東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

安保法案 核兵器輸送は除外 首相、明記は拒否

写真

 安倍晋三首相は七日の衆院予算委員会で、広島市の平和記念式典で非核三原則に言及しなかったことについて「三原則は当然の前提として、核兵器のない世界の実現に向け国際社会の取り組みを主導していく決意を表明した」と釈明した。九日の長崎市の式典では、非核三原則の堅持に言及する考えを示した。 =詳報<6>面

 首相は広島市の被爆者七団体との面会では言及したことに触れ「非核三原則は当然のことであり、その考え方に全く揺るぎはない」と述べた。

 安全保障関連法案をめぐり、核兵器の輸送も法文上は排除しないとの中谷元・防衛相の答弁に関しては、首相は「純粋法理論上の机上の空論に対して答えたにすぎない。核弾頭の運搬はまったくあり得ない」と強調した。核兵器輸送の除外を法案に明記すべきだとする野党の要求は拒否した。

 自民党の武藤貴也衆院議員が安保法案に反対する学生らのデモを「『戦争に行きたくない』という極端な利己的考え」と批判したことについては「戦争は違法だ。違法なものに参加しなければならないという前提そのものが間違っている」と述べた。

非核三原則触れずなぜ問題?

「国是」変更の疑念招く

 安倍首相が広島平和記念式典で、非核三原則に言及しなかったことが批判されている。首相は被爆者七団体との面会では三原則の堅持を表明したのに、式典の場で言わなかったことがなぜ問題になるのか。核兵器に関する日本の立場や政策はどうなっているのか。 (中根政人)

 Q 非核三原則とは何?

 A 核兵器を「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」とする日本政府の基本政策だ。一九六七年に当時の佐藤栄作首相が最初に表明した。衆参両院が決議を重ね、三原則は「国是」に位置付けられた。法律ではないので、法的拘束力はない。

 Q 核兵器を持つのは憲法の平和主義に反する。

 A 政府は長年、自衛のための必要最小限度の実力を超えない範囲なら、核兵器の保有は憲法上は禁じられていないと説明してきた。安倍政権も同じ立場を取っている。

 Q じゃあ、日本は核兵器を持てるのか。

 A 法律と条約で禁じられている。原子力基本法は原子力の研究や利用を平和目的に限っている。日本は核拡散防止条約(NPT)にも加盟し、核兵器の製造や保有はしない義務がある。核兵器を持つために法律を変え、NPTを脱退すれば、北朝鮮のように国際社会で孤立することになる。

 Q そんなことはできないね。では、式典で三原則に触れなかった首相がなぜ批判されるの。

 A 首相は、集団的自衛権は行使できないという長年の憲法解釈を変えた。日本の姿勢を内外に示す式典で非核三原則を素通りすれば、「ひょっとして三原則まで変えるつもりか」と疑念を招くのは当然だ。

 日本は核兵器の材料になるプルトニウムを大量に持っているし、兵器に転用する技術力もある。その上、自民党には核武装を主張する議員もいるからね。

 

この記事を印刷する

PR情報