これら一連の問題に対し、その根本原因である創業者の辛格浩氏に何らかの解決策を期待するのは的外れだ。また長男と次男の双方とも今回のゴタゴタで大きなダメージを受けた。そのため今や誰がトップに座るかに関係なく、ロッテのイメージを短期間で改善するのは難しいだろう。結局は雇われ経営者たちが先頭に立って従業員の不安を沈め、顧客の信頼を再び取り戻す以外に今後進むべき道はない。またロッテは循環出資の連鎖を果敢に整理しなければならない。正体不明となっている日本のわずかな非上場企業が、韓国の子会社全体を支配するという不透明な仕組みを見直す計画も早急に提示すべきだろう。
これらの作業を進める過程で、もしオーナー家族が障害になるのであれば、それが誰であれその影響力を排除できなければならない。先進国の企業ではたとえ創業者であったとしても、その能力や行動に問題があると見なされれば、社外取締役や専門の経営者によって企業から排除されるケースは決して少なくない。例えばアップルを創業した故スティーブ・ジョブス氏は、後に復帰はしたものの一時アップルから追放されたことがあるし、また日本でも2007年、大王製紙の取締役会がオーナー家族全員を経営の一線から追放する措置を下したことが大きく報じられた。このようにいわゆる雇われ社長や取締役が経営権を掌握するケースはいくらでも前例があるのだ。
ロッテも国民から本当に愛される企業として生まれ変わるには、まずは何らかの画期的な変化をもたらすことが必要だ。それには経営者たちが、会長一人だけの指示を仰ぎそれを待つだけではなく、数千万人の顧客や株主、そして国内外の社員たちのことを考えながら、ロッテが本当に生き残る道を模索していかねばならない。