秋葉原発の新ブランドUPQ(アップ・キュー)が発表した製品群の中で、発表会でのタッチ&トライが盛り上がっていたのがカメラ関連の3製品です。ユニークなのはそのラインナップ。カメラ本体が1モデルのみなのに対し、カメラスタビライザーが2モデルもあるためです。



カメラスタビライザーという言葉を初めて聞いた読者もいるでしょうが、これはカメラを回転軸で「仮想的に浮かせる」ことにより手ブレを軽減する装置。プロの動画カメラマンの間でこそ必須的な製品でしたが、要求精度から来る高価さなどから一般ユーザー向け製品はほぼ出ておらず、今回の2モデルが日本では事実上初という、とんでもなくマニアックな性格の製品です。

UPQはこのビデオスタビライザーを、なんと「動画用自撮り棒」としても売り込むという積極的な展開をします。その実力も高く、タッチ&トライでは記者から効果に驚きの声も上がりました。

UPQ カメラ関連製品 Q-cameraシリーズ

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25 枚




UPQとは、DMM.make AKIBA発となる新しい企業。会社立ち上げを兼ねた発表会ではこれらカメラ関連3モデルを含めた24製品を発表していますが、1万4500円のSIMフリースマートフォンや7万5000円の50型4Kディスプレイを皮切りに、レトロフューチャーど真ん中な卵型椅子といった、非常にアグレッシブな製品もあるのが特徴。詳しくは、下記の関連記事を参照ください。

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7万5000円の50型4Kディスプレイ『Q-display 4K50』を秋葉原発新ブランドUPQが発表、チューナーレスで低価格




発表会のカメラコーナーにおいてもっとも注目されていたのが、GoProをはじめとする小型カメラと4~6インチ級のスマートフォンが装着可能な電動スタビライザー『Q-Camera ES03』。価格は3万7500円(税抜)で、現在予約受付中。発送開始は9月上旬頃の予定です。

同時に7万5000円で50型4K液晶が発表されている中では高価にも見えますが、その効果はかなりの高レベル。プロ用モデルでは10万円を超えても不思議ではないほどのコストパフォーマンスです。



中心となるのは3基の回転軸と、それを制御するブラシレスモーター3個。これらが手に持った棒のブレを打ち消すように動くことでブレを補正します。

また、ブレ補正の動作(撮影モード)に関しては3種を用意します。基本となる「モードA」では、どの方向に持ち手を振ってもカメラの方向は固定されますが、「モードB」では上下方向のみ固定。そして「モードC」ではブレを補正しつつも、全ての回転軸に対してスムーズに追従します。

これはよく使われる撮影テクニックに応じて設定された動きで、とくにモードBは動画撮影で使われる、横方向のパンニングに適した仕様。パンニングとは、カメラの画角では収まりきらない被写体を、カメラを左右に向けつつ撮影するテクニック。昨今のカメラでのパノラマ撮影機能的な動き、といえばわかりやすいでしょう。

ユニークなのは、撮影中の上下角度のみを電動で変更できるジョイスティックが用意されている点。モードBと組み合わせることで、上下、左右方向ともにスムーズなパンニングが可能となります。上記の動画を見ると、本機の効果の一端が確認できるでしょう。



同じ電動スタビライザーでもスマートフォン専用モデルとなるのが、姉妹機『Q-Camera ES02』です。価格は少しだけ安価な3万3200円(税抜)で、現在販売中、8月上旬発送予定。

ES03との主な違いはより小型・軽量になっている点と、いわゆる自撮り棒(セルフィースティック)としても使えるように、カーボン製の延長バーが標準添付される点。また3つの撮影モードが用意される点はES03と同じですが、上下方向の電動パンニングは不可能となっています。



またスマートフォン専用、さらに自撮り棒としての使用も考えられていることもあってか、デザインはES03に比べてもかなりライトになっており、UPQの「今期アクセントカラー」であるBlue×green(ブルー・バイ・グリーン)も全面に使われた仕上がりに。

カメラスタビライザーは上述したようにこれまではほとんどがプロカメラマン向けだったため男臭い地味なデザインが主でしたが、そうしたイメージを一新する印象です。



カメラ本体として発表されたのが『Q-Camera ACX1』。価格は1万5500円、発送予定は2015年8月中旬頃の予定です。いわゆるGoPro対抗のアクションカメラで、本体デザインなどはある意味で非常にわかりやすい仕上がりですが、前面にはしっかりとブルー・バイ・グリーンがあしらわれています。



イメージセンサーにはパナソニック製の1400万画素モデルで、レンズはアクションカメラ必須とも言える画角170度のワイドタイプを搭載します。

動画撮影はフルHD解像度で30fps、60fpsでは1280×720ドットまでと控えめですが、背面にはアクションカメラでは採用例の少ない2インチ液晶を搭載。リアルタイムプレビューが可能です。

さらに撮影関連の機能としては、タイムラプス撮影をはじめ、USB端子への給電開始をトリガーとする自動録画なども用意。さらには動体検知録画、カルーセル録画(メモリーカードへの繰り返し上書き記録)といった、監視用途に便利なモードも備えるのがポイントです。



記録メディアはMicroSDカードを、映像出力はMicroHDMI端子を搭載。ちなみにUSB端子は、GoProとは異なりMicro B仕様です。



本体サイズは横置き状態で61.2×42.7×25.2mm(幅×奥行き×厚さ)。GoPro HERO4 Silverは59×40.5×30㎜なので一回り小さくまとまっていますが、GoProにある程度慣れていると、「非常にしっくりと来る」ハンドリングで撮影できます。



またUPQが強くアピールするのが、多数の取り付けアダプタが付属する点。防水と非防水という2種類のケースをはじめ、バイク・自転車用アダプタ、ヘルメット用アダプタ2種類、エクステンションバー3種類、取り付けベルト2種類など、他のアクションカムではオプション扱いされる多数のアダプタを標準添付します。



このようにQ-cameraシリーズは、カメラシリーズと言いつつも、むしろスタビライザーの機種のほうが多いという、意外な展開の顔ぶれとなっているのが特徴。筆者としては「日本のコンシューマー向けにカメラスタビライザーを販売する」というコンセプト自体に拍手を送りたくなりました。

UPQは他のモデルなどを見ても、実はかなりマニアックな側面が見え隠れするのですが、この2モデルはそれを強く体現している製品と言えるでしょう。果たしてこの2モデルをトリガーに、日本の個人向けカメラスタビライザー市場が立ち上がるのかを含めて、強く注目していきたい製品です。

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