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【政治】

安保法案 「核兵器輸送も排除せず」 防衛相、実現性は否定

参院特別委で答弁する中谷防衛相=5日午前、国会で

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 中谷元・防衛相は五日午前の安全保障関連法案に関する参院特別委員会で、戦闘中の他国軍に対する支援で解禁する弾薬の輸送について「核兵器の運搬も法文上は排除していない」と述べた。その上で、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とした非核三原則に触れ、核兵器の輸送は「全く想定していない。あり得ない」と強調した。民主党の白真勲(はくしんくん)氏の質問に答えた。

 政府は「弾薬」を「武器とともに用いられる火薬類を使用した消耗品」と定義している。中谷氏はこの定義に基づき、これまでの特別委の審議でミサイル、手りゅう弾、クラスター(集束)弾、劣化ウラン弾はいずれも「弾薬」にあたり、輸送を「法律上排除しない」と答弁してきた。この日の審議で、条文上は輸送できる対象に核兵器、化学兵器を加えた。

 現実的には、米国などの核兵器保有国が軍事上の影響が極めて大きい自国の核兵器の輸送を、同盟国といえども他国に依頼する可能性はない。日本は生物・化学兵器の保有や譲渡を禁じる条約にも加盟している。ただ、法案が核兵器などの大量破壊兵器を含むあらゆる弾薬を法律上は輸送できる幅広い内容であることを示した答弁だ。

 政府は他国軍支援について、他国軍の武力行使と一体化しない場合に限り、憲法上許されるとの考えを示してきた。弾薬と武器の輸送は、現行の周辺事態法や旧テロ対策特措法、旧イラク特措法では認めてこなかった。安保法案では「現に戦闘を行っている現場」以外なら、弾薬と武器の輸送は武力行使と一体化しないとして解禁した。

 また中谷氏は、他国を武力で守る集団的自衛権行使の事例に挙げる日本近海での米艦防護について「多くの米艦艇が(敵国からの)攻撃の排除に集中する状況で、イージス艦などの防護をわが国に依頼するケースはあり得る」と必要性を強調した。

 米艦防護をめぐっては、安倍晋三首相が四日の特別委で「米イージス艦が単独で来ることはない」と答弁していたが、中谷氏はこれを修正。「米軍が日本の防衛や近隣の事態への対処を通常単独で行うことはない」としたものの「武力攻撃を受けている状況では、任務によって(米艦が)単独で航行することもあれば複数で行動することもあり得る」と説明した。その上で、中谷氏は「自衛隊の艦艇が米国の艦艇を防護する状況はあり得ないという指摘は当たらない」と述べた。

 

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