TOP > CG MAKING > デスノート(テレビドラマ) > PAGE01 テレビドラマで助演できるCGキャラクターを生んだCGパワーハウス

デスノート(テレビドラマ)DEATH NOTE

連続テレビドラマ「デスノート」でCG制作に取り組んだ経緯を、CG制作本部長・豊嶋勇作氏とプロデューサーの鈴木伸広氏に聞いた。

未知の領域・テレビドラマへの挑戦

番組でのCG制作の話があったのは4月でした。日テレさんのドラマのチームと映画のチームの方々が来られて、映画での経験値を生かしてテレビドラマでも一緒にやりませんか、と相談を受けたのが始まりです。当初、監督からは「1話で50カットは欲しい」と言われて。ドラマでのCG制作は経験していますが、連続ドラマで毎回登場してくるフルCGキャラクターであるゆえ、作業のボリュームから検討しても7月期のクールには到底間に合わないのでは、と当時は思いました。映画の撮影のペースとテレビの撮影のペースの差異も分からなかったし。1時間番組で何カット分が手がけられるのか、どのくらいの処理をしなければならないのか。そういった意味でテレビ番組での経験値を持っているといっても、今回は“未知の領域”でした。

映画前編75カット vs テレビ第1話90カット 制約された時間の中、想定外のカット数を仕上げるための英断とは

ふたを開けてみると、1話に対して我々側の作業時間って1週間程度しか与えられていなかった。流れを簡単に説明しますと、オフラインが上がってきて、その映像を見ながら死神達の動きをモーションキャプチャスタジオで取り込む作業をします。そのあとでアニメーターがアニメーションを直しながらCGキャラクターを当てはめていく。そして実写映像との合成です。オフラインが上がってきたあと、DFが納品するまでが1週間。このスケジュール感だと、いくら映画のアセットデータを再利用できたとしても通常のワークフローでは、不可能に近いと思いました。

短期間納品、膨大なカット数に限られたリソースと予算。これら高いハードルを乗り越えるための対策が検討された。作業工程数と時間を削減できる策として、リアルタイムレンダリングを組み込んでみてはどうかという提案が浮上した。そこで、いくつか候補に挙がったツールが検証されることになった。

ゲームのリアルタイムエンジン『Unreal Engine 4 (アンリアルエンジン4)※1』(以下、アンリアル)を使ってみようということになって。ゲームエンジンを使ってレンダリングを高速化することで、テレビ番組制作のスピードに間に合わせましょう、という異例の選択です。

ゲームエンジンで作られたCGがテレビドラマの中に普通の絵として合成されているというのは、世界的規模でみても前例がないといっても過言でない。

映画のワンカットシーンを使って、アンリアルに落とし込んだらどうなるだろうと、テスト映像を作ってみました。懸念していたよりも簡単に、しかもクオリティも申し分なく出来上がった。それで(アンリアルの採用を)決めました。後には引き返すことのできない時期にまで来ていたこともあり、果敢な選択です。

結局、初回(1話)は90カットほどに膨れ上がりました。映画の時は前編で(死神リュークだけで)70カット程度だったので、1話だけで映画のカット数を超えてしまった (苦笑)。

ちなみに2話では既に2体の死神が登場してきて被り出すし。今回リュークは助演的存在で登場シーンが多く、主演の役者との掛け合いが見せ場となります。ストーリーとして成り立たたせるためにも、カット数は必然的に増えていくことになりますよね。現在の進行から想定すれば、最終話までに400カット数を超えるのではないかと。

映画から10年くらい経て、ようやくこのようなテレビドラマの中にも助演レベルでCGキャラクターを入れられるという時機、それを形にするためのソリューションとして、アンリアルであれば映像での使用の場合、ロイヤリティフリーということで。物量からみても、CGを諦めて着ぐるみ・特殊メイクを選ぶか、CGで通すならリアルタイムエンジンを導入するしか道はなかったと、今となっては思いますね。

※1 米エピックゲームズが開発したゲームエンジン(統合開発環境プラットフォーム)

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