韓国海洋水産部(省に相当)は4日、昨年沈没したセウォル号の引き揚げに向け、中国国営企業の上海サルベージと韓国の水中工事専門業者、オーシャンC&Iのコンソーシアムと契約を結んだ。契約額は851億ウォン(約90億6000万円)で、引き揚げ作業は来年7月にかけ行われる。先月15日に上海サルベージを優先交渉対象者に選定してから20日で交渉が妥結した。上海サルベージは中国で沈没した遊覧船「東方之星」を長江から引き揚げた実績を持つ。
引き揚げ費用は上海サルベージが入札で提示した851億ウォンのまま据え置かれた。代金は残存燃料の除去・流出防止作業後、船体引き揚げ・接岸後、船体の陸揚げ後に分割して支払われる。潜水作業員が負傷するなど事故が起きた場合には、上海サルベージ側が損害を補償する。
上海サルベージは正式名称が中国交通運輸省上海サルベージ局で、洪沖局長は海洋水産部との共同会見で、「最も重点を置くのは行方不明者9人の収容だ。あらゆる力と設備、人員を投入し、全力で作業に臨みたい」と述べた。
上海サルベージは行方不明者が流出することを防ぐため、船体の全ての窓や出入り口を閉鎖し、大型のネットで船体の前面、後面、船体の海底側(左舷)を包み込む。また、底引き網船舶を使い、海水が流れる先の方向に屏風を作るように網を設置し、行方不明者が流出する可能性を最小化する。
上海サルベージはセウォル号引き揚げに先立ち、潜水士や遠隔操縦の無人潜水艇を使い、精密な船体調査を行い、その結果を踏まえ、詳細な引き揚げ計画を立てると説明した。珍島の彭木港周辺には陸上基地、沈没地点には海上基地が設けられ、潜水作業員約100人、技術人員約100人の計約200人が投入される予定だ。