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(朝鮮日報日本語版) 広島平和記念式典、安倍首相の式辞に「戦争やめろ!」

朝鮮日報日本語版 8月7日(金)9時6分配信

 「あなたがそんな話をする資格はない!」

 広島市への原子爆弾投下から70年を迎えた6日、同市の平和記念公園で行われた「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式(平和記念式典)」で、安倍晋三首相が式辞を述べ始めるや、一般人の招待者席の後ろ側から怒鳴り声が響き渡った。安倍首相がそれを気にも留めず原稿を読んでいると、、今度はある男性が「戦争やめろ!」と叫んだ。参列していた世界約100カ国の外交使節が一斉に振り向き、叫び声が聞こえた方向を見た。すぐさま、警備員たちが叫び声が聞こえた場所へと駆け付けた。安倍首相が2分程度の短い演説をしている間に、このようなハプニングが起こった。

 式典会場の前方の席でこの光景を目の当たりにした、韓国政府代表のソ・ジャンウン元駐広島総領事(50)はこの日、本紙の電話取材に対し「平和記念式典は毎年広島で行われるきわめて敬虔な儀式だが、今回のような状況は本当に異例だった。原爆投下の痛みを経験した広島では(安倍政権が推進する)安全保障関連法案に大部分の市民が反対していることに加え、きのう(5日)には中谷元・防衛相が参議院の特別委員会で「安保法案が成立すれば、理論的には核兵器を日本に持ち込めるようになる」と発言したため、安倍首相に対する反感が極限に達したようだ」と説明した。

 安倍首相はこの日の騒動に動揺することなく、自らのメッセージを最後まで述べた。「わが国は唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』への取り組みを主導していく義務がある」として「今秋の国連総会では、核兵器廃絶に向けた新たな決議案を提出する」と述べた。だが、原爆投下の原因となった日本の侵略戦争に対する反省の表現は一言もなかった。とりわけ過去19年間、安倍首相を含む歴代首相が式典で毎年言及した「非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませない)」にも言及しなかったため、市民の反発を招いた。

 この日の式典には世界約100カ国から外交施設など約5万5000人が参列し、過去最大の規模となった。原爆を投下した米国も、ローズ・ゴットメラー国務次官を政府高官として初めて参列させた。だが、式典が開かれている間、会場周辺では約5000人の市民が安倍首相の参列に反対するデモを繰り広げた。

 朝日新聞は、広島の七つの被爆者団体の代表者たちが式典後、安倍首相と面談し、安全保障関連法案の撤回を求める要望書を安倍首相に手渡したと報じた。この要望書は「ヒロシマの悲劇を踏まえて制定された現行憲法は、日本が戦争を放棄することを明記した。日本政府が安全保障関連法案を憲法に違反しないと解釈しているのは詭弁(きべん)だ」という内容が含まれている。広島被爆者団体連絡会議の吉岡幸雄事務局長(86)は「安保法案は日本に再び戦争の悲劇をもたらしかねない。原爆死没者が安らかに眠れない日本には絶対にしてはいけない」と訴え、安倍首相を批判した。

 中国国営メディアの環球時報電子版は、安倍首相のこの日の発言について「被爆者たちも望んでいない集団的自衛権の行使を推進しながら『平和な世界』に言及した、と批判した。

最終更新:8月7日(金)9時6分

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