つくり手が意識を変えれば、賞は獲れる——電通 澤本嘉光さん

2015年08月07日 掲載ブレーン 編集部

——澤本さんが、毎年カンヌに参加されているのはなぜですか?

電通 澤本嘉光さん

答えはいたってシンプルです。現在は、企業もクライアントもグローバル化が進んでいて、電通もその例外ではなく、世界的に評価されなければならないという流れになってきています。そのなかで、カンヌは世界基準を確かめるためのショウケースとして見ておくべきものがたくさんあります。

あと、実は“落ちた作品”を結構見ているんですよ。なぜなら、落ちたものを見ると、だいたいこのくらいのレベルで出品してるんだ、というのがわかるから。世界の人たちがどういう肌感覚でやっているのかは、ダメな作品を見ないとわからない。だから上位に入賞した良いものを見に来ているのと、ダメなものを見に来ているのと、半々ですね。

——それで言うと、今年のフィルム部門はいかがでしたか。

ショートリストも含めて見た感想としては、日本のCMがアイデアのレベルで劣っているということはない。今年は、テレビCMカテゴリで日本の作品の受賞はありませんでしたが、それはアイデアの問題ではなく、言語と秒数の問題が一番大きい。テレビCMカテゴリを全て見た感想としては、フィルムの専門家が少なくなっているのか、ちょっと良い作品だとすごく目立ちます。

今年新しくできたオンライン動画のカテゴリについては、賞の獲りやすさはこちらのほうが上だと思いました。まず、秒数制限がない。さらに、アイデア重視で、お金をかけなくても制作できる。今回、日本からシルバーを受賞したNTTドコモの「3秒クッキング 爆速エビフライ」は言ってみれば、テレビのバラエティ番組の作り方そのものですよね。要するに、オンライン動画カテゴリは「制限のないなかで面白いか、面白くないかを競う部門」になっている。だから、こちらのカテゴリで受賞を狙うのであれば、広告の考え方に縛られずにアイデアを出したほうがよいと思います。

≫次ページ 「日本のテレビ番組のアイデアが広告に生かせる」へ続く

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