弁護士 猪野 亨のブログ

　かつてのイラク派兵、そして戦争法案による戦闘地域への派兵がされるかもしれない。自衛隊は、確実に戦争をするために軍隊に変貌を遂げようとしています。
　専守防衛であると位置づけられていた時代とは異なり、実際に死の危険がある任務に従事させられることになりますが、その結果、自衛隊への志願者が減るだろうと言われていました。
　結果、現時点で、大きく減少しています。
「自衛官募集　冬の時代　「危険増す」就活学生敬遠」（北海道新聞2015年7月19日）
　平成２５年度の状況は、このようです。
自衛官などの応募および採用状況（平成25年度）

　解釈改憲の閣議決定、さらには今国会での戦争法案の提出となり、志願者数は当然に減少しているようであり、この数字の推移を是非、みてみたいものです。
　報道記事の中には現状を示す具体的な数字はありませんが、それでも近来の数値として、「部隊勤務の基幹隊員を構成する「一般曹候補生」の2014年度の道内志願者数は、前年度比15％減の2586人に落ち込んだ。」と報じられています。
　法案が成立となればさらに減少していくことは間違いありませんが、問題なのは定員させ充足すれば足りるというものではありません。

　このような志願者の減少の典型例は法科大学院制度です。
　法科大学院に入れば8割は司法試験に合格し、弁護士の需要はたくさんあるなどという幻想の中で志願者は急増しました。しかし、実態が散々ということがわかると志願者が激減し、今年の統一適性試験の受験者数は3517人にまで減少、もはや制度の崩壊というところまで来ています。
　法科大学院は生き残りのため、授業料と学生を確保したいために実力無視の合格を与えています。
　裁判員制度も同じ。本来、国民の義務として制度はスタートしましたが、国民に裁判員になることへの抵抗感があることから、誰でもできる、簡単、ということが強調されました。しかし、実際には遺体の写真を見ることを強要されたり、死刑判決に関わらせたり、しかも現実には出頭拒否者に対する過料の制裁はないということが知れると出頭者数は激減、既に3割を切っています。

　入学しても展望のない法科大学院は敬遠され、苦役だけの裁判員は国民からそっぽを向かれ、制度は空洞状態。
　こうなると、質の問題にも直面するのも必然です。法科大学院への入学者の質は格段に下がり、その結果、司法試験の水準も低下の一途です。
　裁判員も結局、自分が裁いているやるみたいな偏った層になりつつあり、公平性すらも問題になり、最高裁から「是正」されてしまう始末。

　さて、自衛隊は？
　普通の国民からはなお一層、敬遠されていくことは間違いなく、兵士としての質に問題があるような人ばかりが集まってくるのか、それよりも好戦的な人たちばかりが集まってくるようになるのか、いずれにしても、今のままの隊員の質が確保、維持されることはなく、自衛隊そのものが変質していくことにもなります。
　実際に戦死者が出れば、さらに自衛隊志願者は激減します。
　また、そのような中で徴兵制というものが現実化していきます。
「徴兵制は他人事、自分は関係ない　ある日突然ということにならないために」


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