■交流が途絶え田植えの方式にも変化
北朝鮮が交流を断ち切り、南北の経済協力も途絶えたことで、農村での田植えの方式も変わった。北朝鮮ではかつて「主体農法」の名の下、稲やトウモロコシだけを密植して栽培していた。田畑に化学肥料をまき、作物を隙間なくぎっしりと植えるという方式だ。これにより地力が衰え、1990年代以降に慢性的な食糧不足に苦しむ一因となった。2000年代初め、南北の交流が活性化する中、北朝鮮は韓国の団体からコンバインなどの農業機械を供給され、田植えの方法を学び、近代的な農法へと転換した。これによってコメを年間40万トン増産でき、またトウモロコシだけを植えていた畑には、ウイルスに汚染していないジャガイモの種芋を植えるなど、作物も多様化した。
ところが、南北の交流が中断すると、密植栽培が復活した。種芋を入手できなくなったジャガイモ畑はまたトウモロコシ畑に戻った。その結果、2010年の北朝鮮の穀物生産量は411万トンと、前年に比べ20万トンも減少した。対北支援団体の関係者は「北朝鮮の政権は交流が途絶えた後『これまでは韓国への依存度があまりにも高かった』として、逆に内部の統制を強化している状況だ」と語った。
■「市場の改善、開放政策で活路を見出すべき」
北朝鮮は改革・開放政策を実施し、経済特区の開発を行うと宣言したが、その対象は中国などに限られている。しかも、体制の動揺を恐れる余り、全面的な開放には至っていない。このため、20カ所ある経済特区のうち、現在まともに稼働しているのは開城工業団地しかない。専門家たちは、金正恩第1書記が改革・開放政策をどれだけ積極的かつ柔軟に進めていくかがカギだと指摘する。ソウル大学のキム・ビョンヨン教授は「北朝鮮が行政力や社会統制力を市場経済への転換に使っていけば、市場経済化が急速に進展し得る」と指摘した。また、統一研究院のパク・ヒョンジュン研究本部長は「北朝鮮にとって最も重要な経済改革は、周辺国との緊張緩和だ。そうすることで、外部から資本や技術を導入できる」と語った。