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【サッカー】

ハリル日本 連覇消滅 韓国とドロー 蛍の1発が救い

2015年8月6日 紙面から

日本−韓国 前半、同点ゴールを決める山口蛍=武漢で(共同)

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◇東アジア・カップ男子 日本1−1韓国

 【武漢(中国)宮崎厚志】サッカーの東アジア・カップ第4日は5日、中国の武漢で男子の第2戦が行われ、韓国と1−1で引き分けた日本は、2連覇が消滅した。日本はPKで先制を許したが、前半39分にC大阪MF山口蛍(24)のゴールで追い付いた。その後は韓国の猛攻にさらされ、引き分けに持ち込むのがやっとだった。日本は9日の最終戦で中国に勝っても勝ち点4。同日に同4の韓国と初戦で勝ち点3を得た北朝鮮が対戦し、どちらかが勝ち点5以上となる。中国は2−0で北朝鮮を下し、ともに1勝1敗。

 連覇がついえるホイッスルが響くと、ハリルホジッチ監督はすぐに立ち上がり、ベンチの全員と握手を交わした。座り込んで3分間も固まった北朝鮮戦とは全く違う。まるでこの結果を予期していたかのように、情熱家の指揮官がまるで悔しさを見せなかった。

 会見場には生気のない顔で現れた。「この大会で一番強い相手に引き分けに持ち込んだ。少し満足するべきじゃないか。選手を評価してあげたい」。引き分けて優勝を逃したにもかかわらず「満足」と言った。そこには「負けると病気になる」と胸を張るほどの負けず嫌いの姿はなかった。

 過去5試合、口を酸っぱくして縦に速いサッカーを浸透させてきた。前から積極的にプレスをかけ、最短距離でゴールに迫るハリル・スタイル。しかし2日の北朝鮮戦では酷暑の中で選手の消耗が激しく、相手のパワープレーに敗れ去った。このメンバー、この準備期間では、目指すサッカーはできない。そう悟った指揮官は妥協した。守備陣には「状況によってはラインを下げてもいい」と話し、ボランチには「全部縦ではなく、横にも散らせ」と指示した。

 結果、圧倒された。バックパスを交えた遅い攻撃の組み立ては韓国のプレスに引っ掛かり、一方的に攻め込まれた。前半26分にはDF森重がハンドを犯してPKを献上。同39分にMF山口のミドルで追いついたが、攻撃は最後まで機能不全だった。シュート数は6本。就任後5戦中3戦で20本以上のシュートを放ってきたハリルジャパンが、専守防衛の弱者のサッカーに成り下がった。

 会見の最後、遅攻について問われた指揮官は、あきれたようにせせら笑った。「われわれはリアリストになった。前に行くなとは全く要求していないが、背後にボールを供給するほどクオリティーもそろっていない状況だった」。自らの指示を徹底させても、選手の判断に委ねても、結果につながらなかった2試合。この苦い経験の着地点を、日本代表はどこに見いだすのだろうか。

 

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