戦後70年談話:14日閣議決定 首相、公明に内容説明
16時間前
◇山口代表、過去の談話の趣旨尊重へ配慮を求める
安倍晋三首相は7日の自民党役員会で、戦後70年談話を14日の臨時閣議で閣議決定する意向を表明した。閣議決定に必要な公明党の理解が得られると判断した。首相は7日夜、公明党の山口那津男代表らと東京都内のホテルで会談し、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継ぐとする談話の内容を説明。山口氏は過去の談話の趣旨を尊重するよう配慮を求めた。【田中成之、横田愛】
会談には菅義偉官房長官と谷垣禎一自民党幹事長、井上義久公明党幹事長も同席した。山口氏は会談で過去の首相談話に盛り込まれた「心からのおわび」「植民地支配と侵略」といった語句について「全く同じ文言でなくとも、趣旨が(中韓両国などの)相手に伝わるように配慮してほしい」と首相に求めた。出席者の一人は「首相と山口氏に大きな違いはない」と説明した。公明党はこれに先立ち7日午前に党本部で開いた常任役員会で、70年談話への対応を山口氏に一任した。
閣議決定には全閣僚のサインが必要だ。太田昭宏国土交通相を出している公明党の同意が不可欠となる。首相は、公明党の理解が得られる内容の談話とすることで、閣議で決定し、政府の公式な歴史認識として談話を位置付ける。今後、中国、韓国との関係なども踏まえ、文言を決定する。
首相は党役員会で「終戦70年の節目を迎えるに当たり、14日に談話を閣議決定して発表したい。先の大戦を踏まえ、戦後の歩みと21世紀の展望を静かに振り返り、英知を結集した未来に向けた談話にしたい」と説明した。
首相は閣議決定を経ずに談話を発表することも一時検討した。公明党などとの調整を最低限にして、自身の歴史認識を反映させやすくするためだ。しかし、過去の談話の表現を最大限尊重するよう求める公明党が、閣議決定を求める姿勢を強く示した。山口氏は6日の記者会見で「国民からも国際社会からも重みのあるものと受け止められる責任ある談話を」と述べていた。
公明党内では、満州事変以降の戦争を「侵略」とした首相の私的諮問機関「21世紀構想懇談会」の報告書について、「その通りだ」(漆原良夫中央幹事会会長)と評価する声が大勢だ。首相周辺は「報告書を背景に、バランスの取れた談話が作れる」と述べ、公明党も受け入れられる談話になるとの見通しを示した。
中韓両国には、70年談話の閣議決定で村山富市首相談話が打ち消されることを警戒する声もある。村山談話と、小泉純一郎首相談話はいずれも8月15日の閣議決定を経て公表された。
首相は7日の衆院予算委員会の集中審議で、70年談話について「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ。戦後70年談話はそれを前提として作成する」と述べた。