良い。
音声転写だったものが音声そのもの以外の意味を持った場合や、複合語の一部になった場合、その時点から綴りの維持が始まる。
ただし、擬態語は音声転写では無いので、日本語史を利用した規則(音声転写以外の規則のこと)に従う。
音声転写とみなすべきか否かが曖昧な場合、その判定は任意とする。
同音異義語の書き分けを避けたい場合にも、音声転写をして良い。

・当て字のある語も語源に従って綴るのを優先するが、必要があれば当てられた字に従って綴っても良い。

・俗語や擬音語の綴りにはある程度の変更を認めるが、文字の音価や拍数を乱してはいけない。

五十音と拗音

母音字:
u/o/a/e/iはウ段/オ段/ア段/エ段/イ段にそれぞれ対応。

子音字:
カ行はk、ガ行はg、サ行はs、ザ行はz、タ行はt、ダ行はd、ナ行はn、パ行はp、バ行はb、マ行はm、ラ行はrにそれぞれ対応。
濁点/半濁点の有無に関わらず、濁音の子音字はg/z/d/b、パ行音の子音字はpとなる。
ちなみに、和語に於いてラ行は滅多に語頭に立たず、非語頭でのラ行子音の音価は典型的なrの音価である。

この様に基本的な翻字規則は日本式ローマ字に従うが、以下に注意の要る文字を挙げる。

h:
ア行に於いて次のどちらかに当てはまる場合、音節の境界を示す為に形式的な子音字としてhを使う。
1(語構成の明示): 形態素頭であり、引き音になっていない場合(語頭のhは役に立たないので省略を推奨)
2(拍数の維持と呼気の停止): 子音字が必要な場合
2の具体例:
・同一語内に於いて直前に子音字がある。
・同一語内に於いて直前に同段(甲乙は無視)の母音字があり、その引き音になっていない。
和歌に於いて音節数を調整する必要がある場合は、上記の規則に関わらず必要に応じて音節境界hを着脱する。
ロマンス諸語でのh(音価無し)から。
ハイフンの有無はhの有無に影響しない。
参考: 特殊な記号
あいうえお・アイウエオ: Ahihúheho
他意[たい]: Táhi
真意[しんい]: Sínhi
極意[ごくい]: Gókuhi
里親[さとおや]: Satawhoja
稀有[けう]: kéhu
左右[さいう・サユー]: Sáhiu
胡瓜[きうり・キューリ]: Kihuri* >Kíuri
悪運[あくうん]: Akuhun
毛糸[けいと・ケイト/ケート]: Kayhito/Kayhitaw(Kayito/Kayitaw)
黄色[きいろ・キイロ/キーロ]: Kihiro(Kiiro)
羽織る[はおる]: xahóru
幸せ[しあはせ・シアワセ]: Sihafase
美味しい[おいしい・オイシィ]: ohisíj
或いは[あるいは・アルイワ]: arúhifa
やおい: Jáhohi/Jahohi
であ: de áru >(deharu*) >(deha*) >dea*
やるお: jaruho*
やらんお: jaranho*
だらうお・ダローオ: d’aráuho
おいおい: ói-hoi
アンアン: an-han*/am-ham*
アッア: ahha*
アンア: anha*/amha*
アーア: áaha
ウーウ: uuhu*
イーイ: iihi*
アアー: ahaa*
アアア: ahaha*
cf.
体[たい]: Tái
砂糖屋[さたうや・サトーヤ]: Satagja
左右[さう・ソー]: Sau*
西洋[せいやう・セィヨー]: Séijag
秀でる[ひいでる・ヒーデル]: xiidéru
櫂[かい]: Kái
申す[まうす・モース]: máusu
稼いで[かせいで・カセィデ]: kaséide
美しい[うつくしい・ウツクシィ]: utukusíj
美しう[うつくしう・ウツクシュー]: utukusíku >utukusíu
大分[おほいた・オーイタ]: Ófoita
はあい・ハーイ: xaai
わあい・ワーイ: váai
みたい: míta jág >mítai
赤い[あかい]: akái/akai
危ふい[あやふい・あやうい]: ajafüi/ajafúi
雄々しい[ををしい・オオシィ]: vovösíi
唯々諾々[ゐゐだくだく・イイダクダク]: vívïdakudaku
鱝[えひ・エイ]: Éfï
姪[めひ・メィ/メイ]: Mefi/Mefï
買ふ[かふ・カウ]: kafü
思ふ[おもふ・オモウ]: omófü
憂ふ[うれふ・ウレウ]: urefu*/uréfü
多う[おほう・オーウ]: ófoku >ófov
えい(掛声): éj
アウ: av*
オウ: ov*
エイ: ej*
アウア: aüa*
オウオ: oüo*
エイエ: eïe*
全米オープン[ぜんべいおうぷん・ゼンベィオープン]: Zenbei-open

x, f:
転呼していないハ行の子音字はx、転呼したハ行の子音字はf。
xはギリシャ文字χやキリル文字х、国際音声記号xから。
fはかつてのハ行の音価や多くの言語でのvとの関係から。
現代共通語の音韻を使った音声転写ではfが現れない。
参考: 仮名遣提案
は・ワ(助詞): fa
へ・エ(助詞): fe
縄[なは・ナワ]: Nafá
那覇[なは]: Náxa
法律[はふりつ・ホーリツ]: Xafuritu
法力[ほふりき・ホーリキ]: Xofuriki
母[はは・ハワ/ハハ]: Xafa*/Xáxa
頰[ほほ・ホー/ホホ]: Xófo/Xóxo
使へる[つかへる・ツカエル](可能動詞): tukaferu
使はう[つかはう・ツカオー] >使ほ[つかほ・ツカオ]: tukafáu >tukafo
浅茅生[あさぢふ/あさぢほ・アサジウ/アサジオ]: Asadifü/Asadifo
仮令[たとひ・タトイ]: tatofi/tatófi
譬え[たとへ・タトエ]: tatofáy/tatófay
譬い[たとひ・タトイ]: tatofi*
迷子[まひご・マイゴ]: Majawfígaw >Máfigaw
大夫[たいふ・タユー]: Táifu
大夫[たいふ]: Táixu
気配[ケハイ]: Kéxai/Káyxai
気配[けはひ・ケワイ]: Kayfafi*

転呼したハ行から母音が脱落してできたウはfとする。フはウに成らない。ただし、ウが形態素頭である場合や、ウに記号付き文字を当てる必要がある場合は、fをuに変える。
参考: 仮名遣提案
妹[いもうと・イモート]: Imawfito* >Imawfto
素人[しらうと/しろうと・シロート]: Sirafito*/Sirawfito* >Siráfto/Siráwfto
箒[はうき・ホーキ]: Xaxaki* >Xafaki* >Xafki
請うて[こうて・コーテ]: kofite* >kófte
問うて[とうて・トーテ]: tofite* >tófte
言うて[いうて・ユーテ]: ifite* >ifte*
蝙蝠[かうもり・コーモリ]: Kafaxori* >Káfmori
河本[かうもと・コーモト]: Kafamoto* >Káfmoto
河骨[かうほね・コーホネ]: Kafaxone* >Kafxone
河内[かうち・コーチ]: Káfati >Káfti
兄人[せうと・ショート]: Sefito* >Sefto*
秋保[あきう]: Akifo* >Akif* >Akiv*
向かう[むかう・ムコー]: Muk’afi >Muk’áf
相撲[すまう・スモー]: Sumafi >Sumaf
cf.
河内[かふち・コーチ]: kafa*+uti* >Káf’uti
河内[かうち・コーチ]: ka*+uti* >Káuti
白粉[はふに・ハウニ]: Xakuxun* >Xaxuni* >Xafüni*
蔵人[くらうど・クロード]: Kurabito* >Kuramdo* >Kuráudo
東人[あづまうど]: Adumabito* >(Adumamdo*) >(Adumaudo*) >Adumavdo*
甲[かふ・コー]: Káfu
向かふ[むかふ・ムカウ]: muk’afü
向かふ[むかふ・ムコー]: Muk’áfu
争ふ[すまふ・スマウ]: sumafü*
相撲[すまふ・スモー]: Sumafu

歴史的仮名遣いに於けるア段直後のフが例外的に「ヲ/オ」の音で読まれる場合、そのフをfw(アクセント核ではfẃ)とする。
ただし、文字と拍数の関係を維持する為、このfwの直後のu/iはv/jに置き換える。
参考: 仮名遣提案
葵[あふひ・アオイ]: Afwfi
仰ぐ[あふぐ・アオグ]: afẃgu
煽る[あふる・アオル]: afẃru
倒す[たふす・タオス]: tafẃsu
倒し方[たふしかた・タオシカタ]: tafwsikáta
仰向き[あふむき・アオムキ]: afwmuki
仰いで[あふいで・アオイデ]: afẃjde
仰いだ賞[あふいだしゃう・アオイダショー]: Afwjdá-syag
cf.
扇[あふぎ・オーギ]: Afugi
逢瀬[あふせ・オーセ]: Áfuse
押韻[あふゐん・オーイン]: Afuvin

v:
ワ行の子音字はv。ラテン語でのvとuとの区別の仕方から。vは子音としてのu。
現代共通語の音韻を使った音声転写ではvo/ve/viが現れない。
泡[あわ]: Avá
尾[を・オ]: Vó
絵[ゑ・エ]: Vé
胃[ゐ・イ]: Vi
男[をとこ・オトコ]: Votokáw
乙女[をとめ・オトメ]: Votóme
襖[あを・アオ]: Au* >Ávo
芭蕉[ばせを・バセオ]: Baseu(Xaseu) >Basevo*(Xasevo*)
cf.
弟[おとうと・オトート]: Otofito* >Otoftó
甲乙[かふおつ・コーオツ]: Káfuhotu

ワ行から母音が脱落してウになった場合、vではなくuとする。
参考: 仮名遣提案
申す[まうす・モース]: mavosu* >máusu
夫婦[めうと・ミョート]: Mevoto >Meuto
手斧[てうの・チョーノ]: Tevono >Teuno
cf.
申す[まをす・マオス]: mavosu*
夫婦[めをと・メオト]: Mevoto
手斧[てをの・テオノ]: Tevono

維持されるべき綴りが不明または存在しない場合は、引き音やhの規則に当てはまらない限り、「オ」の音に当たる拍の綴りをvoとする。
前後の仮名に関係なく非形態素頭にはア行が立たなかったことから、非形態素頭ではoよりvoの方が無標であると考える。(頭音法則)
foはハ行性をvoに加えているので除外。
ただし、音声転写ではその音声の発せられた時代の音韻に従う。現代共通語ではo/hoのみ。
襖𨱽[あをざい・アオザイ]: Avozai/Aozai(音声転写)/Áo dài(原語)
鍋巴[ぐをば・グオバ]: Guvóba/Guóba(音声転写)/Guōbā(原語)
cf.
魚[うを・ウオ]: Uvo
顔[かほ・カオ]: Kafo
男[をとこ・オトコ]: Votokáw
大きさ[おほきさ・オーキサ]: ofokisa
十[とを・トー]: Tóvo
里親[さとおや]: Satawhoja
ウオー: uoo*
ガオー: gaoo*
オーオ: ooho*
オエ: oe*

j:
ヤ行の子音字はj。jは子音としてのi
この字が元々は子音としてのiを表す為の文字であることや国際音声記号jから。
上代特殊仮名遣いにおけるエ乙類はヤ行のエjeである。
現代共通語の音韻を使った音声転写ではjeが現れない。
湯[ゆ]: Jú
世[よ]: Jó
矢[や]: Já
江[え]: Jé
柄[え]: Je
兄[え]: Je*
干支(兄弟)[えと]: Jeto
枝[えだ]: Je/Jeda
机[つくえ]: Tukuje
采/賽[さえ]: Saje*
映える[はえる]: xajéru
見える[みえる]: miju*, mije* >míje, mijéru
cf.
声[こゑ・コエ]: Kóve
前[まへ・マエ]: Máfe

ヤ行から母音が脱落してイになった場合、jではなくiとする。
fe/fay/veのイ音化はヤ行音化と母音脱落によるものとみなす。
ただし、ア行のイとワ行のヰとが音韻的に区別されている時期に於けるヰ音化なら、母音変化(fe/fay/ve>fi/vi)とみなす。
参考: 仮名遣提案
生憎[あいにく]: ajaniku* >ainiku
来い[こい]: kojo* >kói
行く[いく]: juku >iku
可愛い[かはいい・カワイィ]: kafajúi >kafaíj
みたい: míta jág >mítai
するみたい: suru mítai
夢みたい: Jumáy mitai
おまい: omafe >omai
元い[もとい]: motófe >motoi
cf.
可愛さう[かはいさう・カワイソー]: kafai*+sau*/sag* >kafaisáu/kafaiság
してみたい: site mitái
夢[ゆめ]: Imay* >Jumáy

維持されるべき綴りが不明または存在しない場合は、引き音やhの規則に当てはまらない限り、「エ」の音に当たる拍の綴りをjeとする。
前後の仮名に関係なく非形態素頭にはア行が立たなかったことから、非形態素頭ではeよりjeの方が無標であると考える。(頭音法則)
voとの対称性やi >jeの語形変化を重要視して、veよりもjeを優先した。
fe(fay)はハ行性をveに加えているので除外。
ただし、音声転写ではその音声の発せられた時代の音韻に従う。現代共通語ではe/heのみ。
遮る[さえぎる]: sakikiru* >saigiru* >sajegíru
才[ざえ]: Zai* >Zaje*
いいえ・イーエ: iije
cf.
得る[える]: éru
戎[えびす]: Ébisu
愛媛[えひめ]: Éxime
姉さむ[ねえさむ・ネーサン]: Néesam
オエ: oe*
ねえ・ネー: née
ええ・エー: ée
エーエ: eehe*
法衣[ほふえ・ホーエ]: Xofuhe
帰依[くゐえ・キエ]: Kwíhe
英語[えいご・エィゴ]: Eggo

日本語に於いてワ行のウとア行のウとが、またはヤ行のイとア行のイとが音韻上区別されたという証拠は無いとされる。これらの区別の存在が確定するまで、vu/jiを存在しないものとして扱う。
わゐうゑを・ワイウエオ: Vavihúvevo
やいゆえよ: Jahijújejo
植ゑる[うゑる・ウエル]: uv*, uvru*, uve* >uve, uveru
聶う[ひう]: xuyv*, xuyvru*, xuyve*
老いる[おいる]: oju*, oi* >ói, oíru
悔いる[くいる]: kuju*, kui* >kúi, kuíru
射る[いる]: íru, i
cf.
食ふ[くふ・クゥ]: kúfu
報ふ[むくふ・ムクゥ]: mukúfu
いい加減[いいかげむ・イーカゲン]: iikagem
聞いて[きいて・キーテ]: kiite
良い[いい・イィ]: jeki* >jóki >jói >jei*/jee*/íj
大きい[おほきい・オーキィ]: ofokíj
可笑しい[をかしい・オカシィ]: vokasíj
悲しい[かなしい・カナシィ]: kanasíj
楽しい[たのしい・タノシィ]: tanawsíj
可愛い[かはいい・カワイィ]: kafajúi >kafaíj
愛ほしい[いとほしい・イトーシィ]: itofosíj

w, y:
合拗音字はw。この字がuまたはvを二つ繋げた物であることから。w=ŭv
開拗音字はy。一般的なローマ字でのyに加えて、フランス語でのyやオランダ語のÿ(iとjの合字)から。y=ĭj
現代共通語の音韻を使った音声転写では合拗音が現れない。
会議[くゎいぎ・カイギ]: Kwáigi
蹴る[くゑる・ケル]: kwéru
食事[しょくじ]: Syokuzi
兄弟[くゐゃうだい・キョーダイ]: Kwyágdai
泥鰌(土長)[どぢゃう・ドジョー]: Dodyag
お嬢様[おぢゃうさま・オジョーサマ]: Odyágsama
醤油[しゃうゆ・ショーユ]: Syagju
しゃうが無い[しゃうがない・ショーガナイ]: Sijag ga nái >syagganái
cf.
しよう・シヨー: semu* >sem’* >seu* >sijóu

形態素末のu/iと形態素頭のv/jとが融合しているとみなせる場合にも拗音字w/yを使う。
語形変化の仕組みがこれと同じであっても、形態素の境界でない場合は除く。
uyとjとの融合であれば、ŭyjとする。
uv >ŭv=w
ij >ĭj=y
uyj >ŭyj
-右衛門[ゑもん(うゑもん)・エモン]: -huvemon* >-hwemon*
五右衛門[ごゑもん(ごうゑもん)・ゴエモン]: Gohwemon
あはよくば(あはひょくば)・アワヨクバ: afafi*+jókuba >afafyókuba
cf.
仁左衛門[にざゑもん・ニザエモン]: Nizavemon
故[ゑ・エ]: Juvé >Ve*
箱[はこ]: Xakaw
酒[さけ]: Sakay
神[かみ]: Kámuy
葵[あふひ・アオイ]: Afwfi

g:
基本的にはガ行の子音字だが、平水韻で下記の韻に分類される字音の韻尾のウやイは共にgとする。
平水韻:
東/冬/江/董/腫/講/送/宋/絳
陽/庚/青/蒸/養/梗/迵/漾/敬/径
ただし、仮名一文字だけで書かれる字音は除く。
直前の母音字によってウかイかが明確に定まるので混乱は起きない。(ug/og/agならウ、egならイ)
「相模/双六/愛宕」など、韻尾をガ行で表した例がある。詳しくは本居宣長の『地名字音転用例』を参照。
「うむの下濁る」と言われる様に、この種の字音の直後では連濁が起きやすかった。
gという字に母音的な音価を持たせている例として、アイスランド語のgやトルコ語のğを参考にした。
現代共通語の音韻を使った音声転写では現れない。
東京[とうきゃう・トーキョー]: Togkyag
通行[つうかう・ツーコー]: Tugkag
交通[かうつう・コーツー]: Kautug
同僚[どうれう・ドーリョー]: Dogreu
同量[どうりゃう・ドーリョー]: dogryag
冬至[とうじ・トージ]: Togzi
当時[たうじ・トージ]: Tágzi
妙齢[めうれい・ミョーレィ]: meureg
情景[じゃうけい・ジョーケィ]: Zyagkeg
映像[えいざう・エィゾー]: Egzag
重要[ぢゅうえう・ジューヨー]: dyugheu
中国[ちゅうごく・チューゴク]: Tyúggoku
香草[かうさう・コーソー]: Kagsau
西洋[せいやう・セィヨー]: Séijag
正解[せいかい・セィカイ]: Segkai
正月[しゃうぐゎつ・ショーガツ]: Syaggwatu
証拠[しょうこ・ショーコ]: Syogko
証明[しょうめい・ショーメィ]: Syogmeg
照明[せうめい・ショーメィ]: Seumeg
明星[みゃうじゃう・ミョージョー]: Myagzyag
金星[きむせい・キンセィ]: Kimseg
丁寧[ていねい・ティネィ]: tégneg
包丁[はうちゃう・ホーチョー]: Xautyag
しさうだ・シソーダ(「相」説): sisag da
するさうだ・スルソーダ(「相」説): suru ság da
通じる[つうじる・ツージル]: tugziru
応じる[おうじる・オージル]: ogziru
命じる[めいじる・メィジル]: megziru
cf.
熊[う]: u*
表現[へうげん・ヒョーゲン]: Xeugén
料理[れうり・リョーリ]: Réuri
調合[てうがふ・チョーゴー]: Teugafu
円柱[ゑんちゅう・エンチュー]: Ventyuu
住所[ぢゅうしょ・ジューショ]: Dyúusyo
牛乳[ぎうにゅう・ギューニュー]: Giunyuu
余裕[よゆう・ヨユー]: Jojuu
法曹[はふさう・ホーソー]: Xafusau
北条[ほうでう・ホージョー]: Xóudeu
しさうだ・シソーダ(「様」説): sisau da
するさうだ・スルソーダ(「様」説): suru sáu da

とりあえず『日本国語大辞典』に従っておくが、「中/龍」などの字音仮名遣いが「チウ/リウ」のように「イ段+ウ」とされることもある。そちらに従う場合、iの直後のgをイとして扱う必要が無いので読み方に混乱は起きないが、ウをgで書いて良いのかは検討する必要がある。この様なウの表す対象が韻尾だけに収まっていないのだとすれば、gを使ってはならないかも知れない。
また、アルファベットに付けられた記号はそのアルファベットに派生要素を加える為のものなので、uと起源の異なるこのウを記号付きのuで表すことは避けたい。
ちなみに、gの音価が後舌母音u/o/aの直後でウ、前舌母音e/(i)の直後でイと成る方が綺麗なので、「チュウ/リュウ」のように「ウ段+ウ」として扱いたいという気持ちがあるが、これはあまり重要でないと思われる。

何か問題があるとわかるまでの実験として、ガ行からの音便にもこのgを使ってみる。ただし子音脱落で説明できるものには使わない。
冠[かむむり・カンムリ]: Kagaxuri* >Kagburi* >Kamburi* >Kammuri
cf.
稼いで[かせいで・カセィデ]: kasegite* >kaséide
泳いで[およいで]: ojogite* >ojóide
香ばしい[かむばしい・カンバシィ]: kagufasi* >kaubasíj >kambasíj
「香」の字音から「コーバシィ」をkagbasíjとするのも認めてみる。

維持されるべき綴りが不明または存在しない場合は、引き音拍を段ごとに次の様にする。
*括弧内は音声転写での綴り(長音符が使われている長音の表記からの翻字)
ウ段長音: uu(uu)
オ段長音: ou(oo)
ア段長音: aa(aa)
エ段長音: ee(ee)/ei(ei)
イ段長音: ii(ii)
ウ段拗長音: iu(juu/yuu)
オ段拗長音: eu(joo/yoo)
オ段甲長音: awu(aww >oo)
エ段乙長音: ayy(ayy >ee)
イ段乙長音: uyy(uyy >ii)
オ段長音は「オ段+ウ」という頻出の仮名遣いで表現できるので、甲類乙類共にこれを優先する。
ウ段拗長音ではiu、オ段拗長音ではeuという形にする。
eiはエ段長音(ee)と二重母音(ej)との両用に読まれるので、エ段長音でしか読まれないものにはeiを使えない。
音声転写としてのau/aww/ayy/uyyを使うのは、古語の発音を真似る場合など、失われた音素を利用しなければ表現できない音声を転写する場合のみである。
父さむ[とうさむ・トーサン]: Tóusam
母さむ[かあさむ・カーサン]: Káasam
姉さむ[ねえさむ・ネーサン]: Néesam
兄さむ[にいさむ・ニーサン]: Níisam
どう・ドー: dóu
斯う[かう・コー]: kau/káu
然う[さう・ソー]: sau/sáu
ああ・アー: aa
おうい・オーイ(呼び掛け): oúi
詩歌[しいか・シーカ]: Síika/Síka
背[せい・セィ]: Sé >Séi
高え[たけえ・タケー]: takái >takée
寒え[さみい・サミー]: samúi >samíi
細え[ほせえ・ホセー]: xosói >xosée
良え[ええ・エー]: jói >jée
焼売[しうまい・シューマイ]: Siumai/Syuumai(音声転写)/Shāomài(原語)
餃子[げうざ・ギョーザ]: Geuza/Gyooza(音声転写)/Jiǎozi(原語)
cf.
江戸語として考えた場合、次の様になるだろうか。読み仮名については長音であること以外は現代語読みをした。
高い[たかい・タケー]: takai*
寒い[さむい・サミー]: samui*
細い[ほそい・ホセー]: xosoi*
気前[きまへ・キメー]: Kimafe*
口答へ[くちごたへ・クチゴテー]: Kutigot’afay*
何処へ[どこへ・ドケー]: Doko* fe*, Dokofe*
教へる[をしへる・オセール]: vosifayru*

子音字拍の直後の引き音はその子音字で表す。

促音

促音には大きく分けて二種類あるとする。一つは入声韻によるもの、もう一つは清音子音の長音によるものである。前者は元々が促音的であり、かつては語末にも立てるほどに独立性があった。後者は元々は促音ではなく、音便や子音強調によって発生したものであり、語末に立つことは無い。ただし、方言によっては入声韻尾でない促音が語末に立つこともある。
入声韻によるものは平水韻を基準に綴る。

平水韻で緝/合/葉/洽の韻に属する字音が促音を持つ場合、その促音をpとする。
この促音は字音仮名遣いのフと交替する。
この種の促音pが促音符ッを介してツ音に変わったと思われる場合(おそらく下記のものに限られる)に注意。
ただし、「十」を[ジュッ]と読む場合はこれに含まず、清音子音の長音とする。
圧: ap* >afu*/atu*
颯: sap* >safu*/satu*
執/湿: sip* >sifu*/situ*
接/摂/椄: sep* >sefu*/setu*
雑: zap* >zafu*/zatu*
蟄: tip* >tifu*/titu*
拉: rap* >rafu*/ratu*
立: rip* >rifu*/ritu*
立派[りっぱ]: rippa
入声[にっしゃう・ニッショー]: Nipsyag
合戦[かっせん]: Kapsen
雑誌[ざっし]: Zapsi
摂取[せっしゅ]: Sépsyu
接触[せっしょく]: Sepsyoku
颯爽[さっさう・サッソー]: sapsag
執政[しっせい・シッセィ]: Sipseg
恰好[かっかう・カッコー]: Kapkau
納豆[なっとう・ナットー]: Naptóu
法度[はっと]: Xapto
法相[ほっさう・ホッソー]: Xopsag
十手[じって]: Zipte
十個[じっこ]: Zípko
接する[せっする]: sepsuru
cf.
建立[こんりふ・コンリュー]: Konrifu
入場[にふぢゃう・ニュージョー]: Nifudyag
合成[がふせい・ゴーセィ]: Gafuseg
雑巾[ざふきん・ゾーキン]: Zafukin
執念[しふねむ・シューネン]: Sífunem
納税[なふぜい・ノーゼィ]: Nafuzei
法律[はふりつ・ホーリツ]: Xafuritu
法力[ほふりき・ホーリキ]: Xofuriki
十個[じゅっこ]: Zyúkko

平水韻で質/物/月/曷/黠/屑の韻に属する字音が促音を持つ場合、その促音をtとする。
ただし、連声と区別する為、sの直前ではtをhに変える。sの直前にハイフンがある場合はtのままにする。
この促音は字音仮名遣いのツ/チと交替する。
物体[ぶったい]: Buttai
実験[じっけむ]: Zitkem
月光[ぐゑっくゎう・ゲッコー]: Gwetkwag
発表[はっぺう・ハッピョー]: Xatpeu
日本[にっぽん/にほん]: Nitpón/Nixón
日誌[にっし]: Nihsi(Nit-si)
罰する[ばっする]: bahsuru

促音tはh/v/j/f/s(形式子音/半母音/特殊音)の直前(スペースやハイフンは無視)で連声を起こす。ちなみに「つぁ」は嘗て「さ゚」と書かれた。
この現象によって長子音が発生するのだから、連声前は長子音では無く、連声後は長子音で無ければならない。sの直前にハイフンがある場合はṫとする。
雪隠[(せっいん)・セッチン]: Sethin
仏縁[ぶつえん, (ぶっえん)・ブッチェン]: Butuhen/Buthen
今日は[こむにちは・コンニチワ, (こむにっは)・コンニッタ]: komnitifa/komnitfa
念仏を[ねむぶつを・ネンブツオ, (ねむぶっを)・ネンブット]: Nembutu vo/Nembut vo
(とっさ゚む)・トッツァン: Tótosama >Tótsam(Tóṫ-sam)
(はっさ゚む)・ハッツァン: Xatsam*(Xaṫ-sam*)
(ごっさ゚む)・ゴッツァン: gotsam*(goṫ-sam*)
cf.
はっちゃむ・ハッチャン: Xattyam*
出来[しゅったい]: Syuturai >Syuttai(形式子音/半母音/特殊音のどれでもないので連声から除外)
やっちゃる: jatte+jaru >jattyaru
しちゃる: site+jaru >sityaru
やっちまふ: jatte+simafü >jattimafü
しちまふ・シチマウ: site+simafü >sitimafü
死んぢまふ[しんぢまふ・シンジマウ]: sinde+simafü >sindimafü
やっとる: jatte+vóru >jattóru
しとる: site+vóru >sitóru
「西浄: Seitin*」から変化したと考えれば、「雪隠」は「Séttin」となる。

歴史的仮名遣いでクと書かれる促音はq、キと書かれる促音はcとする。
一見q/cは子音字だが、「促音という音価を示すための何らかの記号をku/kiに付けたもの」の省略としての文字であり、子音字とは言えない。
このような促音の直後では歴史的仮名遣いをハ行とするかパ行とするかに辞書ごとの揺れがあるが、ku/kiと言う綴りの直後でのパ行は稀なので、ハ行として扱う。
この促音は平水韻で屋/沃/覚/薬/陌/錫/職の韻に属する字音の韻尾に当たるが、この韻に属する字音の促音であっても、歴史的仮名遣いでク/キと書かれるものでなければ、q/cを使えない。
参考: 仮名遣提案
格好[かくかう・カッコー]: Kaqkau
学校[がくかう・ガッコー]: Gaqkau
遡及[そきふ・ソキュー, さくきふ・サッキュー]: Sokifu/Saqkifu
石鹸[せきけむ・セッケン]: Seckem
陸行[りくかう・リッコー]: Riqkag
力行[りきかう・リッコー]: Rickag
六法[ろくはふ・ロッポー]: Róqxafu
百方[ひゃくはう・ヒャッポー]: Xyaqxág
北方[ほくはう・ホッポー]: Xoqxag
洗濯機[せんたくき, せんたくき・センタッキ]: Sentákuki/Sentáqki
適確[てきかく, てきかく・テッカク]: tekikaku/teckaku
cf.
核家族[かくかぞく]: Kakukázoku
沖言葉[おきことば]: Okikótoba
夏期講習[かきかうしふ・カキコーシュー]: Kakikágsifu
かきくけこ: Kakikúkeko
百点[ひゃくてむ・ヒャクテン]: Xyakutém
国宝[こくほう・コクホー]: Kokuxou
齷齪[あくせく]: ákuseku
育成[いくせい・イクセィ]: Ikuseg
匹敵[ひってき]: Xitteki
逼迫[ひっぱく]: Xippaku
逼悩[ひつなう・ヒツノー]: Xitunau*

上記以外の促音の内、カ行/サ行/タ行/パ行の直前にあるものは清音子音の長音とする。これらは韻にも歴史的仮名遣いにも関わらない。
VVCはVCCになり易い様に思われる。(Vは母音、Cは子音)
早急[さっきふ・サッキュー]: saukifu >sakkifu
牛車[ぎっしゃ]: Gíssya
富貴[ふっくゐ・フッキ]: Xúukwi >Xúkkwi
亀甲[きっかふ・キッコー]: Kikafu* >Kikkafu
天辺[てっぺん]: Texen* >Teppén
呆気[あっけ]: Akkay
奴[やっこ]: Jatukaw >Jakkaw
全く[まったく]: mataku* >mattaku
をっさむ・オッサン: Vodisama >Vossam
欲す[ほっす]: xorisu* >xossu
仰る[おっしゃる]: ofoseharu* >ossy’áru
いらっしゃる: iraseraru* >irassyáru
訴へる[うったへる・ウッタエル]: urutafu* >uttafáyru
坊ちゃむ[ぼっちゃむ・ボッチャン]: Bóttyam
新田[にった]: Nitta
大っきい[おっきい・オッキィ]: ofokíj >okkíj
尊い[たっとい]: tafutáwi >tattáwi
夫[をっと・オット]: Vofito* >Vofto* >Votto
行って[いって]: ikite* >(iite*?) >itte
言って[いって]: ifite* >ifte* >itte
煎って[いって]: irite* >ítte
勝って[かって]: katite* >kátte
って: tote* >tte
安っぽい[やすっぽい]: jasuppói
安いっぽい[やすいっぽい]: jasui ppói
馬鹿っぽい[ばかっぽい]: Báka ppoi >bakappói
それっぽい: Sore ppói
打っ飛ぶ[ぶっとぶ]: butitobu* >buttóbu
打っ放す[ぶっぱなす]: butixanasu* >buppanásu
打っ壊す[ぶっこはす・ブッコワス]: butikofásu >bukkofásu
突っ込む[つっこむ]: tukikomu* >tukkómu
差っ引く[さっぴく]: sasixíku >sappíku
掻っ攫う[かっさらふ・カッサラウ]: kakisarafü* >kassaráfü
落っことす[おっことす]: okkotósu
cf.
て言ふか[ていふか・テユーカ]: tte ifú ka >tehífuka

上記以外の促音は全てhとする。この促音は音声転写や俗語にのみ現れる。
ただし、入声韻尾p/tの嘗ての音価が促音の条件異音として現れる傾向にある場合は、p/tを使える。kは単独では促音にならず、q/cはク/キを促音として読むための字であるので、k/q/cは使えない。
あっ: ah
あっと言う[あっといふ・アットユー]: atto ifu(ah-to ifu)/áh to ifu
アッア: ahha*
アッガ: ahga*
アッザ: ahza*/atza*
アッダ: ahda*/atda*
アッナ: ahna*/atna*
アッハ: ahxa*
アッバ: ahba*/apba*
アッマ: ahma*/apma*
アッヤ: ahja*
アッラ: ahra*/atra*
アッワ: ahva*
ンッ: nh*
あっは・アッワ: ahfa*
むっ・ンッ: mh*

非韻尾の促音の直後に形態素境界を示す為のハイフンを挿入する場合は、促音をhに変える。
早[さう・ソー/さっ]: sau*/sah*
早急[さっきふ・サッキュー]: saukifu >sakkifu(sah-kifu)
早速[さっそく]: sausoku >sassoku(sah-soku)
十: zifu*/zip*/zyuh*
十回[じっくゎい・ジッカイ]: zipkwái >zyukkwái(zyuh-kwái)
cf.
真[ま]: ma*
真っ赤[まっか]: makká
真っ青[まっさを・マッサオ]: massávo(ma-ssávo)
真っ平[まったひら・マッタイラ]: mattáfira(ma-ttáfira)
真っ裸[まっぱだか]: mappádaka(ma-ppádaka)
真っ正面[まっしゃうめん・マッショーメン]: Massyágmen(Ma-ssyágmen)
真ん中[まんなか]: Mannaka(Ma-nnaka)
真む前[まむまへ・マンマエ]: Mammáfe(Ma-mmáfe)

促音符の直後の長音符は促音と見なす。
ただし、日本語は促音と促音の長音とを区別できない。
アッー=アッッ: ahh

無音を表す擬音語を除き、促音だけでは語に成らない。促音を担う字は必ずその前後どちらかの字と同じ語に属す。

非長子音の促音を韻尾以外にも使うことを考えたが、次の理由から止めた。
・日本語に促音が発生した原因たる韻尾に存在しない子音字を独立させたくない。
・韻尾以外の促音が非長子音として認識されたという証拠が無い。
・ラ行などから母音が脱落しただけでは促音にならず、さらに清音化などが必要である。
・語の判別にほとんど関わらないと思われる。

上記の規則に於いて長子音の促音に成り得る子音字p/t/k/s/hの内、対応する濁音を持つp/t/k/sを真清音と呼ぶのはどうだろう。

撥音

促音と違ってmm/nn以外では長子音としての表記ができないので、撥音はm/nのみ。どちらの撥音も語末に立てるので、後続音からの独立性が強い。

平水韻で侵/覃/塩/咸/寝/感/琰/豏/沁/勘/豔/陥/(緝/合/葉/洽)の韻に属する字音の撥音はmで書き、真/文/元/寒/刪/先/軫/吻/阮/旱/潸/銑/震/問/願/翰/諫/霰の韻ならnで書く。
「験」の慣用音などは扱いが難しいが、とりあえず元の字音に近いkemを使ってみた。
三千[さむぜん・サンゼン]: Samzén
感想[かむさう・カンソー]: Kamsag
謙虚[けむきょ・ケンキョ]: kémkyo
審査[しむさ・シンサ]: Símsa
実験[じっけむ・ジッケン]: Zitkem
阿吽[あうむ・アウン]: Ahum
納戸[なむど・ナンド]: Namdaw
担任[たむにむ・タンニン]: Tamnim
元旦[ぐゎんたん・ガンタン]: Gwantan
完成[くゎんせい・カンセィ]: Kwanseg
選挙[せんきょ]: Sénkyo
判官[はうぐゎん・ホーガン]: Xángwan >Xáugwan

上記の字音と同様に、ムで書かれた撥音はmとする。これにはマ行やバ行から撥音化した場合も含む。
これによって撥音の逆行同化としてmm/mbという形が認められるので、これに合わせて次の場合にも撥音をmとする。ただし、撥音の直後に形態素境界がある場合を除く。
・マ行やバ行の直前に撥音が添加された場合 m >mm, b >mb
・ア行/ワ行/ヤ行/ガ行/カ行/転呼ハ行(これらは音価や音便に於いて母音との関わりが特に強い)がマ行やバ行の直前で撥音化した場合 uma >mma, uba >mba, &c.
・維持されるべき綴りが不明または存在しない語に於いて、撥音がマ行やバ行の直前にある場合
・m撥音の嘗ての音価が撥音の条件異音として現れる傾向にある場合
語末が撥音化した場合、その撥音が複合語の語中に来ても元の綴りを維持。
逆に語中が撥音化した場合、その語の略語に於いてその撥音が語末に来ても元の綴りを維持。
参考: 仮名遣提案
馬[うま, むま・ンマ]: Umá/Mmá
子馬[こうま, こむま・コンマ]: Kawhuma/Kawmma
梅[うめ, むめ・ンメ]: Umay/Mmay
孫[まご, うまご, むまご・ンマゴ]: Magáw/Umagaw*/Mmagaw*
姥[うば, むば・ンバ]: Úba/Ḿba
山姥[やまうば, やまむば・ヤマンバ]: Jamáhuba/Jamámba
宜[うべ, むべ・ンベ]: ubay*/mbay*
埋まる[うまる, むまる・ンマル]: umaru/mmaru
生まれる[うまれる, むまれる・ンマレル]: umareru/mmareru
旨さ[うまさ, むまさ・ンマサ]: Úmasa/Ḿmasa
考へる[かむがへる・カンガエル]: kamgafáyru/kamgáfayru
うむ・ウン: úm
うむと・ウント: umto
うむ万円[うむまんゑん・ウンマンエン]: Ummanven
うむこ・ウンコ: Úmko
ううむ・ウーン: uum
む・ン: m
甲[かむ・カン]: kap* >kam*
甲板[かむぱん・カンパン]: Kampan
甲高い/疳高い[かむだかい・カンダカイ]: kamdakái
飲むで[のむで・ノンデ]: nomite* >nómde
飛むで[とむで・トンデ]: tobite* >tomde
商人[あきむど・アキンド]: Akibito* >Akímdo
神[かむ・カン]: Kámuy/kamu* >kam*
簪[かむざし・カンザシ]: Kamisasi* >Kamzasi
-様>-さむ・サン: -sama >-sam
爺さむ[ぢいさむ・ジーサン]: Díisam
婆ちゃむ[ばあちゃむ・バアチャン]: Báatyam
あまり >あむまり・アンマリ: amari >ammari
鳶[とむび・トンビ]: Tóbi >Tómbi
-む坊[むばう・ンボー]: -bag >-mbag
暴れむ坊[あばれむばう・アバレンボー]: Abarembag
は >ば >むば・ンバ: fa >ba >mba
痩馬[やしょむま・ヤションマ]: Jasehuma >Jaseuma, {jaseuma}={jasyooma} >{jasyomma}→Jaseuma >Jasyomma
丼[どむ・ドン]: Domburi >Dóm
小便[しょむべん・ションベン]: {seubén}={syoobén} >{syombén}→Seubén >Syombén
連れしょむ[つれしょむ・ツレション]: Turesyom
秋刀魚[さむま・サンマ]: Samma
八ッ場ダム[やむばだむ・ヤンバダム]: Jamba-dam
アンパ: ampa*
cf.
神[かう・コー]: Kámuy/kamu* >kam* >kau*
神戸[かうべ・コーベ]: Kámbay >Káubay
上[かう・コー]: Kámi >kam* >kau*
上野[かうづけ・コーズケ]: Káudukay
三[ざう・ゾー]: Sam >(zam*) >zau*
省三[しゃうざう・ショーゾー]: Syagzau
ご覧ず[ごらうず・ゴローズ]: goramzu* >gorauzu*
日向[ひうが・ヒューガ]: Ximuka* >(Ximga*) >Xíuga
峠[たうげ・トーゲ]: Tamukáy >(Tamgay*) >Taugáy
笄[かうがい・コーガイ]: Kamikaki* >(Kamgai*) >Kaugai
手水[てうづ・チョーズ]: Temidu* >(Temdu*) >Téudu
麹[かうぢ・コージ]: Kamdati* >Kamti* >(Kamdi*) >Kaudi
麹[かうじ・コージ]: Kamosi* >(Kamzi*) >Kauzi
蔵人[くらうど・クロード]: Kurabito* >Kuramdo* >Kuráudo
商人[あきうど・アキュード]: Akibito* >Akímdo >Akíudo
仲人[なかうど・ナコード]: Nakabito* >(Nakamdo*) >Nakáudo
候ふ[さうらふ・ソーロー]: saburafu* >saurafu*
だらう・ダロー: d’aramu* >d’aram’* >d’aráu
しよう・シヨー: semu* >sem’* >seu* >sijóu
しさうだ・シソーダ(「様」説): sisau da
するさうだ・スルソーダ(「様」説): suru sáu da
羽毛[うもう・ウモー]: Umou
高級羽毛[かうきふうもう・コーキューウモー]: Kaukifuhúmou
得べし[うべし]: ubaysi*
有無[うむ]: Úmu
郁子[むべ/うべ/うむべ]: Múbe/Úbe/Umube*
海[うみ]: Úmi
鰻[うなぎ]: Munagi >Unagi
飲む[のむ]: nómu
うむ: úmu

上記の規則から漏れる撥音はnとする。
「感応」や「三悪」などの連声から、m撥音よりn撥音の方が機能上は基本的なものになったものと考える。
死んで[しんで]: sinite* >sinde
何で[なんで]: Náni de >Nán de/nánde
如何[いかん]: ikáni >Ikán
盛ん[さかん]: sakari >sakan
あなり/あんなり・アンナリ: annari*
あめり/あんめり・アンメリ: anmeri*
問屋[とんや]: Tofija* >Tonja
皆[みんな]: Muyná >Muynná
やはり >やんはり・ヤンワリ: jafari >janfári
鑑みる[かんがみる]: kagamiru* >kangamíru
凄い >すんごい: sugói >sungói
四[よん]: Jó >Jón
四万[よんまん]: Jonmán
ちんこ: Tikko* >Tínko
まんこ: Ménokaw >Mánkaw
アンハ: anxa*
日本国語大辞典によると「四」には「三」の影響から撥音が添加されたようだが、その時点では既にm撥音とn撥音は区別されていなかっただろうと考え、そのような撥音を基にした「四」をjónとした。

撥音符の直後の長音符は撥音とみなす。
ンー=ンン: nn/mm
長音でない「ンン」を表現したい場合は、スペースで区切る。

バ行由来の撥音にbを当てるというのも考えたが、次の理由から止めた。
・撥音発生の原因たる韻尾にbが存在しない。
・撥音を鼻子音拍と考えるなら、バ行から母音が脱落しただけでは撥音にならず、さらに鼻音化が必要である。
・撥音がbかmかを表記や発音に於いて区別したという証拠が無い。
・語の判別にほとんど関わらないと思われる。

「鑑みる」や「すんごい」をガ行鼻濁子音の長音化(gg)と考えることもできるかもしれないが、次の理由から止めた。
・gには既に字音韻尾としての読み「ウ/イ」が与えられている。
・他に撥音韻尾としてのgが存在しない。
・促音に於けるhの様な、長子音による撥音を代表する字が無い。

上代特殊仮名遣い

ウ段/オ段乙/ア段/イ段甲の母音字を先ず基本的なものとし、入出力に負担の掛からないu/o/a/iで書く。
これは「オ段甲をo、オ段乙をö」とする一般的な書き分け方と逆になるが、大事なのはかつて存在した区別を示すことである。
八母音説など、当時の具体的音価に関する主張ではなく、飽く迄書き分けの話である。
推定音価として使われる音声記号とここで提案する綴りとは全く異なる物であり、異なる目的のために使用されるべきである。

エ段甲以外の残り三つは、母音字に拗音字を後接させて母音字列を作ることで表す。
aにu性を加えるという意味でaw、u/aにi性を加えるという意味でuy/ayを使う。
ここで基準とした母音字u/aは、このローマ字での五段の並び「ウオアエイ」で最初に来るものと、中央に来るものである。
上代に於ける実際の音価や、各母音字の発生原因なども参考にはしたが、直接的にそれらを示している訳ではない。

オ段甲はawとする。
「白」の読みシラをシロの古形とみなすならば、露出形と被覆形の交替に一応関わっており、被覆形での母音がア段ということになる。
有坂・池上法則での「オ乙対ウ/ア/オ甲」の対立に関連して都合が良い様に思われる。
ちなみに、「高kau」や「刀tau」がオ段甲の音仮名(漢字の音読みを使った万葉仮名)なので、直感的にも問題無いと考える。
維持されるべき綴りが不明または存在しない場合は、オ段甲直後の引き音をuとする。awu
上代の音声を転写する場合は、オ段甲直後の引き音をwとするが、この規則が活用されることは基本的には無い。aww
大野晋(1977)によればオ段では乙類の数が甲類のそれを圧倒しているので、甲乙を確定し難い場合やそもそも甲乙の区別が存在しない場合、とりあえず乙類として扱う。
夜[や]: Jáw
野[の]: Náw
狩野[かのう・カノー]: Kanawu
凌ぐ[しのぐ]: sináwgu
偲ぶ[しのぶ]: sinawfu* >sináwbu
楽しい[たのしい・タノシィ]: tanawsíi
角[つぬ/つの]: Tunu*/Tunáw
栂[つが/とが]: Tugá/Tuga/Táwga
真澄[ますみ/まそみ]: Masumi/Masawmi
手着[たづき/たどき]:Tadukí/Taduki/Tadawki*/Tadoki*
脚結[あゆひ・アユイ, あよひ・アヨイ]: Ajufi/Ajawfi
倭文[しづおり・シズオリ, しどり, しづり・シズリ]: Siduhori*/Sidawri*/Siduri*
著[しるし/しろし]: Sirusi/Sirawsi
白[しろ]: Síraw
黒[くろ]: Kúraw
箱[はこ]: Xakaw
鳩[はと]: Xátaw
里[さと]: Sataw
室[むろ]: Muráw
雲[くも]: Kúmaw
妹[いも, いもうと・イモート]: Ímaw/Imawftó
子[こ]: Kaw
恋[こひ・コイ]: Káwfuy
糸[いと]: Íto/Ítaw
腿[もも]: Máwmaw
百[もも]: Máwmaw
遊ぶ[あそぶ]: asawbu
争ふ[あらそふ・アラソウ]: arasáwfü
通ふ[かよふ・カヨウ]: kajawfü
数へる[かぞへる・カゾエル]: kazawfáyru
集ふ[つどふ・ツドウ]: tudáwfü
幽し[かそけし]: kasawkaysi*
賢い[かしこい]: kasikáwi
尊い[たふとい・トートイ, たっとい]: tafutáwi/tattáwi
扱いて[こいて]: káwite
呼うで[ようで・ヨーデ]: jawude*
cf.
色[いろ]: Iró
心[こころ]: Kokoró/Kokóro
物[もの]: Monó
桃[もも]: Momo
来よ[こよ]: kojo*
白玉[しらたま]: Siratama
葵[あふひ・アオイ]: Afwfi
倒す[たふす・タオス]: tafẃsu
暗い[くらい]: kurai/kurái
墓[はか]: Xaká
旗[はた]: Xatá
村[むら]: Murá
熊[くま]: Kumá/Kúma

エ段甲はe、エ段乙はayとする。
後者が特に露出形と被覆形の交替に強く関わり、被覆形末がア段となることから。
維持されるべき綴りが不明または存在しない場合は、エ段乙直後の引き音をyとする。ayy
下二段活用や下一段活用の活用語尾がケ/ゲ/ヘ/ベ/メであれば、それを乙類として扱う。
ただし、可能動詞はその発生がエ段の甲乙の区別が失われてからであることが明らかなので、その活用語尾のエ段を甲類として扱う。
厳密には他にも上代での用例の確認できない動詞があるが、それらを何らかの分類でまとめることができない限り、その活用語尾を乙類として扱う。
四段活用での已然形の活用語尾ケ/ゲ/ヘ/ベ/メは乙類であり(命令形は甲類)、五段活用で仮定形と呼ばれる様になっても、綴りを維持する。
甲乙共に同程度の使用度だが、推定音価から乙類より甲類の方が無標であると考えられるので、甲乙を確定し難い場合やそもそも甲乙の区別が存在しない場合、とりあえず甲類として扱う。
上[うへ・ウエ]: Ufay
上手[うはて・ウワテ]: Ufate
酒[さけ]: Sakay
酒樽[さかだる]: Sakadaru
目[め]: Máy
目蓋[まぶた]: Mábuta
食べる[たべる]: tabu*, tabay* >tábay, tabáyru
確かめる[たしかめる]: tasikamu*, tasikamay* >tasikámay, tasikamáyru
書ける[かける]: kakéru
使へる[つかへる・ツカエル]: tukaferu
虐める[いぢめる・イジメル]: idimayru
書けば[かけば]: kákayba
詠めり[よめり]: jomi*+ari* >jomeri*
前[まへ・マエ]: Máfe
家[いへ・イエ]: Ifé
女[め]: Mé
茸[たけ]: Take
胸[むね]: Muné
金[かね]: Kane >Kana
持てば[かてば]: móteba
有れば[あれば]: áreba
蹴る[くゑる・ケル]: kwéru

イ段乙はuyとする。
露出形と被覆形の交替に強く関わり、被覆形末がウ段またはオ段(乙または不定)となる。
維持されるべき綴りが不明または存在しない場合は、イ段乙直後の引き音をyとする。uyy
通常の上二段活用(あえて乙類型上二段活用と呼ぶ)の活用語尾やその変化形としての上一段活用の語幹末がキ/ギ/ヒ/ビ/ミであれば、それを乙類として扱う。
ただし、次の場合は甲類とする。
・元からの上一段活用(ただし、「廻る(みる)」を除く)
・乙類型上二段活用以外から上一段活用に変化したもの
・イ段甲の連用形が原因で上二段活用に変化したと思われるもの
・イ段の甲乙の区別が失われてから発生したことが明らかなもの
(連用形がイ段の場合、それだけではどの活用型に属する語なのかがわからないので、活用型の混同が起きたと考える)
大野晋(1977)によればイ段では甲類の数が乙類のそれを圧倒しているので、甲乙を確定し難い場合やそもそも甲乙の区別が存在しない場合、とりあえず甲類として扱う。
木[き]: Kúy
紀伊[きい・キー]: Kúyy
木陰[こかげ]: Kokagay
果物(木だ物)[くだもの]: Kudámono
月[つき]: Tukúy
月読[つくよみ]: Tukujomi
茎[くき]: Kukúy
杉[すぎ]: Suguy
葱[ねぎ]: Néguy
菜葱[なぎ]: Naguy*
萩[はぎ]: Xáguy
荻[をぎ・オギ]: Vóguy
柳[やなぎ]: Janaguy
蓬[よもぎ]: Jomoguy
霧[きり]: Kuyri
火[ひ]: Xúy
火先[ほさき]: Xosakí
火[ふ](東国方言): Xu*
恋[こひ・コイ]: Káwfuy
身[み]: Múy
骸(身くろ)[むくろ]: Mukuro
神[かみ/かむ]: Kámuy/kamu*
神柄[かむから]: Kamukara*
雷(神鳴り)[かみなり]: Kamuynári/Kamuynarí
闇[やみ]: Jamúy
のみ(助詞): nómuy(助詞「の」と「身」が語源だと言われる)
起きる[おきる]: oku*, okuy* >ókuy, okúyru
過ぎる[すぎる]: sugu*, suguy* >súguy, sugúyru
廻る[みる]: muyru*
恨む(上二段)[うらむ]: uramu*, uramuyzu*, uramuredo*, uramuyjo*, uramuyte*
恨み[うらみ]: Uramúy/Uramí (上一段活用と上二段活用のどちらの「恨む」が古いのかに依る)
cf.
秋[あき]: Áki
脛[はぎ]: Xagí
口[くち/くつ]: Kuti/Kutu
切る[きる]: kíru
日[ひ]: Xi
氷[ひ]: Xi*
不知火[しらぬひ・シラヌイ]: Siranufi/Siránufi
空蝉[うつせみ]: Utusemi
水[みづ・ミズ]: Midu
上[かみ]: Kámi
落ちる:[おちる] otíru
見る[みる]: míru
生きる[いきる]: iku*, iki* >íki, ikíru
飽きる[あきる]: aku*, aki* >áki, akíru
出来る[できる]: deku*, deki* >déki, dekíru
老いる[おいる]: oju*, oi* >ói, oíru
恨む(上一段)[うらむ]: uramu*, uramizu*, uramiredo*, uramijo*, uramite*
恨む(四段)[うらむ]: urámu, uramázu, urámaydo, uráme, urámite

甲乙両例がある場合はどちらに従っても良いが、甲乙のどちらがより古いのかが判明していれば、古い方に従う。
太い[ふとい]: xutói
跡[あと]: Átaw(時代別国語大辞典/字訓)
取る[とる]: táwru(古典基礎語辞典)
まつろふ・マツロウ: maturafu* >maturawfu*
移ろふ[うつろふ・ウツロウ]: uturafu* >uturáwfü

上代特殊仮名遣いでの区別を字音仮名遣いにも適用できるかもしれない。しかし、そのような区別をつけている辞書は今の所は存在しないか、少なくとも一般的とは言えない。また、区別をしようとすると書き手の負担が大きくなり過ぎる上、日本語と呼べる範囲を超える可能性もあるので、とりあえず字音に於いてはそのような区別をしないでおく。
エ段乙がア行の母音とイの融合によって生まれたのだとすれば、「エ段+イ」という字音に於けるエ段は、イ段の重複を避けるためにayよりeの方が良さそうに見える。

上代特殊仮名遣いにはまだよくわからない部分が多いので、参考となる情報を以下に書く。
・有坂・池上法則
・露出形と被覆形の関係
・活用型
・ノ甲はかつてヌとして扱われた

大野晋(1977)からの引用(オ段乙をö、エ段乙をë、イ段乙をïとして書かれているので注意):
(1) e・ë・ï・oという母音は、a・u・ö・iに比較して使用度数が極めて少ない。
(2) e―e、ë―ë、ï―ï、o―oという母音の複合によって語根を形成することが原則的にない。
(3) e・ë・ï・oは、語の末尾か途中に現れるものが極めて多い。
(4) その中にはia→e、ai→ë、öi→ï、ua→oという由来を持つと推定できるものが少なくない。
ウ段15.3%
オ段23.7%(内、オ段甲16.3%、オ段乙83.7%)
ア段28.9%
エ段9.1%(内、エ段甲44.6%、エ段乙55.4%)
イ段23.0%(内、イ段甲89.5%、イ段乙10.5%)
これをSegsyóxafuで書き直し、全8段を数の多い順に並べると、次の様に成る。
a(28.9%), i(21.0%), o(19.8%), u(15.3%), ay(5.0%), e(4.0%), aw(3.9%), uy(2.4%)

森博達(1991)からの引用:
・イ列一類のうち、少なくとも「イ」の母音は、乙類より甲類に近い。
・エ列一類のうち、少なくとも「テ」・「デ」・「ネ」・「レ」の母音および「ヱ」の主母音は、乙類より甲類に近い。
・オ列の甲乙二類の母音はともに中開母音であるが、二類は母音の奥舌対中舌の対立によって弁別される。
・オ列一類のうち「ホ」・「ボ」・「モ」・「ヲ」の母音は一般に甲類に近く、「オ」の母音は乙類に近い。

有坂秀世(1955)からの引用:
奈良朝時代に於て、同一の語が或は{u}を含む形を以て、或は{o}を含む形を以てあらわれる例は相当多い

私見:
・露出形がイ段乙で被覆形がオ段のものに「木」や「火」があるが、東国方言や一部の複合語に於いて被覆形がウ段になり得る。(方言を根拠とするのは危ういか)
・ミ乙の一拍語「身」にはモという読みが見当たらない。(未確定)
・有坂・池上法則に関して、二拍以上の語に於いてイ段乙がア段やウ段と共存している例が多い様に思われる。(未確定)
・uaからオ段甲になったと考えるにはそれを示唆し得る語が少な過ぎる様に感じられる。(「数える/集う」のみか)
・uaがオ段甲になったという説はク語法の起源を「連体形+aku」に求める説との整合が取れていない様に思われる。
・エ段に於いて乙類の数が甲類のそれに1.0%差で勝っているが、決定的な差とは言えない。『万葉集』以外ではどうなるのかが気になる。
・「音韻上の甲乙が合流した直後は乙類の音価に統一されたが、その後にかつての甲類と同じ音価になった」という場合は乙類として書く必要があるので、森博達(1991)の推定も重要ではあるが、それだけを理由にテ/デ/ネ/レ/ヱ/ホ/ボ/モ/ヲが甲類に合流したと断定することは出来ないと考える。(「オッカムの剃刀」に反するか)
・オ段甲とウ段の交替例は本当に多いのかが気になる。

没案:
オ段甲の綴りの候補としてow/wo/ø/ò/ùも考えられたが、次の理由から止めた。
ow/wo/ø/ò:
・オ乙とウ/ア/オ甲とは共存しがたい。(有坂・池上法則)
wo:
・オ段甲を合拗音とする説には問題がある。大野晋(1953), 森博達(1991)
・オ段合拗音との混同の危険性がある。
・オ段合拗音の存在を認めた場合、表記が衝突する。
ø/ò/ù:
・アクセント核に成った場合の文字と合わせて、文字の種類が二つ増える。
・入出力の負担が増すので、特殊なアルファベットの使用は控えたい。
ø/ò
・代用表記をoとした場合、オ段乙と区別できない。
ø:
・oとeとの合字と言われており、その一般的な音価がむしろオ段乙らしさを感じさせる。
ò/ù:
・アクセントと関係の無い要素に鈍アクセント記号を使いたくない。
ù:
・オ段甲はウ段ではない。
・これを入出力できない場合の表記に困る。

参考文献:
大野晋(1953) 『上代假名遣の研究 日本書紀の假名を中心として』 191-202 岩波書店
―――(1977) 「音韻の変遷(1)」 『岩波講座日本語 5 (音韻)』 185-188, 204 岩波書店
有坂秀世(1955) 『上代音韻攷』 159-160, 386 三省堂
森博達(1991) 『古代の音韻と日本書紀の成立』 94 大修館書店

アクセント

アクセント核のある拍には鋭アクセントを付ける。
ú/ó/á/é/í
úy/áy/áw
ǘ

(ǵ/ń/ḿ)

名[な]: Na
木[き]: Kúy
水[みづ・ミズ]: Midu
秋[あき]: Áki
花[はな]: Xaná
会社[くゎいしゃ・カイシャ]: Kwaisya
電気[でんき]: Dénki
お菓子[おくゎし・オカシ]: Okwási
男[をとこ・オトコ]: Votokáw
大学[だいがく]: Daigaku
文学[ぶんがく]: Búngaku
雪国[ゆきぐに]: Jukíguni
歳時記[さいじき]: Saizíki
弟[おとうと・オトート]: Otoftó
中国語[ちゅうごくご・チューゴクゴ]: Tyuggokugo
普及率[ふきふりつ・フキューリツ]: Xukífuritu
山登り[やまのぼり]: Jamanóbori
見物人[けんぶつにん]: Kenbutunin
けんもほろろ: kénmoxororo
お巡りさむ[おまはりさむ・オマワリサン]: Omáfarisam
金婚式[きむこんしき・キンコンシキ]: Kimkónsiki
国語辞典[こくごじてん]: Kokugozíten
十一月[じふいちぐゎつ・ジューイチガツ]: Zifuhitigwatú

以下の幾つかの例では読み仮名を省略した。

体言や半体言以外の語は、その直後に接語が無い限り、語末拍(促音ならその直前拍)にはアクセント核が無いとみなす。
接語があれば、アクセントに応じて記号を付ける。
ただし、語末拍が次のどれかである場合、その直前の拍にアクセント核が移動し易い。
・撥音
・引き音
・二重母音の後部拍
「半体言」や「接語」は「分かち書きと大文字」で定義する。
する: suru
する時[するとき]: suru tóki
するまで: suru máde
するとは: surú to fa
するしか: surú sika
するから: surúkara
するけど: surúkedo
「する」と言った: «surú» to itta
して: site
しては: sité fa
これに: Kore ni
これには: Kore ní fa
あの: ano
あの声: ano kóve
「あの」と言った: «anó» to itta
今日は[こむにちは・コンニチワ]: komnitifa
「今日は」と言った: «komnitifá» to itta
あっ: ah
「あっ」と言った: «áh» to itta
しない: sinai
「しない」と言った: «sinaí/sinái» to itta
cf.
月[つき]: Tukúy
好き[すき]: sukí
駄目[だめ]: damáy
12月1日[じふにぐゎつついたち・ジューニガツツイタチ]: Zifunigwatú Tuitatí/Zifunigwatutuitatí
102年[ひゃくにねん]: Xyakú Nínen/Xyakunínen

前にある語のアクセントの影響を受けて付属語などのアクセント核が弱化することがある。
弱化したアクセントの記号は省略可。
ここまで: Koko máde
どこまで: Dóko made

「日/上/内/下/人/所」が制限修飾されると語末の拍が核になる。
日[ひ]: Xi/xí
明くる日は: akuru xí fa
24時間である日は: Nízifu Jozíkan de áru Xi fa
人[ひと]: Xito/xitó
大きい人は: ofokíj xitó fa
哺乳類である人は: Xonyúurui de aru Xito fa

「時/(事)」が制限修飾されると頭高型になる。
時[とき]: Tokí/tóki
時の: Toki-no/tóki no
時は来た: Tokí fa kíta
する時は: suru tóki fa
事[こと]: Kotó/kóto
事の: Kotó no/Koto-no/kóto no
する事は: suru kotó/kóto fa

ただし、アクセントによって意味が変わる場合、制限修飾されていてもアクセントが変わらないことがある。
その「下」とこの「下」とでは意味が異なる。:
Sono ​​«sita» to kono «sita» tó de fa Ími ga koton’áru.
過去・現在・未来といふ三つの時:
Kwáko/Génzai/Mírai to ifu Mittú no tokí
彼の時は止まったままだ。:
Káre no tokí​ fa tomatta mamá da.
cf.
彼が三つの時:
Káre ga mittú no tóki
相手が彼の時は大人しい。
Afité ga Káre no tóki fa otonasíj.

上記以外では、アクセントの変化を伴って連続した形態素群を一語として扱う。(他にも必要な条件があるかも知れない)
ある程度: áru tegdo >arutégdo
いつの間に: Ítu no ma ni >itunomani
いつの間にか: Ítu no ma ní ka >itunomaní ka >itunomanika
この間: kono afida > Konohafidá

平板式の動詞が他の動詞連用形の直後に来ると起伏式に変わる。
始める: xazimayru
し始める: si-xazimáyru
終はる[をはる・オワル]: vofaru
し終はる: si-vofáru
忘れる: vasureru
し忘れる: si-vasuréru
負ける: makayru
し負ける: si-makáyru
比べる: kurabayru
し比べる: si-kurabáyru

平板式アクセントの連体詞が「人/子」を修飾するとアクセントが変化する。
あの人: ano+xitó >Anóxito
この人: kono+xitó >Konóxito
その人: sono+xitó >Sonóxito
あの子: ano+kaw >Anókaw
この子: kono+kaw >Konókaw
その子: sono+kaw >Sonókaw
cf.
どの人: dóno xitó
どの子: dóno kaw

助詞「の」が後続すると平板式になる語がある。
その場合は助詞とその直前の体言とを繋げるが、体言として機能は失われないので、ハイフンを挟むことを推奨する。
ただし引用文や作品名の末などでは平板化しないこともある。
花の: Xaná+no >Xana-no
男の: Votokáw+no >Votokaw-no
弟の: Otoftó+no >Ootofto-no
昨日の: Kinófu+no >Kinofu-no
『荒城の月』の: “Kwagzyag no tukúy” no
cf.
一の: Ití no
六の: Rokú no
次の: Tugí no
男の子: Votokáwnokaw

助詞「と」が助動詞「う/よう/まい」に後続すると、動詞が平板化することがある。その場合は助詞とその直前の動詞とを繋げる。
泣かうと[なかうと・ナコート]: nakáu+to >nakauto
着ようと: kijóu+to >kijouto
泣くまいと: nakumái+to >nakumaito

一つの語がアクセント核を二つ以上持たないように分かち書きをする。
書いてゐない >書いてない: káite vinai >káitenai, káite ’nái
書くべし: kákubaysi, káku báysi
書くべき: kákubayki, káku báyki
書くべからず: káku bayk’árazu
cf.
書いてある: káite aru
書いて無い: káite nái
書くべきだ: káku bayki/báyki da
非常任理事国: Xí Zyagnimrizíkoku

上記のアクセント核は下げ核だが、上げ核には鈍アクセントを付ける。

特殊な記号

下記の記号の重要性はアクセント核の記号のそれに劣る。

アルファベットに付けられた記号はそのアルファベットに派生要素を加える。
よって、何らかの要素複数個の区別が失われた場合、合流後の要素を表すアルファベットに記号を付けて合流前の要素を表すことはできない。
cf.
o/e/i
aw/ay/uy

そのままだと引き音として扱われてしまう綴りに対して引き音化を禁止する必要がある場合、その拍の母音字にトレマ(tréma仏)を付ける。
ただし、母音字の直前かアクセント核かでない限り、母音字の直後のü/ïはv/jに置き換える。uv/ijは長音にも非長音にも発音される。
アクセント核は引き音である可能性が低いので、音声転写などで必要が無い限り、アクセント核ではトレマを省略して良い。
同様にあまり役に立たないので、子音字の直後にあるö/ïのトレマも省略して良い。
トレマと同様に引き音化を禁止するhは、形式的(あるいは声門閉鎖的)な子音字が強く必要とされる場合に使われる。
一方トレマは、子音字が無い方が好ましい場合や、既にh以外の子音字がある場合に使われる。
参考: 五十音と拗音
買ふ[かふ・カウ]: kafu* >kafü
追ふ[おふ・オウ]: ofu* >ofü
思ふ[おもふ・オモウ]: omofu* >omófü
憂ふ[うれふ・ウレウ]: urefu* >uréfü
危ふい[あやふい・アヤウイ]: ajafüi/ajafúi
雄々しい[ををしい・オオシィ]: vovösíj
秋保[あきう]: Akifo* >Akif* >Akiv*
唯々諾々[ゐゐだくだく・イイダクダク]: vívïdakudaku(もしiviが長母音となる例が無ければ、vívidakudakuとして良い)
鱝[えひ・エイ]: Éfï(「姪/鰈」を「メー/カレー」と読むことが無い人にとっては、efiという綴りに於いて長母音の例が無いので、鱝をÉfiとして良い)
多う[おほう・オーウ]: ófoku >ófov
えい(掛声): éj
植う[うう・ウゥ]: uv*, uvru*
聶う[ひう]: xuyv*(もしuyuが長母音となる例が無ければ、xuyu*として良い)
良い[いい・イィ]: jeki* >jóki >jói >jei*/jee*/íj
大きい[おほきい・オーキィ]: ofokíj
悲しい[かなしい・カナシィ]: kanasíj
楽しい[たのしい・タノシィ]: tanawsíj
可愛い[かはいい・カワイィ]: kafajúi >kafaíj
愛ほしい[いとほしい・イトーシィ]: itofosíj
美味しい[おいしい・オイシィ]: ohisíj
アウ: av*
エウ: ev*
アウア: aüa*
オウオ: oüo*
エイエ: eïe*
cf.
買ふのは[かふのは・カウノワ]: kafú no fa
買ふので[かふので・カウノデ]: kafúnode
買ふから[かふから・カウカラ]: kafúkara
追ふのは[おふのは・オウノワ]: ofú no fa
追ふので[おふので・オウノデ]: ofúnode
追ふから[おふから・オウカラ]: ofúkara
言ふ[いふ・ユー]: ifu
言ふのは[いふのは・ユーノワ]: ifú no fa
言ふので[いふので・ユーノデ]: ifúnode
言ふから[いふから・ユーカラ]: ifúkara
姪[めひ・メー]: Mefi
鰈[かれひ・カレー]: Kárefi
食ふ[くふ・クゥ]: kúfu
報ふ[むくふ・ムクゥ]: mukúfu
いい加減[いいかげむ・イーカゲン]: iikagem
聞いて[きいて・キーテ]: kiite
姉さむ[ねえさむ・ネーサン]: Néesam
詩歌[しいか・シーカ]: Síika
ウオー: uoo*
ガオー: gaoo*
西洋[せいやう・セィヨー]: Séijag
所為[せゐ・セィ]: Sévi
十[とを・トー]: Tóvo
氷[こほり・コーリ]: Kofori
強ひて[しひて・シーテ]: sífite
甲[かふ・コー]: Káfu
候[さうらふ・ソーロー]: saurafu*
催す[もよほす・モヨース/モヨオス]: mojofósu
強ひる[しひる・シイル]: sifúyru
あああ・アーア: áaha
ウーウ: uuhu*
イーイ: iihi*

歴史的仮名遣いに於けるヲや転呼したホが例外的に直前のア段と共にオ段長音になっている場合、それぞれvŏ/fŏとする。母音oの弱化によるものとの考えから。
参考: 仮名遣提案
赤魚[あかを・アコー]: Akavŏ
青梅[あをめ・オーメ]: Ávŏmay
真岡[まをか・モーカ]: Mavŏka
赤穂[あかほ・アコー]: Ákafŏ
直衣[なほし・ノーシ]: Nafŏsi
直方[なほがた・ノーガタ]: Nafŏgata
cf.
青[あを・アオ]: Ávo
直す[なほす・ナオス]: nafósu
顔[かほ・カオ]: Kafo
申す[まうす・モース]: mavosu* >máusu
夫婦[めうと・ミョート]: Mevoto >Meuto
河骨[かうほね・コーホネ]: Kafxone

連声を起こすn/mはṅ/ṁとする。
直後の字はh/v/j/f(形式子音/半母音)に限られる。
この現象によって長子音が発生するのだから、連声前は長子音では無く、連声後は長子音で無ければならない。
参考: 仮名遣提案
観音[くゎんおむ・カンノン]: Kwaṅhom
因縁[いんえん・インネン]: Iṅhen
云々[うんうん・ウンヌン]: Uṅhun
銀杏[ぎんあん・ギンナン]: Giṅhán
反応[はんおう・ハンノー]: Xaṅhog
輪廻[りんゑ・リンネ]: Ríṅve
天皇[てんわう・テンノー]: Teṅvág
陰陽[おむやう・オンミョー]: Óṁjag
三位[さむゐ・サンミ]: Sáṁvi
「険悪: Kemhaku」から変化したと考えれば、「剣幕」はKéṁhakuとなる。

不規則な連声:
韻尾/m/を持っていたはずの字音が連声に於いてナ行を発生させることがある。撥音/m/が撥音/n/に合流したことによる。
この撥音は慣用音としてmからṅに変える。
参考: 仮名遣提案
感応[かんおう・カンノー]: Kaṅhog
三悪[さんあく・サンナク]: Sáṅhaku
三惑[さんわく・サンナク]: Sáṅvaku

上記以外の音声として鼻濁音や無声化母音などがある。一般的な仮名での表現が不可能である上、語の判別にほとんど関わらないと思われるが、とりあえず規則を定めておく。
基本的にはこれらの記号を省略し(文字はそのまま)、どうしても必要な場合にのみ使う。
どの様な記号を使うかはここでは定めないでおく。
(省略推奨)
・ガ行鼻濁音はgに記号を付けて表す。
・無声化した母音は母音字に記号を付けて表す。
・もし、濁点ありの濁音か濁点無しの濁音かによって連濁か否かを区別する仮名遣いが生まれ、それを基準にローマ字化することになった場合、連濁は清音の子音字に記号を付けて表す。

特殊なアルファベットを入出力できない場合は、他の記号か基本アルファベット26字を使って代用する。
この時、下記の規則に従う。
・語形変化や字源を表現するのに適した綴りを除いて、文字数に於いて元の綴りを超えてはならない。
・より入出力し易い他の記号で代用しても混乱が生じ難いならば、元の記号から役割がかけ離れていない限り、その記号を使う。(avŏ/afŏがこれに当たる)
・元の綴りが基本アルファベットに記号を付けたものであれば、その記号を外す。
・元の綴りが合字であれば、その合字の元になった複数の基本アルファベットで代用する。(これに当たる綴りはSegsyóxafuに無い)
・元の綴りと同じ役割を果たす綴りを基本アルファベットだけで作れる場合、そちらを基本的な綴りとして優先する。(g/z/d/b/x/f/w/y/q/c/v/j/afwがこれに当たる)
・異音としてしか現れない音価を表す綴りは基本アルファベットで代用してはならない。
・ローマ字全体で使用される文字の種類数を節約できる場合を除いて、特殊なアルファベットが表す対象に対立する対象の綴りを変えてはならない。(s直前での韻尾tをhとするのは可。「あう・オー」をav、「アウ」をauとするのは不可)
・文字の省略のみによる代用をしてはならない。(例えばsuの代用としてのsは禁止)
・出来る限り文字と拍数の関係を一定に保つ。(フにfvを当てるのは避ける)
・母音字位置や子音字位置には出来るだけw/yを置かない。(afwは例外であり、拗音かaw/ay/uyでのみが基本)
・何らかの対象性や統一性を損なわせる代用は避ける。(【u:i】/【v:j】/【w:y】/外来音の子音字/活用語尾の母音字など)
ú >u
ü >u
ŭ >u
ṅ >n
k/s/t/p(濁音) >g/z/d/b
p(清音かつ非パ行音) >x
p(ハ行転呼音) >f
ŭ+v >w(拗音字)
ku(促音) >q
afǘ >afú
afu(アオ音) >afw
avo/afo(オ段長音) >avŏ/afŏ
aü >av
eï >ej
cf.
g(鼻濁音) >g
u(無声) >u
r(側面音) >r
オ段甲 >aw
エ段乙 >ay
イ段乙 >uy
ヴ >vu

しかし、実際にこのローマ字が運用された場合は、恐らく各利用者の判断によって様々な代用表記をされることになると思われる。

「例外的な読み」とは:
数に於いて一方の読みAが他方Bに圧倒されていることが容易にわかる場合(Aの数が少数に限られており、増える見込みが無い場合など)は、Aを「例外的な読み」とする。
もし数の差が容易にはわからない場合(実際には圧倒的な差があったとしても、どちらも大量に例が存在する場合など)は、文字単独での読みとの差が大きい方を「例外的な読み」とする。

アポストロフィ

音素が脱落した場合、その音素があった場所にアポストロフィを置く。(連続した二音素が脱落しても、アポストロフィは一つ)
ただし、下記の規則に従う。

語中の場合:
複合語に於いて、ア行で始まる後部形態素の前で前部形態素末の母音が脱落することによって、拍内に形態素境界が出来ている場合は、その境界を示す為にアポストロフィを使う。
エリジオン(élision仏)に似る。
ただし、次の場合を除く。
・複合した後に、前部形態素が末尾の母音脱落以外の変形をした場合
・複合した後に、後部形態素が変形した場合
・前後どちらかの形態素の存在が明らかではない場合
・前部形態素末と後部形態素頭の母音が混ざって別の母音字になった場合
・前部形態素末と後部形態素頭の母音字が同じであった場合
アポストロフィの直後は必ず母音字となる。
以下、複合前の形態素は全て小文字で記号を省略して書く。
近江[あふみ・オーミ]: afa+umi >Áf’umi
遠江[とほたふみ・トートーミ]: tofotu+afa+umi >Tofot’áf’umi
中臣[なかとみ]: nakatu+omi >Nakat’omi
朝臣[あそむ・アソン]: asa+omi >Ás’omi >Ásom
我家[わぎへ・ワギエ]: vaga+ife >Vag’ife*
我妹[わぎも]: vaga+imaw >Vag’imaw*
河内[かふち・コーチ]: kafa+uti >Kaf’uti*
盥[たらひ・タライ]: te+arafi >T’arafi
鰹[かつを・カツオ]: kata+uvo >Kat’uvo
紅[くれなゐ・クレナイ]: kureno+avi >Kuren’avi
たり(断定): to+ari >t’ari*
なり(断定): ni+ari >n’ari*
掲げる[かかげる]: kaki+agayru >kak’agayru
向かふ[むかふ・ムカウ]: muki+afu >muk’afü
迎へる[むかへる・ムカエル]: muki+afayru >muk’afayru
答へる[こたへる・コタエル]: koto+afu >kot’afu* >kot’áfü
こなひだ・コナイダ: kono+afida >Kon’afidá
cf.
然り[しかり]: sika+ari >sikári
御座る[ござる]: goza+aru >gozáru
御座います[ございます]: gozaimásu
入る[はひる・ハイル]: xafi+iru >xáfiru
やら: ja+aramu >jaramu* >jára
みちのく: mitino+oku >Mitinóku/Mitinoku
仰る[おっしゃる]: ofose+aru >ossyáru
な: ni+aru >n’aru* >na
だ: de+aru >(deharu*) >(deha*) >dea* >da
ぢゃ・ジャ: de+aru >(deharu*) >(deha*) >dea* >dya
ぢゃ・ジャ: de+fa >dya
しちゃ: site+fa >sitya
ありゃ: are+fa >Arya
書いた[かいた]: kaite+ari >káita
せり: si+ari >seri*
来り[けり]: ki+ari >keri*
高けれ[たかけれ]: takakere*
曰く[いはく・イワク]: ífaku
言ひしく[いひしく・イーシク]: ifisiku*
やがる: -hagáru >-jagáru
真っ青[まっさを・マッサオ]: massávo
霧雨[きりさめ]: Kuyrisamay
紫陽花[あぢさゐ・アジサイ]: Adisavi

語頭/語末の場合:
語中の場合と違い、アポストロフィの使用を任意とする。
ただし、他の語と複合して語中になった場合は、上記の規則に従う。
有らむ[あらむ] >有らむ[あらむ・アラン]: aramu* >aram’*
やらぬ >やらん: jaranu* >jarán’
何で[なんで]: Nán’ de/Nánde/nánde(「Nán’ de」と「Nánde」との間には区別する程の違いは無い)
書いてゐない[かいてゐない・カイテイナイ]
>書いてない[かいてない]: káite vinai >káitenai, káite ’nái
わたし >あたし: Vatasi >Atasi/’Atasi
cf.
出来る[できる] >出来ん[できん]: dekíru >dekín
為む方[せむかた・センカタ]: Sémkata
無い[ない]: nái
書いてゐる[かいてゐる・カイテイル]
>書いてる[かいてる]: káite viru >káiteru

また、規則としては定めないが、「です」や「ます」などに於ける語末のスが無声化している場合は、s’と書かれる様に変化するかも知れない。
規則上は、スでない仮名でこの拍を表せる様に成るか、suの拍とsの拍とが音韻上で対立する様に成らなければ、sが単独で一拍となることは無い。
例: デㇲ

外来語と外来音

外来形態素では輸入元の綴りを出来るだけ維持する。輸入経路の解釈によっては綴りが変わり得る。元の言語がラテン文字表記でない場合は、元の文字のまま書くか、その言語のラテン文字化規則に従う。
分かち書きの仕方は原語に従うが、大文字の使い方は和語や漢語と同様に「分かち書きと大文字」に従う。
外来形態素が日本語に輸入された後に他の形態素と複合した場合は、綴り以外は「分かち書きと大文字」に従う。その外来形態素と他の形態素とはハイフンで繋ぐ。外来形態素同士の和製複合語でも同様。
外来語に漢字表記が存在する場合、その漢字の読みを使っても良い。
基本的に音声転写は読み仮名が必要な場合にのみするが、利用者の好みによってはこちらが優先されることもあると思われる。
外来形態素であることが綴りから読み取れないものや字音語は、日本語史を利用した綴りや音声転写を優先したほうが良いかも知れない。
ファイト:Fight(Xŭáito)
アウト: Out(Ávto)
タイム: Time(Táimu)
プール: Pool(Púuru)
ファイト: Fight(xŭáito)
グレィト: great(guréito)
ギリシャ: Graecia(Gírisya)
ランドセル: Ransel(Randóseru)
コンピューター: Computer(Kompyúutaa)
コーヒー: Koffie/Coffee(Kooxíi)
カフェオレ: Café au lait(Kaxŭeore >Kaxŭehore)
キャッチボール: Catch-ball(Kyattibóoru)
ラテン文字: Latin-mózi(Ratenmózi)
キリル文字: Kirill-mózi(Kirirumózi)
段ボール: Dan-board(Danbóoru)
プール内: Pool-nai(Puurúnai)
スプレー缶: Spray-can(kwan)(Supureekan)
スポーツっ子: Sports-kkaw(Supootukko)
英吉利: Inglez(Igirisu/Eggiri*)
亜米利加: America(Amerika/Amerika*)
ザメンホフ: Lazarus Ludwig Zamenhof
ルター: Martin Luther
メイク
若き日の…: Vákaki xí no martin luther
襖𨱽: Avozai/Aozai(音声転写)/Áo dài(原語)
鍋巴: Guvóba/Guóba(音声転写)/Guōbā(原語)
cf.
アウトー: Ávtoo
アウトッ: Ávtoh
タイムー: Táimuu
タイムッ: Táimuh
ファイトー: Xŭáitoo
ファイトッ: Xŭáitoh
グーレィトー: guuréitoo

外来形態素は、その簡略化を以って日本語に完全に組み込まれたものと考え、音声転写をする。
略語とみなすかただの日本語訛りとみなすかは任意とする。日本語訛りであれば、元の綴りを維持。
ただし、輸入元の言語に於いて既に簡略化してあるものを日本語に取り入れた場合や、原語に於ける形態素や音節を脱落させただけの場合は、元の綴りを維持する。
パトカー: Patrol-car >Patoroorú-car >Pató-car (Patókaa)
パソコン: Personal Computer >Paasonaru-computer >Paso-com(Pasokom)
プリクラ: Print-club >Purintokúrabu >Purikura
オケ: Orchestra >Ookésutora >Óke
アニメ: Animation >Animéesyon >Ánime
トイレ: Toilet >Tóiretto >Tóire
レス: Response >Résuponsu >Résu
cf.
ミスコン: Miss-contest >Miss-con(Misukon)
メイクアップ >メイク: Makeup >Make(Méiku)

外来形態素に活用語尾が付いた語に於いても、その外来形態素は日本語に完全に取り込まれたものとみなす。
エロい: erói
ディスる: dĕisúru
ファボる: xŭabóru

捨て仮名を使った外来音を翻字する場合は、捨て仮名の直前の仮名用の母音字にブレーヴェ(breve)を付ける。
捨て仮名直前の仮名は表音仮名遣いに現れるもののみとする。
捨て仮名が単独で一拍に読まれる場合にはブレーヴェを使わない。
以下、アクセント核の記号は省略する。
ク/クォ/クァ/クェ/クィ:
ku/kŭo/kŭa/kŭe/kŭi
ツ/ツォ/ツァ/ツェ/ツィ:
tu/tŭo/tŭa/tŭe/tŭi
フ/フォ/ファ/フェ/フィ:
xu/xŭo/xŭa/xŭe/xŭi
フュ/フョ/フャ:
xŭju/xŭjo/xŭja
テュ/テョ/テャ:
tĕju/tĕjo/tĕja
ツュ/ツョ/ツャ:
tŭju/tŭjo/tŭja
ウォ/ウェ/ウィ:
ŭo/ŭe/ŭi
ウュ/ウョ/ウャ:
ŭju/ŭjo/ŭja
イェ: ĭe
スィ: sŭi
トゥ: tŏu
ティ: tĕi
アウィ: aŭi
アンウィ: anhŭi
アオェ: aŏe
アォェ: ăŏe
アンオェ: anhŏe
cf.
ŭv=w, ĭj=y
クヮ: kwa
キャ: kya
オエ: oe
とっさ゚む・トッツァン: Tótsam
赤魚: Akavŏ
赤穂: Ákafŏ
ヲ/ワ/ヱ/ヰ:
vo/va/ve/vi
ユ/ヨ/ヤ/エ:
ju/jo/ja/je

ヴはvuとする。
英語やフランス語などでのvの音価や国際音声記号vから。
ワ行の子音とは音価が異なるので、「ワ行のウである」という誤認は起き難いと考える。
ヴ/ヴォ/ヴァ/ヴェ/ヴィ:
vu/vŭo/vŭa/vŭe/vŭi
ヴュ/ヴョ/ヴャ:
vŭju/vŭjo/vŭja
アッヴ: ahvu
アンヴ: anvu
アヴア: avua
オヴオ: ovuo
エヴエ: evue
cf.
泡: Avá
尾: Vó
絵: Vé
胃: Vi

捨て仮名ェがイ段の直後にある場合は、開拗音字を使う。ただし、イェはĭeとする。
yiを使うことは無い。
シュ/ショ/シャ/シェ:
syu/syo/sya/sye
チュ/チョ/チャ/チェ:
tyu/tyo/tya/tye
ヴィェ: vŭye

規則外の表記として下記の様な代用表記が発生すると予想されるが、規則性が乱れることや文字の音価が増えることから、これらの使用は避ける。
kŭ >qu/q
ク/クォ/クァ/クェ/クィ:
ku/quo/qua/que/qui(変則)
ku/qo/qa/qe/qi(変則)
cf.
ku/kŭo/kŭa/kŭe/kŭi(正則)
学校: Gaqkau

tŭ >cu/c
ツ/ツォ/ツァ/ツェ/ツィ:
tu/cuo/cua/cue/cui(変則)
tu/co/ca/ce/ci(変則)
cf.
tu/tŭo/tŭa/tŭe/tŭi(正則)
石灰: Séckwai

xŭ >fu
フ/フォ/ファ/フェ/フィ:
xu/fuo/fua/fue/fŭi(変則)
cf.
xu/xŭo/xŭa/xŭe/xŭi(正則)
危うい: ajafüi/ajafǘi

分かち書きと大文字

「語」を再定義する。(ここで使われる用語の用法は一般的なものとは異なるので注意)
・語同士はスペースで分離する。
・語でない形態素は辞と呼ぶ。辞は必ず他の形態素と続けて書く。
・語か辞かは、句読点や息の切れ目の直前に立てるかや、体言の直後に立てるかを基準に判定する。
・語は必ず句読点や息の切れ目の直前に立てる。
・複数語か一語かが問題になる形態素の組み合わせに於いて、その形態素境界に語を挿入できれば、その境界を挟む形態素はそれぞれが語である。ただし、挿入できないからといって語で無いと決まる訳ではない。

・一般的に「自立語」と呼ばれるものは全て語である。
・一般的に「付属語」と呼ばれるものの内、体言の直後に置けるものは語である。これを接語と呼ぶ。
・接語の内、活用するものやその敬語表現を連結詞と呼ぶ。それ以外を後置詞と呼ぶ。
・接語を除く「付属語」が用言の連体形(または同形の終止形)などの連体修飾語と接語との間に置かれている場合は(「置ける場合」ではない)、その文に於いてのみ語とする。この状態を形式名詞と呼ぶ。
・Segsyóxafu以外で一般的に「形式名詞」と呼ばれるものは、常に制限修飾されていることからこれを部分名詞と呼び、体言に含める。Segsyóxafuでの形式名詞とは異なり、直後に接語が無くても語である。
・二つの要素の繋がり方が結合でも癒合でもなく、その要素間に息の切れ目を挟める場合、出来るだけその前部要素と後部要素とのそれぞれを語として扱い、そうでなければ全体で一語とする。
・被覆形単独では語にならない。
・上記以外の形態素は辞である。体言にしか接続できない形態素や接頭辞など。
//改善の余地有り: 「自立語」や「付属語」の定義は?
語として認め得る二つの形態素であっても、その二つが並ぶことで新たな意味を担っている場合は一つの語である。
これを・コレオ: Kore vo
これは・コレワ: Kore fa
これすら: Kore súra
これでも: Kore dé mo/Kore démo(「でも」の意味によって書き分け)
これから: Kore kara
するから: surúkara
するのに: surúnoni
なのに: nánoni
これよ: Kore jo
するよ: surujo/surújo
するは・スルワ: surúfa
するはよ・スルワよ: surúfa jo
すべし: subáysi
するべし: surubáysi
するべき: surubáyki
するべきだ: suru báyki da
緒花ちゃむ[をはなちゃむ・オハナチャン]: Vóxanatyam
抹茶さま[まっちゃさま]: Mattyasama

ナリ活用や現代語の形容動詞の見出し語部分はそれだけで語である。これを形容名詞と呼ぶ。ただし、「大きな」などの「な(na)」を必ず伴うものではnaの直前にスペースを挟まない。
綺麗な[きれいな・キレィナ]: kírei na
静かな[しづかな・シズカナ]: síduka na
ふらふらな: xuraxura na
大きな[おほきな・オーキナ]: ófokina
小さな[ちひさな・チーサナ]: tífisana
をかしな・オカシナ: vokásina

タリ活用の形容動詞の見出し語部分は、現代語では独立性が弱いので、「と」と共に一つの副詞とみなし、to(t’)の直前にスペースを挟まない。ただし、「タリ」が体言に接続している場合はその体言も「タリ」もそれぞれが語である。また、見出し語部分の内、助詞「の」の直前に立てるものや、単独で修飾語に成れるものは語である。これを副名詞と呼ぶ。
悠然と[いうぜんと・ユーゼント]/悠然たる: iuzento/iuzent’áru
平然と[へいぜんと・ヘィゼント]/平然たる: xegzento/xegzent’áru
堂々と[だうだうと・ドードート]/たる/の: dgadag/dagdág to/t’áru/no
cf.
ゆっくりと: jukkúri to
ふらふらと: xúraxura to

「す/する」(またはその敬語)と共に述部となっている下記のものは語である。
後続すべき動詞が省略された場合も同様。これを動名詞と呼ぶ。
連用修飾語はこれに含まないが、そちらも語である。
・接頭辞「お」の付いた動詞連用形
・二字以上の漢語
・外来語
・「す/する」(またはその敬語)との間に「を」を挿入することで体言化できるもの
お送りする[おおくりする]: ohokuri suru
お休みなさい[おやすみなさい]: ojasumi nasái
感謝する[かむしゃする・カンシャスル]: kámsya suru
機能する[きのうする・キノースル]: kínog suru
御一緒する[ごいっしょする]: gohihsyo suru
ゲットする: get(gétto) suru
得する[とくする]: toku suru
値する[あたひする・アタイスル]: atafi suru
恋する[こひする・コイスル]: káwfuy suru/kawfuysúru
cf.
読みなさい[よみなさい]: jomi-nasái
愛する[あいする]: aisúru
罰する[ばっする]: bahsúru
感謝をする[かむしゃをする・カンシャオスル]: Kámsya vo suru
得をする[とくをする・トクオスル]: Toku vo suru
ゆっくりする: jukkúri suru
やらうとする・ヤロートスル: jaráu to suru/jarauto suru
//「する」の否定形が「しない」と成るものを条件に加えられるかも知れないが、保留。

形容名詞/副名詞/動名詞とを纏めて半体言と呼ぶ。半体言は副詞によって修飾される。体言は半体言を含まない。

動詞連用形に直接接続する補助動詞は辞である。ただし、動詞連用形に「て」がついたものやその音便形に接続する補助動詞は語とする。
し始める: si-xazimáyru
している: site viru

動詞が元となって出来た形態素が、活用することなく助詞の直後でその助詞の機能を補助している場合、助詞とその形態素とを繋げる。
にあって: ni-hátte
に於いて[において]: ni-hóite
に於ける[における]: ni-hokayru
にとって: ni-tótte
にあたって: ni-hatatte
について: ni-túite
につれて: ni-turete
にかけて: ni-kákayte
にして: ni-site
を以って[をもって・オモッテ]: vo-mótte
をして: vo-site
cf.
に因る[による]: ni joru
に至る[にいたる]: ni itáru
に基く[にもとづく・ニモトズク]: ni motodúku
に渡る[にわたる]: ni vataru
に加へる[にくはへる・ニクワエル]: ni kufafayru
に関する[にくゎんする・ニカンスル]: ni kwansúru
に対する[にたいする]: ni táisúru
に際する[にさいする]: ni saisúru
に即する[にそくする]: ni sokusúru
に応じる[におうじる・ニオージル]: ni ogziru
を通す[をとほす・オトース]: vo tófosu
を通じる[をつうじる・オツージル]: vo tugziru
とする: to suru

時間に関する体言に助詞「に」が接続すると副詞のような機能をするが、その体言と「に」はそれぞれを語とする。

「自立語」と呼ばれるものに於いてはアクセントの変化を以って複合の証拠とし、一つのアクセント核を共有する形態素群はスペースで区切らない。

同じ語源を持つ形態素同士であっても、その用法に違いがあれば、各用法ごとにこの規則を適用する。

文頭は常に大文字にする。
体言もドイツ語に倣いその頭を大文字にする。体言と非体言の複合語は、体言としての役割を維持していると見なせる限り、その頭を大文字にする。
ただし、次の(1)や(2)は文頭以外では小文字で書く。
(1)前の語句に制限修飾(数量を表す語句を含む)されているもの
(2)名詞性が弱いもの(形容詞ではなく副詞によって修飾されるもの、主語や目的語にならないもの)
(2)の例:
・連結詞以外の用言と共に述語となっているもの(その用言が省略された場合も含む)
・形容名詞
・副名詞
・動名詞
・副詞

下記の例文は現代仮名遣いで書く。
公園まで歩き、そこで走ります。:
Kogven máde arúki, Soko de xasirimásu.
彼は頭の上に林檎を乗せています。:
Káre fa Atama-no ufáy ni Rimgo vo nosete vimásu.
俺はありゃ嘘だと思うぜ。:
Ore fa Arya Úso da to omófüze.
ついに犯人を逮捕。:
Túfini Xámnin vo táixo.
人間は考える葦である。:
Ningen fa kamgáfayru ási de áru.
彼は人間です。:
Káre fa Ningen désu.
日本史を中心に(据えて/して)勉強する。:
Nixonsi vo Tyugsim ni (suvete/site) benkyag suru.
明日は三時に秋葉原でカキ氷を食べたいぞい:
Asitá fa Sámzi ni Akixábara de Kakigófori vo tabaytáizoi
彼は常に殺気立っている。:
Káre fa túneni satkidátte viru.
まだ蟹を食べに行きはしない。:
Máda Kani vo tábay ni jukí fa sinai.
それはまだしないでおきましょっ。:
Sore fa máda sinái de okimasyoh.
良い子は夜更かしせずに早く寝ましょう。:
Jói kaw fa jawxúkasi sézu ni xájaku nemaséu.
お金がありさえすれば。:
Okane ga ári safay suréba.
また明日お会いになるんですの?:
Mata asita ohafi ni náru n desuno?
そこに何で行くの?:
Soko ni Nánde(体言+de)/nánde(副詞) ikú no?
もう少しで完成するぜ。:
Mousukáwsi de kwanseg suruze.
東欧を覆う鳳凰を追おう。:
Toghou vo ofofü xogvág vo ofáu.
あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~:
Aa^~ Kokoró ga pyón-pyon suru n dyaa^~

引用符に挟まれた文は制限修飾されない限りその文頭を大文字にする。

体言に於ける複合語は、意味の切れ目で区切って読ませたいなら、そこにスペースを挟む。この場合、スペースの前後それぞれを単独で体言とみなし、各語頭を大文字にする。
区切らずに読ませたい場合は繋げて書く。
スペースで分割された複合語が上記(1)(2)の条件を満たす場合は、各語頭を小文字で書く。
ただし、体言が直前の体言の影響によって小文字化することは無い。
秋晴れ[あきばれ]: Akibare
携帯電話[くゑいたいでんわ・ケィタイデンワ]: Kweitaidénva
渡邉隆之[わたなべたかゆき]: Vatanabe Takájuki
去年の渡邉隆之: Kyónen no vatanabe takájuki
藤原定家[ふじはらのていか・フジワラノティカ]: Xudifara no Tégka(筆者のアクセント)
少年時代の藤原定家: Seunenzídai no xudifara no tégka
二千一年[ニセンイチネン]: Nisén Itínen
12月1日[じふにぐゎつついたち・ジューニガツツイタチ]: Zifunigwatú Tuitatí/Zifunigwatutuitatí
29149回[にまんきうせんひゃくよんじふきうくゎい・ニマンキューセンヒャクヨンジューキューカイ]: Nimán Kiusén Xyakujónzifu Kiukwái
足利尊氏[あしかがたかうぢ・アシカガタカウジ]: Asikága Takáhudi(Asikagatakáhudi)
徳川家康[とくがはいへやす・トクガワイエヤス]: Tokúgafa Ifejasu(Tokugafahiféjasu)
豊臣秀吉[とよとみひでよし]: Tojot’omi Xidejosi(Tojot’omixidéjosi)
短髪癖っ毛[たんぱつくせっけ]: Tanpatu Kusekkay/Tanpatukúsekkay
長髪直毛[ちゃうはつちょくもう・チョーハツチョクモー]: Tyagxatu Tyokumou/Tyagxatutyókumou

次の3通りの分かち書きの仕方があるが、この内2と3の違いのみを以って文意を区別することはせず、基本的にはハイフンの使用を任意とし、ハイフンは読み易さや語構成明示の為の補助記号とする。
1)スペースでの分離
2)ハイフンでの分離
3)スペースもハイフンもなし
ただし、拍内や形態素内にハイフンを挿入してはいけない。
また、日本語史を利用した通常の綴り/音声転写/外来形態素(他の方言も含む)/数字の四種はそれぞれ綴りの規則が異なるので、語中での規則の変わり目には必ずハイフンを挟む。
ハイフンを挿入可能か否かによってなら、文意が区別され得る。

句点は終止符、読点にはコンマを対応させる。
ポルトガル語に倣い、単鉤括弧を「« »」に、二重鉤括弧を「“ ”」に対応させる。ポルトガル語は特に日本語への影響が大きく、最初のローマ字はポルトガル語式であったことから。イタリア語/スペイン語/ギリシャ語でもこの引用符が使われている。

ここに書いた規則にはまだ問題が残っているように感じる。今後改善したい。
もし書き方に迷ったら、とりあえずは各個人の感覚に従って欲しい。
その上で、下記の基準も利用して貰いたい。
・語か辞かが曖昧な場合は語として解釈
・体言か否かが曖昧な場合は体言として解釈
・非制限修飾か制限修飾かが曖昧な場合は非制限修飾として解釈