子どもに夢与え続け 「くまごろうさん」200人悼む [福岡県]
「くまごろうさん」の愛称で親しまれ、軽ワゴン車で寝泊まりしながら口演童話の語り聞かせ活動を続けた児童文化車「くまごろう号」主宰の本村義雄さん=享年(85)。葬儀・告別式があった6日、関係者からその死を悼む声が多く聞かれた。
妻淑子(よしこ)さんによると、本村さんは、約10年前に脳梗塞を患い、リハビリに励みながら、語り聞かせの活動を続けていた。7月末にかねて透析治療を受けていた八幡西区内の病院に入院。亡くなる前日の3日は、孫と写真を撮るなど元気だったが、その後容体が急変。4日未明、家族に見守られながら眠るように亡くなったという。
葬儀・告別式は、八幡西区内の斎場で営まれ、200人が参列。会場には、本村さんの活動を記した本や活動に使ったぬいぐるみなどが展示された。本村さんの生前のビデオが映し出されると参列者が涙をぬぐう光景が見られた。
保育園での語り聞かせ活動などを通じて親交があったという市立第2緑地保育センター「もりのいえ」(小倉南区)の衛藤京子所長(59)は「くまごろう先生の身ぶり手ぶりを見た子どもたちは、ひっくり返って大笑いしていた。誰にもまねできない話術で、聞く人を引きつけていた」としのんだ。
済世第一幼稚園(八幡東区)の真田宏昭園長(71)は約30年前、同園の園歌の作詞を本村さんに依頼した。「訃報に口演童話の旅を通じて知り合った全国の人たちが悲しむだろう。ご本人は(日本一周を)やり遂げたことに満足されていると思う」と、本村さんの活動に賛辞を贈った。
北橋健治・北九州市長も「児童文学の口演活動を通じて、北九州市の文化の向上や青少年の育成に大きく貢献していただいた“くまごろう先生”のご冥福を心からお祈りします」とコメントを出した。
「子どもたちに口演童話を通して夢を持ってほしい」という思いを青年時代に抱き、晩年に淑子さんと二人三脚で実現した。淑子さんは「『ありがとう』が口癖だった。私たちの活動を支えてくれた人たちに感謝したい」と語った。
本村さんは恩師で「日本のアンデルセン」と称された大分県出身の児童文学者、故久留島武彦氏の教え「継続は力なり」が人生訓だった。亡くなる直前まで“お話”を通して子どもたちに夢を与え、師の教えを貫いた人生だった。
=2015/08/07付 西日本新聞朝刊=